3話
話し聞こうにも今は冬休み真っ只中だから、学園に行くこともない。そうなればお城まで行かないと行けない。流石にそれは敷居が高い。
まだ幼い頃は、簡単に彼に会いたいという気持ちだけで会いに行けたのに。
それにしても、この数時間で情報量が多すぎる。
何から整理したら良いのかもわからない。
「というか…結婚って…。」
「おはようございます。」
冬休み明け、婚約の事を思うと少し足取りが重くなる。どんな顔で会ったらいいのだろう。
最終的に父親の勘違い、ということで己の心に決着をつけてきた。
きっとなんの話だと向こうも困惑しているからに違いない。
そうだ、うん、そう思おう…。
「おはよう、セルシア」
「うわあああああ!!」
よし!と決意した瞬間に後ろから挨拶をされて、不意打ちに驚いてしまった。
そんな私を見て挨拶をした張本人は気が弛んでる証拠だよと笑っていた。
「エ、エドワード様…!」
「ちょうど良かった!探してたんだよね。といかその堅苦しい呼び方辞めてね。」
「が、学園内だからつい癖で..探してた?」
惚けて見るけれど、心当たりは一つしかない。
いやもうあの出来事は私の中で完結したものだから!
「あれ?聞いていないかな?僕たちが婚…。」
「あああああ!!その話はここでは無い方所で!!」
はい!あっちへ行きましょう!とエドワードの背中を押して人気のない廊下へと向かった。
「わざわざこんな人気の無いところを選ぶなんて君って意外と大胆だね」
「茶化してないで教えて下さい。婚約の話…私は全く聞いてないし勘違いなのかと思っていたけど」