Ⅰ.暗殺者誕生(4)
暗殺者の両親を殺された少女は敵組織に捕まりとある組織の拠点を落とすことを命じられた。しばらくすると体力がなくなり、殺されそうになる。しかし彼女は影が揺らいでいることに気づく。
私の見間違いなのか。影が揺らぐ訳無いと思っていたが、その影から人が飛び出してきたのだ。影から出てきた彼は正確に敵の頭を撃ち抜いた。彼は元々いた影から他の影に移り、もう一人も頭を撃ち抜いた。
「大丈夫か?」
彼は12、3歳ぐらいの少年だった。肩にかけている外套がまだ大きい。
「…。」
私は知らない人とは話してはいけないと昔から言われていた。
そこに後ろから足音がしたと思ったら
「あー、もう倒してる。出番なかったかー。」
という声とともに少年と同い年ぐらいのウルフカットの少女が現れた。彼女の周りには影がミルククラウンのようになっている。
「初めましてー。私は聖良だよ。こっちは千影。無口でごめんねー。」
「僕は無口じゃない、最低限喋っているだけだ。」
「はいはい、分かってるよー。で、お名前は?」
私は何も言わなかった。すると
「この子名前ないのかも。名前つけてあげよーよ。千影、名前つけて。」
「………。」
「早くー。」
「陽。君は今闇の中にいる、これからは僕たちが陽の光へ連れてってやるって意味。」
「いいねー、陽。どう、気に入った?」
私はこくりと頷いた。
「良かったー。もう安心して。あとは私達に任せて。」
と聖良に言われた途端、緊張がプツリと途切れ私は気を失った。