第一話 先住民について
昨日投稿しようと思ったのですが、眠気がひどく……。
「へえ。パイセンよりも先に住んでいた方ですか」
「そういえば、我が幼馴染よりも先に住んでいた人居たんだったね」
十一月になり本格的に秋らしくなってきた。
その寒さを和らげるかのように、俺達は学校からの帰りに喫茶出暮へと訪れていた。
オリジナルブレンドのホットコーヒーが冷えた体に染み渡る。
「俺も気にはなっていたんだが、色々あって挨拶もできなかったんだよ」
「それが先日やっと挨拶できたんだよな。どんな人だったんだ?」
康太の問いかけに俺は、一度カップを置き、その時のことを思い出す。
「一言で言うなら……人見知りな子、かな」
しかもかなり重度な。
かなみさんには多少なりとも慣れているようだが、あの反応からしてそう簡単には慣れないかもしれない。
「子ってことは若い人なんですか?」
「たぶん」
「管理人さんには聞かなかったのかよ」
「聞こうと思ったんだけど。あれからかなみさんと会えないんだよ」
おそらくまだ用事というものが終わっていないのだろう。
一応連絡先は知っているが、まあさすがにそこまで焦る必要はないと判断して、今はかなみさんが帰ってくるのを待っている。
「他に特徴とかは?」
と、みやが俺の顔を横から覗きながら問いかけてくる。
「長い黒髪で片目が隠れてたな。それと」
……下を穿いていなかったことは伏せておこう。
「左の目元にほくろがあった」
「ほう? それはそれは。他には?」
なにやらあおねはメモをしながらかなり真剣に聞いている。
いったい何をしようとしているのか。
まあいいか。
「後、スタイルもよかったと思うぞ。身長は低かったけど」
「つまりロリ巨乳と! これはかむらちゃんのライバル登場ですかね?」
「いったい何のライバルだ」
「キャラ的な?」
カウンター席でホットミルクを飲んでいたかむらがキッとあおねを睨む。
それに対して、隣でケーキを食べていたここねが呟く。
「それで? 身長はかむらちゃんより高かったですか?」
「……高かったかな」
おそらく低いと言っても百五十はあると思う。
それに膝を曲げていたし、猫背だったような気もするから余計に低く感じたのかもしれない。
「てことは、あのアパートには男はお前一人というわけか……」
「羨ましいですね」
「なんでお前が羨ましがる」
「あたしもハーレムを作りたいです!」
「百合はいいぞ、零」
「ならば、私があおちゃんのヒロインの一人になるぜ!」
「きゃっ! みや先輩ってば大胆ですぅ!!」
相変わらず仲がいいことで。
「あ、肝心なことを聞いていませんでした。お名前は?」
「ああ。エミーナ・ロサフィーさんだ」
「なに!? 外人だと!?」
名前的には外人だろうけど、この世界だと判断が難しいよな。
「これは……また属性が強そうな人の登場ですね!」
「ふふふ。どんな人が来ても、私は負けない!」
「あたしも負けませんよー!」
待て待て君たち。
まるで新たな敵が現れたみたいに言っているが、あの感じからして二人が思っているような人じゃないと思うぞ。
『ねえ、フラグって知ってる?』
『……うん、知ってる』
『私にはわかる。これは立ってる! 盛大に立ってる!!』
くっ! フラグの神様がここまで言うとなれば……。
『フラグの神様じゃありませんー! 恋愛の神様ですー!!』
『お前、その設定まだ貫くのか?』
『設定じゃないし! 本当のことだし!!』
その姿勢だけは感心する。
だが、誰がどう見てもキュアレのことを恋愛の神様だなんて思わないだろうな。