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第二十話 体育祭終わりに

 始まりがあれば終わりもある。

 そして、イベントというのは案外あっという間に終わってしまう。

 ゲームをしている時や、運動している時って時間が過ぎるのが早いような感じがする。

 今回の体育祭もそうだ。

 ちゃんとやることが決まっているけど、いざやってみるとあ、もう終わりかと言った感じだ。


 閉会式を終え、皆疲労の色がある表情。

 冷たい飲み物で喉を潤す者や、さっさと帰っていく者。

 これで九月は本格的に終わりだ。

 来月は十月。

 今年もそろそろ残り少ない。


「くー!! 明日は筋肉痛かもなぁ……」


 背伸びをしながら、康太は言う。

 今、俺達はお疲れ様会ということで、出暮家の喫茶店へとやってきている。

 窓際のソファー席に、俺、みや、康太、白峰先輩の四人で座っている。

 そして、カウンター席には。


「やりましたね!! 学年トップおめでとうございます! 零先輩!!」

「ふふ。応援した甲斐があったわね」


 あおね、ここね、セリルさん、エルさんが居た。

 かむらは、報告することがあるとかでいない。

 

「あれ? セリルさん、来てたんですか? 姿見えなかったですけど」


 康太の言う通りだ。

 どこにも姿はなかったはずだが。


「皆の邪魔にならないようにこっそりと応援してたのよ」

「あたしも学校で勉強しながら全力で応援してました!」

「右に同じく」


 本当、なんだろうか。

 なんだかあおねの声が聞こえた気がしたんだが……。

 まあ、あおねのことだから分身をどっちかに残してってことができるが。

 セリルさんは……どうなんだ? 


「エルも頑張って応援してたわよね」


 セリルさんが言うと、エルさんはこくこくと頷く。

 俺はどうも気になっている。

 本当に彼女達の言葉が真実なのだろうかと。

 彼女達のことだから、もっとこう……常人には想像できないことをしていたんじゃないかと。

 まあ、後で聞いてみるか。


「白峰先輩は惜しかったですね。後、もうちょっとだったのに」


 俺が言うと、白峰先輩ははにかみながら頬を掻く。


「確かに、一位は取れなかったけど。なんかこう……やりきったなぁって感じがして」


 俺達は一年のトップだったが、白峰先輩のクラスは惜しくもトップをとれなかった。

 しかし、白峰先輩にとっては順位など関係ないようだ。

 

「昔の僕だったら、体育祭自体がちょっと苦手だったけど。今回は、頑張ったって思う」


 確かに、今日の白峰先輩はいつになく輝いていたように見えた。

 先輩なりに頑張っていた。

 それは俺達もだが、クラスメイト達も少なからず頑張っていたと理解してくれていただろう。


「うーん、青春ですなぁ」

「いいわねぇ、私も皆と同じ高校生だったらよかったのに」

「おお! セリルさんが高校生! 三年生の美人先輩!! いいんじゃないか? なあ?」


 セリルさんが先輩か。

 確かに、今のお姉さんモードのセリルさんだったら、学校の人気者になりそうだし、皆から慕われるだろう。

 高校生活も更に明るいものとなるはずだ。


「来年はあたし達も高校生ですからね! 出遅れましたが、レッツ青春です!」

「ん? もしかしてあおね。お前、東栄に来るつもりか?」

「え? なに言っているんですか。当たり前ですよー」


 なにが当たり前なのかわからないが。

 そっか。

 もし、あおねが東英に来たら正真正銘の後輩になるのか。


「ちなみに、私も行く」


 ここねもか。これは、今まで以上に騒がしくなりそうだな。


「でもいいのか? 確か、お前達が通っているエスカレーター方式で高校もあるんだろ?」


 あおねとここねが通っている女子中はエスカレーター方式で高校にもいけるのだ。

 

「まあ、確かにほとんどの人達がそのまま高校に上がるって感じなんでしょうけど。あたしは、楽しいところで過ごしたいので」

「そういうことだから、来年はよろしく」

「もう受験受かった気でいるのか……」


 来年、か。

 いったいどうなっているんだろうな。

 特に、今俺に宿っている能力。

 来年には、もうテスターとして役目を終えているかもしれない。そうしたら、普通に高校生として俺は……。


「あおねちゃんとここねちゃんが後輩になる、か……」

「いっぱい可愛がってあげますぜ? ぐへへ」

「きゃー! みや先輩変態ですー!」

「よいではないか、よいではないかー」


 なにはともあれ、今日は十分に体を休めてゆっくりしますか。

 未来のことは、また今度ゆっくり考える。

 この世界だと、考えてもしょうがないって思うけど。

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― 新着の感想 ―
[一言] 学校でのあだ名がハーレムになりそう
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