番外編(1).散髪
目が覚めて数日後―――
「そういえば髪、ボサボサだね。」
聖良先輩に言われふと気づく。
「あ……随分前に切ったばっかで、お風呂も入ってないから…」
「そっかー。じゃあ、洗ってあげるよ。」
「え」
私はそのままお風呂に連れて行かれた。
「ほい、脱いで。」
ぱっぱっと服が取られていく。
「そうれっ!」
バシャーっとお湯を頭からかけられる。そのままゴシゴシと頭を洗われていく。私はされるがまま、じーっと待っていたが、
「なんか懐かしいです。母親にもそうやって洗ってもらったなって思い出しちゃって。」
「そうだね。やっぱ、洗われるっていいよねー。」
そのまま聖良先輩は洗い続け、体も洗い、私の身体はピカピカになった。
「いいじゃーん。そのまま髪も切っちゃお。」
聖良先輩ははさみを持ってくると何も聞かずチョキチョキ切り出した。
「おすすめでいいよね。私、切るの得意だよ。」
嘘か真か分からないが、任せるしかない。私はそのまま目を瞑った。しばらくして、
「出来たよー。」
との声が聞こえたので目を恐る恐る開けてみると、聖良先輩と同じ髪型の、ウルフカットの私がいた。
「どう、気に入った?」
「はい、本当にありがとうございます!」
「良かったー。絶対似合うと思ったんだよね。」
と嬉しそうに聖良先輩が言った。
「お揃いですね。」
と私が言うと
「お揃いだね。」
と笑って返してくれた。
なんだかとっても胸が温かくなった。