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段々とアドレナリンが切れかかってきて段々と痛みが、西日本で主に展開している『ハローズ』というスーパーでジュースやお菓子を買う。学校に置いてきた俺の荷物は、小渕が運んでくれてるのでそのお礼に食べ物で返礼と。まぁ、ぶんどった金をいっぱい使ってな。買い物を終えた後は、徒歩五分ぐらいの大きなマンションに入る。エレベーターで10階に上がり、『1023』と書かれたドアにカギをさして開ける。玄関に入った矢先、怒っている彼女が鬼の形相でこちらを見てきた。
「!!」
「お兄。こんな時間まで何してたの。」
「いや...えっと」
「また、喧嘩したの?」
「話すと長くなるけど...その前に。怪我の手当して欲し」
「喧嘩、したんだ。」
「....はい。」
まるで鬼嫁みたく話しかけてくれたのは俺の妹、橘川桃華。中学2年生で、顔が整っているとある芸能の天使と話題になった人と少し似ているとても可愛い妹だ。決してシスコンではない。小さな時から両親とはほとんど別居状態なのでお互いに生活を支えるために家事全般は桃華、買い物、金銭系は俺の担当として今まで過ごしてきていた。そんな彼女の趣味は料理で、将来の夢は医師。俺の妹ながら、とてもしっかりとしている。
「...怪我見せて。何かあったか話してもらえる?」
「ん。」
リビングに向かって、桃華に手当てしてもらう。してもらう間に、今回の出来事についてすべて話す。今回の依頼のことなど色々。補填部については、設立前から相談してもらっているのである程度は知っている。
「だから、小渕先輩が裸の女の子を抱えてきたんだね。すごく代弁しててすごかったよ。」
「まぁ、裸の女を異性に見られたら弁解もしたくなるわ...俺でも。」
「とりあえず、意識を失っているとはいえ体がとんでもなく臭かったから体は洗ってあげたよ。すごく疲れたけど...。」
「すまん、ありがと。」
「服を着せて、お兄の布団で安静してるから。」
「なんで、俺の布団」
「文句ある?」
「いえ、ありません。」
完全に機嫌が悪い...……。昔、やんちゃしてしまくって俺が血まみれになって帰った際に、すごく泣いて、心配してたときもあって。両親との愛情をあまり受けていない桃華にとってみれば、俺がいつか離れてしまうのではないかと常々思っていたという。それが彼女の医師という夢を、目指すきっかけを与えてしまっていた。皮肉だが、桃華の人生は俺が勝手に決めさせたようなものだ。頭は出血点を特定した後は簡易的にガーゼを当てて包帯を巻く。1番痛い脇腹は湿布を貼っての応急処置。
「はい、明日、必ず病院行ってね。骨にひびが入っているかもしれないから。」
「わかった。明日学校帰り」
「半日。休んで行け。」
「はい...……。」
「じゃ、晩御飯はここにあるから。私は、様子を見てくる。」
リビングから離れ、彼女が眠っている部屋へお盆をもって向かった。須藤への夕飯だろう。お粥や具なしの茶わん蒸しの消化にいいものだらけだ。俺は、その場から痛みを抱えながら立ち上がり、今のテーブル席に着席する。
「あれ、小渕と足立は?」
「小渕先輩なら、帰ったよ。足立さんはそこのトイレにいると思う。」
なら、飯を済ませようかと机に置いてあった晩御飯に目をやる。今日はしょうが焼きか...。ご飯に味噌汁...。普通のごはんだ。最近、米などの値段が高くなって生活は。全国民に負担が苛まれている。不景気な時に税金を下げるのが基本なのに、無能の政治家は上げることに執着している。政治家の給料もバカ高く、世界から見れば、異常だという。ほんとポンコツの政治家のせいで俺たち学生まで悪影響だ。令和というクソみたいな時代のせいで、昔の平成時代がよかったと嘆く人が多いそうだ。昔ってネットがなかったんだよな...。過ごせるのかなその時代に。そんな、思いに耽っていると、トイレをすました足立が戻ってきた。
「お、帰ってたのか。おかえり。」
「...……言わねぇからな。」
「ちぇ、つまんねー。」
買い物をした白い袋から、ポテトチップスだし醤油味を開け、食べる。お菓子を食べる理由は、カロリー補充と足立はいう。
「で、どうだった?中原琢磨は。」
「……噂通りのクソ野郎だったな。まさか、女生徒にあそこまで手を出すとは。」
痛い脇腹を押さえながら、今回のことを思い出す。中原琢磨と対面したが目がイカれていた。散々、強姦が大好きな性癖を発散してたから余計だろうか。しかし、それがトラウマで自殺者を出すとんでもない出来事……。特に今回は、一緒に協力してくれた足立にも感謝しないと。
「……ありがとう。今回の件といい、ほんと迷惑かける。」
「いいですよ、別に。僕も補填部の部員の1人ですし。」
「足立……。」
突然、ドアが鳴る。俺はどうぞと言うと小渕が入ってくる。足立は小渕を警戒する。実はこの2人は会ったことがなく、俺が話で他にもいると説明してるだけでリアルの顔は分からないとか。
「目、覚めたか。」
「寝てたわけではないが、今すぐにでも寝たい気分。」
「寝ても大丈夫かそれ……。」
「唾つけとけば治るって。」
「やめろ、そんな非科学的な考え。」
「まぁ、大丈夫ならいいけど。そうだ、エゴサしてみるともう出てるぞ。ちょっとしたトレンドにもなってる。」
俺はご飯を食いながら、足立はお菓子を食いながらそれぞれTwitterを確認する。誰かの投稿で中原たちとの争い後が写真に投稿されていた。コメント欄には『うけるw』『誰がこんなことやった?』『ふつーに犯罪じゃない?』などなど、ネット内における憶測論争が飛び交っていた。
「……教師が投稿したのかこれ。」
「さぁ?でも、可能性はあるよな。」
「今は誰でもスマホしゅきしゅきですから。」
すると足立はどこからかノートパソコンを立ち上げて、何やら始めた。
「めんどくさいんで、偽の情報を本物にします。」
「そんなことできんのか?」
「今時、ネット内に溢れる情報なんて本物か嘘かわかんないのです。嘘の情報を真実にしたら必ず誰もが信じるので。」
「す……すげぇ。てか、誰なんだこの人。」
「あれ、会ったことないのか?」
「いや、初めてだぞ?ネットに強い奴はいるってだけ教えられたけど。」
「俺の友人、足立隼人。ネットに強くて。頼りがいのある友だ。あと、お前には警戒してる。」
「なんで!?」
「ん?光り輝いてるからだろ。」
「ええ……。」
変な形の対面だが、足立は集中しすぎて声をかけても話せないみたいだ。今の足立はかっこよくいうと『領域展開』って感じだ。集中しすぎて、声なんて聞こえない。また改めて、小渕にも足立にもきちんと紹介下やらねぇと。すると突然大きな音を立てた後、叫び声が聞こえた。
『な…….なにあなた!!!やめて!!』
『落ち着いてください!!私は別にあなたの看病を!!』
『やめて!!帰らせて!!』
『お、お兄!!へ、ヘルプ!!』
妹の部屋から何かしらのトラブルが起きたそうだ。
「悪い、足立。ちょっと桃華の様子見てくるわ。」
「………。」
すごい集中力だ。話しかけても何も答えない。それだけ、対処しようとしてるのだろう。
「橘川、とにかく!!」
「あぁ!!」
部屋を飛び出し、妹の部屋に向かう。ドアを開けると、桃華が作ったお粥がひっくり返っていて、発狂した須藤を桃華が落ち着かせようとしているが桃華の力で抑えきれなくなっているみたいだ。
「小渕!!」
「わかった!!」
小渕は桃華をどかせて、変わりに体を押さえる。俺も押さえながらも呼びかける。
「おい!須藤!俺だ!落ち着け!」
「いや!離して!関わらないで!!」
「おい!!須藤!!俺だ!!目を覚ませ!!」
「なに!やめて!!私を犯さないで!!」
「おい、これじゃ埒が……。」
呼びかけに答えないなんて……どうすれば……。すると、堪忍の緒桃華がすごい笑顔で見ながらこっちにくる。
「お兄、ちょっとどいて。」
ちょっとだけ声音が低い桃華が須藤の顔を引っ叩く。高い音が部屋中に響く。すると、落ち着いたのか目が覚めたのか、落ち着いた様子であたりを見渡す。
「あれ……私……一体……。」
「な……ナイス。桃華。」
「お兄。私、片付けるね。」
「お……おう。」
年上だろうが容赦ない……。昔、食べ物を粗末してしまった時にこっぴどく怒られたっけ。あまりにも怖すぎて男の俺が泣いたこともあったっけ……。やっぱり、血筋なんだな……。
「あとはお願い。」
「わかった。」
ドアが勢いよく閉じる。怖!!しばらくして、落ち着きさを取り戻した須藤にことの経緯を話した。裸状態で小渕に抱っこされてたことも全て。須藤はそばにあった目覚まし時計を投げつけようとしたが、小渕が必死の弁解をして事なきを得た……すまん、小渕……。小渕は、桃華が心配なのか手伝ってくると言って部屋を出た。何か察してくれたのか、分からないが。沈黙が辺りに流れる。そんな気まずい中、須藤から口が開いた。
「なんで……私が人質にされた時あんなこと言ったの?殺せって。」
当然の疑問といえばそうか。あの時、俺は確かに言った。
「殺せれないとわかっているからだ。」
「それでも、私は本当に……怖かったんだから……。」
体が小刻みに震えている。……今回の件で、男性に対する恐怖症を覚えてたかもしれない……。
「すまない。お前を追い詰めてしまったのは俺の責任だ。だから……その。」
「……ごめん、今は1人にさせて。ちょっと色々と考えさせて。」
「分かった。それと明日、一緒に病院付き合ってくれ。それだけだ。」
「……。」
「じゃ、また明日。」
俺は須藤の部屋を後にした。彼女は1人になる時間が確かに必要だ。……くそっ!
「守れなかった……!」
今回の件は反省すべき点は多い。今後は俺がきちんとしないと……。足立も、小渕もやってくれたのに……!
「お兄?」
「……ごめん、桃華。ご飯途中だったな。」
「………まだ、攻めてるの?」
「………もう、あんな思いはしたくない。」
「……お兄。無理はせんといて。」
「……あぁ。」
桃華に慰められながら、俺は夕飯の続きを食べるためにリビングに向かった。足立は、いつの間にかパソコンを閉じて眠りにつき、小渕も疲れが溜まってたのかいびきをかきながら眠っていた。桃華はお風呂に入ってくると言って入っていった。残りの夕ご飯を眺めながら今日の一日に思いを耽るのだった。
お久しぶりです。
細々と投稿しています。『俺の気持ちは本当に届くのだろうか』も連載してます。よかったらそちらもご覧ください。




