怪談風な結末。
怪談風な結末。
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おじいさんが必死の形相で車椅子をこぎ、そのまま凄い速さで車道へ飛び出した。
そして、なにかに跳ね飛ばされたかのように車椅子がひしゃげ、おじいさんがポーンと跳ねて地面に叩き衝けられ、血を流して道路に倒れた。おじいさんの身体は、変な風に捻れている気がした。
俺は慌てて道路に飛び出し、おじいさんの方へ向かったが・・・そこには、なにも無かった。
ひしゃげて車輪がくるくる回っていた車椅子も、道路に倒れて動かないおじいさんも、道路に流れ出ていた大量の赤い血も、おじいさんを轢いたであろう車も、なにも・・・
意味がわからなくて呆然としていたら、ビーっ! と後ろから来た車にクラクションを鳴らされて我に返った。
そして、大慌てで車に戻り、家に帰った。
後で聞いた話に拠ると、あの病院前の道では以前、脱走したお年寄りが車椅子で車道に飛び出し、車に轢かれたそうだ。
すぐにあの病院に運ばれたが、お年寄りは亡くなってしまったという。
その事故があった時刻は、丁度・・・深夜の一時くらいだったそうだ。
あのおじいさんは、家に帰りたいと、今でも必死に車椅子を動かしているのかもしれない。
自分が、既に亡くなってしまっていることに気付かないままで、ずっと・・・
あの病院の前の道は、あれから通っていない。