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獄先(ごくせん)
獄学陰の先生、つまり獄先に選ばれたのが、見える人である。一向に売れない、自称作家、健次もその一人。極秘プロジェクトであるため、彼にはコードネーム、ジャンが与えられた。
最初の年は教科書作り。健次たちの作った教科書は全校で採用されるものだ。こうして、彼は念願のベストセラー作家になった。
次の年から、現場に立つことになった。出来立ての学校に生徒はいない。死者の魂は、新学年になるまで0年生とされた。まずは、勝手に出歩かないように寄宿廟での寄宿霊生活を通して、自分が死者であることを自覚させる。霊年1組。ジャン・ケン先生。これが健次の新たな職業である。