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3.学会の余韻

――会議終了後、王宮内の応接室にて。


「“未来視”だと……? あれが真実ならば、王家の預言者以上の価値がある」

「しかしまず、なぜあの青年が古代文字を読めたのだ。本人も混乱している様子だった」

「名前は確か“レオン”……だが姓を名乗っていなかった。素性を隠しているか、あるいは……王家の秘密保持のために偽装されているか?」


様々な憶測が飛び交うなか、各国の一つの共通した思惑は、

”未来視の力を自国に引き入れることで、今後の外交や戦で絶対的優位にたてる”ということだった。

未来視の情報は速やかに各国の上層部に伝えられ、スワニルダ家、そして全く明かされていないレオンの素性についても秘密裏に調査が進められていった。


――同時刻、ユリウスの部屋

「なんでお前、古代文字が読めたんだ?」

「だから、分かんないんですって。目に入った瞬間意味が頭に流れ込んできたとしか…。もしかして俺、言語学の天才なのでは…!」

「はぁ…ふざけるのも大概にしろ…古代言語を読める人間が他にいない今、間違いなく色んな人間が近寄ってくるぞ」

「…未来視狙いで、ですか…未来視使う人も大変ですね、なんかすごい怖いこと書いてあったじゃないですか」

「強大な力には大きな代償がつきもの、というのは定番だからな…しかし、スワニルダ家と王家が遠い昔にあんな契約を交わしていたとは…」


ユリウスはふとレオンの表情がいつもより暗いことに気づいた。

「…どうした。表情が暗いぞ」

「そりゃ、いろんな人が近づいてくるかもってなったら不安にもなりますよ」

「本当にそれだけか?」

「...はぁ、ユリウス様には隠せませんね。いや、あまりに自分のことが分からなすぎて嫌気がしただけですよ。11歳くらいまでのことなーんも覚えてないし、なんか古代言語読めちゃうし」


レオンは幼いころの記憶がない。気づいたらユリウスの護衛をしていた。それでもなんとなくユリウスは絶対に自分を見捨てないだろうし、自分も命に代えてでもユリウスを守るのだろうという根拠のない確信があった。


その夜、レオンは夢を見た。あたたかく、どこか懐かしく、そして二度と取り戻せない――

そんな夢だった。








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