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料理 Cooking

作者: ジョアンド

ほのぼのとした暮らしの中に、ふとこんなことを思っている人がいるのかなと思うことをつらつらと

トン、トンと狭いキッチンに包丁の音が響く。玉ねぎとキノコ類をざっくりと切りながら、すでにフライパンで炒めている豚小間を適度にほぐしていく。ここ半年でだいぶ料理の手際がよくなってきているのを感じる。炒めている間に軽くまな板を洗うなど、同時に二つの事ができるだけでこんなにスムーズに料理ができのかと我ながら感心する。


今日はビーフストロガノフを一応作っている。とは言え味付けはソースやケチャップ中心だし、せいぜいヨーグルトをちゃんと水切りしていれて酸味をだすこと、その程度の凝りしかできていない。大学生の一人暮らしにワインやハーブといったものがあるはずもなく、レシピの都合のいいところだけ拾ってなんちゃって料理を作り出している。


隣の部屋で炊飯機がごはんが炊けたことを告げる。よし、こちらもあと軽く火を通したら終わりだ。電子レンジの乗っている棚の下の方から黄色いグラタン皿を引っ張り出して軽く水で洗ってホコリを落とす。キッチンペーパーで拭いて、しゃもじを取って炊飯ジャーを開ける。勢いよく飛び出す蒸気から顔をそらし、軽く炊き立てのご飯を混ぜる。


炊きたてはやはりおいしい。夜のうちに予約して炊いたご飯はどうしても水を吸いすぎるのとか保温の時間が長くなりすぎてしまうのか、味が劣る。だから一日のうち一番おいしいごはんが食べられるのが夜飯の時だということになる。


グラタン皿に真っ白なご飯を盛りつけたら、ビーフストロガノフをお玉で二杯ほどかける。色合いを考えて上に少し緑の野菜をトッピングし完成だ。


自分でいうのもなんだが、僕は自分ではよく料理するほうだと思っている。でも最初は外で食べるのがなんとなく苦手だったから仕方なく作っていただけだった。実家暮らしの人でよく分かっていない人も多いが、一人暮らしにとっての自炊というのは生きるために食糧を生産する行為なのである。けっして娯楽なのではなく、どうやったら取りあえず腹を満たせるか。ただそれだけなのだ。


肉と野菜を炒めるだけなんてしょっちゅうだ。調味料は塩コショウしかないときもある。塩コショウの万能さに感謝しながら肉野菜炒めを食べる。不思議と自分で作った料理というのは作り立てということもあるとは思うが、結構おいしく感じる。だからといってじゃあ今度食べにいかせてと言われても困る。だって他人が食べたら、それは所詮シンプルな塩味が付いただけの決しておいしいとは言えないものだからである。


でも次第に作る料理の種類も自然と増えてくる。たまにお菓子なんかも作ったりするようになる。料理を上手に盛って写真を撮ってはSNSに投稿してすこし鼻を高くする。


僕はいつのまにか料理が好きになっていた。外で食べたくないからという消極的な理由ではなく、自分で作った物を食べたいから自炊するようになった。外で外食するときも自分では作れないものを食べるようになったし、また食べてはなんとか家でもつくれないかと考えるようにもなった。


料理とは女の人がやるものだろうか。別にそんなわけでは決してないと思う。極端に言えばシェフなんて男の方が多いくらいだろう。ただ家庭における家事という面に含めてしまうとどうしても料理というのは母親を中心に女性がやるものだという感じになってしまうのはなぜなんだろうか。でも自分は料理をこれからやっていきたいと思っている。


料理に限らず、世の中には男・女に区別されているものが少なくない。マフラーを男が編むと好奇の目で見られる。可愛いぬいぐるみやインテリアを探すのも、美味しそうなパンケーキ屋さんに入るのも男一人では一苦労だ。男には依然として近寄りがたい女の子の聖域がたくさんあるように思える。


逆に女の子が男っぽいものを取り入れることは趣味の世界だとそれほど難しくないのかもしれない。というよりむしろ女の子にとってのしがらみは男っぽいことをしにくいのではなくて、女の子らしいことができなければならないということなのかもしれない。


まあ結局何が言いたいかという結論があるわけでもない。たまにはこうして、料理をしてみたり、一人でスタバに行って、ピンク色のフラペチーノを注文して、んーっと窓の外をぼんやり眺めている、そんなことをしたいときもある。ただそれだけのこと。


読んでくれてありがとうございます。「フラペチーノ」に実は続きます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 面白かったです!食べるの大好き!
2019/07/28 19:34 退会済み
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