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転生よりも天国に行きたい

初めての人ははじめまして、それ以外の方はこんにちは。カラスです。

ゾディアックサインを書いていたらコンセプトができたので作りました。よろしくお願いします。

「ありえねえ……」


 俺こと信代(のしろ)頼人(よりと)の口から出た言葉は、いつもの口癖だった。

 理不尽が身に降るといつも使う相棒といっても過言ではない言葉だが、今回はこの言葉もこの状況は想定しておるまい。


 だが、俺の状況など知る由もなく、目の前のそれは言葉を続けた。


『貴方はこれより転生します。記憶は失われますが、新たな生を、その魂に刻むのです』

「いや、興味ないんで」


 ありえねえ、といったのは別に死んでしまったことへの言葉ではない。

 正直。


「なんで死んだら生きるのさ? あんた天使でしょ? だったら天国的なところに連れて行ってくれるんじゃないの?」


 目の前にいるそれ……面倒だから、天使と呼ぼうか? 金髪に布切れ一枚まとった翼あるエロ体系のお姉さんだし。

 天使(仮)は、一瞬ムッとした表情を見せるも、またマニュアル通りの言葉を続けた。


『不安がる必要はありません。あなたにとって、幸福になれる場所にお送りしましょう』


 天使さん(仮)はなにやら手を動かし始めるけど、俺はもう一度生きる気なんて毛頭ない。


「どうせ生きていても楽しいとは思えないしさ。引きこもり生活したことあります? そらがんばれってのは簡単だけど、こっちにそんな余裕ないんですよ。やってもやっても終わらないし、誰かを蹴落とさないと生きていけない世界だし。だったらさっさと天国で、のんびり過ごして合法的に退屈に時を過ごしたいじゃないですか。ねえ、あんた俺の死因知ってます? 餓死か孤独死ですよ?」

『この世界に……転生……』

「だから、別にいいですって。ほかの心残りがある人に譲ってあげてくださいよ。俺はもう戦いたくない」

『……ダァァ‼」


 天使さんがキレた。


「うっさいわよ、このダメ人間‼ 何よ、最近の日本の若者は自分のことばっかり! こっちだって仕事してんのよ! 黙ってルールに従いなさいよ!」


 天使がガキのように暴れた。あー、やだやだ、最近の天使は。気に入らないことはすぐにダメだと決めつける。


「大体ね、あんたの生歴みたけど、なによこれ⁉」

「素晴らしいだろ?」

「中学中退、17歳の今までずっと無職引きこもりですって⁉ しかも実家の親にはきちんと学校行ってるから生活費よろしくねって、少しはほんとのこと交えなさいよ‼」

「あー、無理無理。大体、どーせ俺が死んでるんだから、近いうちにバレるに決まってんだろ。天使ってのも頭悪ぃな」

「むっかー! なんなのよ、こいつ‼」


 ムカつくのはそっちだよ。なんだよ、初対面の相手に失礼だろ。


「いいからさ、とっとと天国に送ってくれよ~」


 ちょっと足疲れた。いや、体霊体みたいだけど。っていうか、なんだこれ、俺座れねえのかよ。


「仕事ってそれだろ? 早くしてくれよー」

「ほんっとムカつくわね、あんた‼ ……いいわよ、ちょっと待ちなさい」


 天使さんは俺の頭上で、手で円を描いた。


「今からワームホール開けるから、自然にあなたのお望みの天国にいけるわよ。感謝しなさい」

「よっしゃ‼ これで俺は、概念のような退屈な生活が送れる~!」


 天使が描いた円に、白い光がぐんぐん集まっていく。やがてそれらは柱になり、俺を包み始めた。


「フフッ」


 その時、天使さんが一瞬口をゆがめるのを俺は見逃さなかった。ワームホールが光を持ち始めたところで、天使は、


「なぁーんちゃって‼ うっそでーす! さあ、規則通り転生しなさい、そしてしっかりした人間になりなさいこのクソニート!」

「この嘘つき天使がぁ!」


 俺の体が光に飲み込まれる直前に、俺は天使の腕をつかむ。俺の天才的すぎる反撃に、天使は反応が遅れてしまった。


「えっ⁉ ちょっと⁉」


 天使が動揺する。天使を支えに抜け出そうとしたが、光はどうやら一度中に入ったものは出せないらしい。

 ならば、俺が取る手段はただ一つ。


「転生特典は道連れだ。てめえも来いやああああああああああああああああああああ‼」

「いやああああああああああああああああああああ‼」


 俺の頭の回転の速さに敗れた天使も、俺とともに光の中に溶けていった。ざまあみろ。

こちらも、できるだけ続くよう努めてまいりますので、よろしくお願いします!

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