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私はミックスサンドを頬張りながら、向かいでいちごパフェを食べる彼を見ていた。

注文の為に並んでいる時、彼はずっといちごパフェを見つめていたくせに、何故かミックスサンドを頼んだ。

それを見ていた私は、思わず突っ込んでしまったのだ。


「いちごパフェじゃないんですか?」


と。

彼はとても焦ったような顔をした後、


「男がいちごパフェなんて、恥ずかしくて注文出来ないですよ……」


と言うものだから、私がいちごパフェを注文して交換してあげた。

交換して良かったと思えるほど幸せそうな彼の顔に満足する。


「そういえばまだ名前を聞いていませんでしたね」


彼にそう言われてドキッとする。


「そ、そうでしたね。私、レアって言います」


「レアさんですね……僕はリーです」


我ながら安直すぎる偽名だけど、特に疑われなかったようだ。


「こんなに話の合う人は初めてかもしれません」


「私もですよ! 普段は家で小説読んだり、ダラダラしたりしてばかりでよく親に怒られます」


それを聞いたリーは笑いだした。


「え、なにかおかしなことありましたか!?」


「全く同じすぎて……僕もよくそれで小言を言われています」


「そうなんですか!」


2人で笑いあっていると、ふと机の隅においてある栞が目に付いた。

それは魔王の可愛らしい絵が描いてあり、私は見たことがないものだった。


「それ、何の特典ですか? すごく可愛いのに見たことがない……」


「……え、あこれですか」


彼はパッと栞に手を伸ばし、そのままバックにしまいこんだ。

その仕草は、まるで私にその栞を見せたくないかのようだった。


「……ごめんなさい、聞いてはいけないことでしたか?」


私の言葉に、リーの方が申し訳なさそうな顔をする。


「引かないって約束してくれるなら、レアさんになら話します」


「引くわけないじゃないですか!」


だって大好きな小説の、大好きなキャラクターのかわいいイラストだ。

もしかして私が知らないだけで、何か別冊などが売り出されているのだろうか?

いやそんなことはないはず……


思考を巡らせている私に、リーはボソッと呟いた。


「これ、僕が作ったんです」


「……え?」


「この栞の絵は僕が描きました」


「ええー!?」


先程の栞は、小説の挿絵とそう変わらないクオリティに見えた。

それを彼が作っただなんて……!


「すごいです! それって1種の才能ですよ! いいなぁ私もその栞欲しい……」


「いいですよ。まだ家に幾つか同じようなものがあるので、持ってきましょうか?」


「いいんですか!? ありがとうございます……次はいつ会いましょうか?」


「そうですね……少し忙しいのと、あまり予定を詰めすぎたくないので……2週間後はどうですか?」


予定を詰めすぎたくないのは私も同じだ。

ただでさえ、リアム様との婚約が決まって忙しいのに、家でゴロゴロできる時間が無くなってしまったら、私は萎れてしまうだろう。


「わかりました! 楽しみにしてます」


それから私達は一通り会話を楽しんだ後、カフェを後にして帰路に着いたのだった。

面白いと感じて頂けたら、いいね・ブックマーク・評価等よろしくお願いします!

金曜日の夜で時間のある方は、こちらの短編もオススメです→ 『悪役令嬢は暗殺者に恋をした』(https://ncode.syosetu.com/n9614ic/)

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