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二話

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「勝者!アトラ・クロガネ!」


 先生の勝利宣言がアリーナに響き渡る。ここは学校の競技魔道専用のアリーナ。かなり本格的な施設である。本来は学校にここまでの施設がある所は少ないが我が校は競技魔道において全国トップレベルの実力のある学校であるから施設にもかなりこだわっている。


 現在は午後の授業である体育の最中である。アイナから貰ったメロンパン(正確には代金を明日支払わらなければならないが)のおかげで何とか本日初の食事にありつけた俺はクラスメイトをボコボコにしていた。いや、もちろん競技魔道でだ。そんな授業中におっぱじめるほど俺は野蛮じゃない。彼らも強力な魔法を使う奴はいたが俺は競技魔道部所属なんだ。部員以外に負けたのが部長にバレたら俺がボコボコにされる。いやマジで、それで同期は一人辞めた。それだけ厳しい部活なのだ。流石全国トップレベルと言ったところだろう。


閑話休題


 話が少しそれた。今は本格的な試合形式での勝ち抜き戦真っ最中で俺は現在15連勝中そろそろ周りからブーイングが出てくる頃だ。


「センセ~、アトラ相手じゃ勝てないって!あいつ競技魔道部員だぜ?」

「ハッハッハ! なんだもう音をあげるか?」

「無理だって!」

「お!じゃあセンセ次俺がやるぜ!」

「おぉ、ガロードか。お前も競技魔道部だったな。よし!行って来い!」


 そういってマックスが上がって来る。いや、セコくないか?こっちは15連戦してるんだが?


「前回は負けたからな。今日は勝たせてもらうぜ?」

「いや、あの後部活でお前にボコボコにされた気がするんだが」

「ん?そうだっけな?」


 このやろう。大方前回派手にぶっ飛ばしてやった腹いせだろう。これは本腰いれないと今度はこっちがぶっ飛ばされそうだ。


 所定の位置についたマックスは中腰に構え両手からチラチラと炎を噴き出している。それを見た俺も位置について右足を引いて左手を前に構える。


 競技魔道というスポーツのルールは至って簡単だ。リングの外に叩き出すか気絶させる、それだけ。武器の類も事前に申請すれば持ち込み有り。と基本的な所はこれだけだ。ここで心配されるのは死んだりしないかの所だろうがそこに関してはリングに埋めこまれた法術?だか何だかがバリアだか結界だかで行き過ぎたダメージから守ってくれるらしい。そこら辺は分からん。専門家でも技術者でもないからな。俺はあくまでも選手だ。


「っしゃ、ぶっ飛ばしてやる」

「それはこっちのセリフだ」

「よし、二人とも準備万端だな。それじゃあ」



はじめ!




*


 試合開始の合図と共に両者同時に飛び出す。速度だけで言うならアトラの方が早く、マックスの懐に入りこみ引き絞り魔法で出力を増大させた右手で初撃をマックスの腹に叩き込んだ。しかしマックスはそれに動じず。燃え盛る両手で焼かんと懐のアトラを捕まえようとするが。寸前の所で躱される。


 アトラとマックスの魔法はお互いに近接攻撃主体の魔法である。アトラの魔法は『身体強化』己の瞬発力、筋力、柔軟性などを底上げするシンプルな能力。対してマックスの魔法は『火纏い』体中からまるで蒸気を出すかのように炎を噴出し体に纏う魔法である。この魔法は身体能力に一切関係ない。つまり魔法を使って放たれたアトラの一撃をマックスは己の肉体のみで受けきったのである。


「相変わらずふざけてるだろその筋肉装甲」

「はっ! 筋肉があれば何でもできる!競技魔道は手段が多い方が有利だからな! 俺の魔法は攻撃手段のみ! ならば自分の武器を増やす! それが俺の筋肉!」

「無茶苦茶だよ」


 お互いに距離を保ったまま睨み合う。アトラの一撃は耐えられたが永遠に耐えられるわけではないのはマックスは知っているし、アトラに関してもマックスに捕まればほぼ終わりといっていいだろう。両者は中等部の頃から何度も競技魔道の試合をしたことがあるために慎重になっていた。


 先に動いたのはアトラからである。彼は再度懐に入ってからの連撃に勝機を見出した。マックスの近くまで走り近づく。アトラの思惑に気づいたマックスが左手でガードするがアトラは回し蹴りで弾く。勢いをその前に二撃目に入るが、


瞬間


 ボッと言う音と共にマックスの全身から火柱のように炎が吹き出る。その衝撃でアトラは吹き飛ばされるが寸前の所でリングに指を食い込ませ何とか持ちこたえる。


 マックスはその隙を見逃さずアトラに肉薄する。そのまま渾身の一撃を放つがアトラは上に跳び回避する。一歩下がり態勢を立て直すがマックスはとてつもない勢いで迫ってくる。


 マックスの大振りの攻撃を躱し後退しながら連撃を叩き込む。完全にインファイトの形になった所でアトラが押され始める。マックスにもダメージが入っていないわけではないが15連戦した疲れで集中力がもたなくなっている。一つの油断が敗北につながるこの状況でアトラが不利なのは火を見るよりもあきらかであった。


「っく!」

「オラオラ! アトラ! このまま場外まで押し出してやる!」


 遂に反対側にまでに追い詰めらたところで状況が変わる。いなし続けたマックスの片腕をアトラが掴んだのだ。単純な力比べになればマックスの筋肉があれどアトラに軍配が上がる。しかしマックスの魔法があればマックスの体に触れたとたんにそれはチャンスに変わる。


 片腕を掴まれたマックスだったが先ほどと同じように炎を噴射し応戦する。しかし、アトラはそれを意に返さず懐に入るように右足を軸に180回転し腰にマックスを乗せ勢いをそのままに投げ飛ばしたのだ。


「勝者!アトラ・クロガネ!」



*



「どうよ!」

「クソが」


 最高の笑顔と共に言ってやると思いっきり叩かれた。リング外だと普通に痛いんだからやめてくれ


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