転移直後初めての出会い
まるで世界が変わってしまったような状況に唖然としていると後ろから声を掛けられた。
「アンタそこのアンタ!」
「俺ですか?」
振り向くと年寄りのお婆さんがいた。
「アンタ以外誰がいるんだい。そんなことよりアンタ若いんだから少し手伝っておくれ。」
俺混乱してるのに何を手伝うのかと思うので断ってみる。
「いや俺は、今」
「いいからさっさとしな」
「アンタの状況はなんとなく理解しているよ」
この婆さん何か知ってるのだろうか。
「今は場所が悪いそれに荷物持ちがいると助かるからね」
「…後で説明くださいよ婆さん」
「わかったならさっさと来な」
こうして俺は婆さんの買い物の荷物持ちをする羽目になった。それはいいだけど本当に説明してもらえるのだろうか。少し焦れていたので会話をしてみた。
「こんなにたくさん持てないよ」
「甘えたこと言ってんじゃないよ。それに私の家はかなり近いから我慢しな。そうしたら”この世界のこと”を一から教えてやるから」
そうして本当に歩いて2~3分のところにボロい平屋が見えた。
「ここが婆さんの家?」
「ああそうさ、さっさと中入って買った荷物の整理手伝いな」
手伝いが多すぎると思い文句を言う。
「まだあるの?」
「文句言ってないでやる」
「ご飯食べたらちゃんと説明してやるから」
「うん、そうして」
婆さんがご飯の準備している間、平屋のなかを見回すことにした。整理整頓がしっかりされていてとてもキレイだった本棚や家具にはホコリ一つ付いてないぐらいだそうしていると婆さんが料理を運んで来た
「ご飯できたよ」
出てきた料理は、異世界風のコンソメスープに独特のスパイスとエメラルドグリーンのきのこが乗ったパスタ、見た目の赤い鶏肉唐揚げ以上である。食べることに躊躇していると
「食ってみな毒は入ってないし私の自信作さ」
誇らしげに笑ってる婆さんを見て食べないわけにはいかないと思い「…いただきます」と料理を口に運んでみる。なんとすごく美味しかったコンソメスープは具材が違うだけで誰でも食べたことがあるものとそっくりだった。パスタは、独特の風味ときのこの食感が合わさってそれがパスタと一緒になることでさらに美味しくなってた。唐揚げは見た目辛そうに見えるがそんなことなかったでもとてもジューシーで数少ないのがもったいないぐらいだった。そうして”この世界”とやらで初めて食べたものが1番の大好物になった。
「ごちそうさまでした」
「美味かったかい?アンタ表情変わらないからわからないんだよ」
「とても美味しかったありがとう」
そうお礼を言うと婆さんが嬉しそうに「そうかい」と返事した。その後は婆さんと皿の片付けをして一息つくとき「アンタはこれからこの世界で色々大変な事があるからちゃんと聞くんだ」そう前置きして話を続けた。
「もう気づいてると思うけどこの世界は私やアンタがいた日本とは違う世界だ、この世界の文化では魔法が主流になっている。さらには、ここは色々な化け物がたくさんいるそれを魔物と呼んでいるよ」
あれ今”日本とは違う”って言った?
「なんで婆さんは日本を知ってるの?」
「私もアンタと同じだからさ」といった後「ったく可愛そうだねアンタもこんな世界に来ちまって」と吐き捨てるように言った。俺は自分の同郷であることに気づけなかったことを謝ろうとしたら続きを話し始めた
「”この世界”にいるのは魔物や人間だけじゃないよ。獣人にエルフ、ドワーフとまぁこんなもんさ」
なるほどと理解していると婆さんが思い出したかのように「あっちの世界からたびたび人間が”この世界”に来るんだよ原因はわからない転移の理由がまちまちなんだよ」
ふたりとも黙り込んでしまった。そういえばもう夜遅いし疲れが溜まっているのかも。そう考えていると 「今日はもう遅いから休みなごちゃごちゃ考えても仕方ないし”この世界”は、色々大変とは言ったが楽しい事がないとは言ってないし何より明日からアンタにとって忙しくなるから疲れをとっておきな」 それはつまり 「泊まっていいの?」 一応聞いとくすると婆さんは 「ああそうさ布団用意しとく」 そういい寝室に向かった。用意された布団に入り考えるのやめ睡眠をとることにした。




