7/166
霊次元ポケット
「ふぁふぃの、ふぃれふぁがふぁいんびゃ。」
どうやら、入れ歯が無くなったといっているらしい。
「えー、入れ歯を見つけた人は職員室までもってきてください。」
霊たちが次々と入れ歯を持ってくる。たいていは自分のやつ。持ち物には全て入獄時の個人番号がふってある。こいつら、番号が読めないのか?
「老眼でな。」
入れ歯をしているほとんどの霊が年寄りだ。
部屋も指導霊たちに探してもらったが、出てこない。奪衣婆が洗ったのか確認した。
「奪衣婆。零号機・初号機・弐号機、いずれにも異物はありません。」
洗濯機内にもなかった。もっともあいつは、何か見つけるとネコババする癖がある。
結局出てこない。もう一度、よく見てみる。
「この、腹の中にあるのは?」
どうやら、飲み込んでしまったらしい。最近は移植技術が進み、内臓が無い霊も多い。そいつら腹は空洞なので、よく物が落ちるのだ。若い霊はポケット代わりにしている。