表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/20

4

「このカフェにしましょう!」


私は本屋の斜向かいにある、美味しそうな匂いがするカフェを指さした。


「入りましょうか」


私達は、早く小説が読みたくてソワソワしながら飲み物を注文し、席に着いた。

そして、がさごそと袋の中に入っている本を取り出す。


「読み終わったら、語り合いましょうか」


「わかりました」


彼はそう言うと、直ぐに手元の小説へ目を落とした。

私もワクワクしながらページをめくる。


レベル99の勇者というタイトルがついてはいるが、この勇者は最初から強いわけではなかった。

その証拠に、1巻の冒頭で魔王と対峙した時は呆気なくやられてしまう。

この小説は、勇者がレベル以外の強さを見つけていく……そんな物語なのだ。


そしてその手伝いをしているのが、なんと魔王。

彼女は勇者に興味を持ち、自分と対等に戦えるようになる日を楽しみにしながら、時々勇者の前に現れては手助けをしていく。


勇者と魔王はだんだん惹かれあい、4巻ではなんと遂に! 同棲まで始めてしまう。

しかし4巻のラストでは、魔王が仲間の部下と一緒にいるところに、タイミング悪く勇者が帰ってきてしまった。


そこからの5巻である。


魔王は勇者に見つかったことに驚き、そのまま家から出て姿を消してしまう。

勇者は好きな相手が魔王であったこと、そして魔王が逃げてしまったことにもショックを受ける。

彼女に好きという気持ちを伝えるべきなのか、それとも倒すべきなのか……そんな葛藤を抱えながら、勇者は魔王探しの旅を続けていく。


5巻の大体のあらすじはこんな感じだった。


私としては是非とも魔王とくっついてもらいたいけれど……


「読み終わりましたか?」


「終わりました」


そう質問をしてきた彼も登場人物に感情移入したのか、なんとも言えない顔をしていた。


「いつかこういった展開になるとは思っていましたが……勇者はどちらの選択肢を取るんでしょうね」


「私としては魔王と結ばれて欲しいけれど……だってここまで彼を見守ってきたのは魔王だもの。でもそれは、勇者としての役割を放棄することも意味するのよね」


「僕も2人は結ばれて欲しいです。ですが、今回は逃げた魔王のその後の心情描写がなかったので、それ次第なところもありますね」


「きっと彼女も、自分が魔王なことを明かすタイミングをうかがっているところだったはずなのに……」


「自分のことは自分で伝えたかったはずですよね。僕的にはもう少しはやく伝えるべきだったとは思いますけれど」


彼は大きく頷く。


「あーもう! とにかくはやく6巻が読みたいわ!」


「それには完全に同意です!」


一通り感想を言い終わると、なんだか美味しい匂いが漂ってきた。


「お腹も空いたし、お昼にしますか?」


彼も同じことを感じたようだ。


「えぇ!」

面白いと感じて頂けたら、いいね・ブックマーク・評価等よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ