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第十四話 今後の扱い

 俺は、話した。

 この世界のことを。

 そして、俺の能力について。

 少し掻い摘んで話したが……。


「……」


 白峰楓は、沈黙している。

 どうやら予想外のスケールに困惑しているのだろう。

 そう思っていると。


「二次元世界かぁ……いいじゃんか」


 うん、まあそういう反応になるよな。

 少し心配したが、ものすごくノリノリである。


「それで……本当なのか? 俺の後ろで、ぐーたらしてるジャージの姉ちゃんが」


 と、振り返った先には、言葉通り、ジャージ姿でぐーたらしてるキュアレが。

 俺は、真顔で首を縦に振る。


「信じがたいことだが、神様なんだ」

「信じがたいとはなんだー、私は正真正銘の恋愛の神だぞー! あっ、確定演出キター!!」


 どこの世界にジャージ姿でごろごろしながらスマホゲームを楽しんでる恋愛の神が居るんだ。

 誰も想像できないだろ。

 

「うわー!! 確定演出来たらピックアップが出てもいいじゃん!!」


 とりあえず、ガチャを回しているキュアレは放置するとして。


「で、こっちが」

「忍者のあおねちゃんです! 今は、零先輩の後輩をやりながら忍者してます!」

「いや、逆だろ。忍者やりながら後輩をしてるんだろ?」


 待て。後輩をしてるってなんだ? 後輩ってそういうものだったか?


「ちなみに、分身たるあたしは東英の制服を着ているので本体より後輩度は上です!!」


 まあ、そう言われるとそうかもしれないが。


「く! 作戦のためとはいえ、分身に後輩度負けするとは……! もう一着作っておけばよかった!」


 いったい何を悔しがっているんだ、この子は。


「というか、いつまで分身してるんだ?」

「とりあえず、この話に決着がつくまでですかね?」


 さようですか。

 分身ってこんなにも意思が強いもんなんだな。


「それで、そっちの不思議ちゃんが謎パワーの持ち主?」

「謎パワーの持ち主です!」


 本当に謎だからしょうがない。

 セリルさんが言うには、闇の力ではあるが悪意のようなものは感じないとのこと。どうしてみやにそんな力があるのかは、わからないそうだが。

 

「んで、最後に鑑定眼持ちの」

「ああ。一応主人公ってことになってる」


 自分で言うとなんだか恥ずかしいけど。


「ふーん。鑑定眼ねぇ……それで、俺のことを見て正体を見破ったと?」


 どうやらまだ俺の能力について疑いをかけているようだ。

 確かに、俺の能力は他人に悟られないというのが特徴。

 言葉で説明してもそこまで信じてもらえないというのであれば。


「なんだったら、今からどういうものなのか実感させてやろうか?」


 俺の言葉に、白峰楓……いやもう楓でいいか。今更ちゃんづけもどうかと思うし。

 楓は、面白そうに笑みを浮かべた。

 やってみろってことか。

 それじゃ、さっそく。


「……へえ」

「ん? なにがわかったんだ? 兄ちゃんよ」


 まだ挑戦的な眼差しだ。

 そうしていられるのも今のうちだ。


「あんた、意外と性欲が強いみたいだな」

「どういう、意味だ?」


 俺の言葉に、明らかな動揺を見せる。

 そこへ畳みかけるように、見たものを口にした。


「ほぼ毎日か……小学生なのに盛んだな。多い時は、一日に三回?」

「……」


 反論しようにも事実を述べているので、どうやら言葉が出てこないようだ。

 

「生前もそうだったのか。それとも、性別が変わったせいでどんな快感を覚えるのか気になってやってしまい、そのまま」

「だー!! わかった! わかったよ! 兄ちゃんの能力は本物だって信じる!」

「そうか。それはよかった」

「……人の好さそうな雰囲気の割に、結構意地悪なんだな」


 さすがに、自分の自慰行為について話されるのは恥ずかしかったようで、外見に相応しく可愛らしい恥ずかしがっていた。

 これで中身が四十超えのおっさんだとは……。


「ちなみに、昨日は指を」

「鬼か!?」

「あれです。普段怒らない人が怒ると怖いってやつですよ」


 別に怒ってるわけじゃないんだが。

 

「はあ……にしても、ちょっと二次元よりの地球だとは思っていたが、まさか本当に二次元世界だったとは。それも、俺が生きていた世界と同じ神様が創った、だなんて」


 それなりに耐性はあったと思うが、それでも告げられた現実の衝撃は大きかったようだ。

 しばらく天井を見上げ、動かなくなってしまった。

 ……そろそろ夕飯作らないとな。

 時間を確認すると、すでに十八時を過ぎており、外も徐々に暗くなってきていた。


「それで? どうするんだ? おっさん」

「美少女に向かっておっさんとは失礼だな」


 などと軽く反応してから、にっと笑みを浮かべる。


「決まってんだろ? こんな面白い世界を楽しまないなんて……せっかく転生したんだからな!」


 だろうと思った。


「今まで楽しめなかった分、楽しませてもらうぜ。なあ? 兄ちゃん」


 なんでそこで俺に振るんだ。

 いや、予想はつく。

 ……絶対、これから厄介ごとが俺を襲う。

 平和な日々は、終わるかもな……。

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― 新着の感想 ―
[一言]  黒 歴 史 開 陳 !  こんなん指摘されたら普通引きこもるw  やはりこの主人公のまわり強メンタルしかいないw
[一言] 自家発電を把握されるのは恥ずかしいよな
感想一覧
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