Ⅰ.暗殺者誕生(6)
暗殺者の両親を殺された少女、陽は廃病院での組織壊滅作戦から2人の暗殺者、聖良、千影に救われる。両親の仇を討つため、陽は暗殺者となることを決意する。
「じゃあ組織に入る記念に私達のことを少しだけ教えてあげよう。」
聖良は話し始めた。
「私達が所属するのは『アダムブレイド・メルダー』っていうんだけど、長いから『アダメル』って呼ばれてるよ。」
そこからアダメルは表向きは銀行で裏では依頼された暗殺をこなす暗殺者集団だと聖良は言った。
「アダメルの中にも部隊があってね、主に偵察とかすごい隠密な暗殺は千影や私がいる夜鴉隊が行ってるよー。」
他にも依頼によって使われる部隊が違うらしい。
「陽がその仇の情報を得るためには夜鷹隊がいいかもね。」
「夜鷹隊?」
「主に公な戦闘とか夜鴉隊じゃあ処理しきれない数の時とかに使われる部隊だよ。君に向いてると思うし、1番情報が入って来やすい。」
「どうやったら夜鷹隊に入れるんですか?」
「ある程度の戦闘能力があればどこでも入れるよー。まあ決めるのは自分自身だし。」
「なるほど…………。」
「あ、でもどの部隊に入るにしろしばらくは私達と一緒に任務を受けてもらうね。あと、あいつの手掛かりも探しといてー。」
「え」
「回復して少し稽古したら参加だからよろしくー。」
と言いながら病室を去っていく聖良先輩。
「え……。」
こちらの拒否権もなく、すぐ任務とは忙しすぎる。今のうちに心の準備だけでもしとこう。
(あいつらの手掛かり…か………。)
記憶が蘇る。
『零だ。』
『いいんだ、どうせ生きて帰って来れないんだ、言ったって分からないさ。』
両親を殺し、あんなことを言ったあいつを許すわけにはいかない。少しでも早く、手掛かりを探さなければ。
(でも…まずは………)
急に緊張が解け、ここまであった出来事が頭の中で再生される。お父さん、お母さんが殺され、どうしようもない怒りに支配されたことを思い出し、
(お父さん……お母さん…………。)
陽は静かに泣いた。悲しくて、悔しくて。涙を止めることは出来なかった。
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すみません