Ⅰ.暗殺者誕生(1)
私は、幸せだった。
裕福ではなかったが両親の愛を浴び、日々楽しく生きていた……はずだった。
ここは2✗✗✗年、不安定な社会の中で生きる、ある暗殺者の話である。
私の両親はとある暗殺者の組織、「メルダー」に所属していた。そのせいで他組織からの反感を買うことが多かった。でも遊園地には連れてってくれたし、なんでも買ってくれた。私は幸せだった。
その幸せのパズルが崩れたのは、一瞬だった。
「パァン!」
と銃声が家に響き渡った。
「隠れろ!」と父が私と母に言う。
だが次の瞬間、父が―――倒れた。
驚く暇もなく、母がナイフで応戦する。
「逃げて!●●!」
私は恐怖で足が竦んで動けなかった。
相手は銃を持っていなかった。だが、どこからともなく弾が出てくる。予測不可能な軌道にナイフでは適応できず、母も父と同じように、撃たれた。
「これがメルダーの精鋭?大したことないじゃん」
と、少年の声が聞こえた。私を見るなり
「娘か。捕まえとけ。」
私は反抗しようとした。近くにあった母のナイフを掴み、斬りかかった。
「うあぁぁぁぁああぁ!」
「なってないなぁ。これじゃあだめだよ。」
と声が聞こえ、渦巻きを巻いたような目が目の前へ迫った途端、首に衝撃を食らい目の前が暗くなった。