Ⅰ.暗殺者誕生(5)
暗殺者の両親を殺された少女、陽はとある敵組織を壊滅させることを両親を殺した組織から命じられる。1人だったため殺されそうになった所を暗殺者である千影と聖良に助けられる。
「うぅん………。」
目が覚めると白い天井が目に飛び込んできた。
「あ、起きたー?おはよ。」
次に目に飛び込んできたのは聖良の顔。どうやらあのとき気を失ったままここまで運ばれてきたようだ。
「君は幸運だったね。私達が来なければ君は死んでいた。君の仲間?は済まないが助けられなかった。来るのが遅くなってしまったために申し訳ない。」
「いえ、あの人たちは私の仲間ではありません。」
それから、私の身に起きたことを話した。両親が殺され、廃病院に連れてこられたこと、他にも同じ境遇の人が何人もいたことを全て話した。聖良は真剣な顔で最後まで聞いてくれた。初めて、この人なら安心出来る気がした。
「そっかー。大変だったんだね。本当に
…………。」
聖良は俯いた。しばらく経ったあと、
「今の君に、選択肢は2つあるんだけど聞いてくれる?」
「なんですか。」
「1つは、このまま1人で静かに暮らすこと。私はそっちを望むかな。2つ目は、ここの組織に入って両親を殺した奴らに復讐すること。どちらがいい?」
両親を殺されて、のうのうと静かに暮らせるとは到底思えない。選択肢はただ1つ。
「組織に入れてください。私なら役に立てます。お願いします。」
ベッドの上からでは有るが精一杯の礼をした。
「君にとっては辛い道かもしれない。けど、いいんだね?」
「僕なら必ずやって見せます。」
すると急に聖良の目が細く鋭くなり、こちらをじっと見た。しばらくして彼女は笑顔になり、
「その気持ちを大切にねー。よし、じゃあ今日から君は私の後輩だ。よろしくねー。」
とあっけらかんと言った。私は驚きながらも
「………よろしくお願いします、聖良先輩。」
と言った。こうして、私は両親の仇を討つため、暗殺者となることを決めた。