3話目
「君の名前は、僕の街では知れ渡ってるんだ。だから、僕は…」
スホの話を中断させて、私は気になってる事を言った。
「ちょ、ちょっと待って！私の名前が知れ渡ってる⁉︎どうして！！」
そんなに私はすごい子…？
ううん。違う。
私は、普通の子。
あの時怖い思いもしたし、前も向けずに歩いていたけど、今は自分でも感じる程に成長した。
それが長島永遠なの。
知らぬ間に顔を近付けた私に驚いてるスホを見て、私は恥ずかしくなった。
ああ、恥ずかしい…微妙に暑いな…
「ご、ごめんなさい…。ビックリしちゃって…」
「ううん。大丈夫。ビックリするのもあるはずだから」
そう言いながらスホも私と同じで手で扇いでる。やっぱ恥ずかしいんだね。
「くすっ…」
「何笑ってるんだよ…」
「だって、私達…同じようにこうやって扇いでるんだよ…？面白い…」
こんな経験…あまりした事無いからな…
私にとっては、新鮮な事なんだよ。
「ふふ。楽しいな。こんな時間がずっと続けば良いのに…」
「・・・笑ってる所、初めて見た。すっごく可愛い…」
「え…」
どうしよう。こんな事言われたの初めて…
そういう時ってどんな反応したら良いの⁉︎
「初めて言われた…ありがと…」
「そうなの？永遠は見た目だと可愛いからいっぱい言われてるのかなって思ってた…！」
「そんな事無いよ！私…学校とかは、ずっといじめられてたし…」
余計な事思い出しちゃったな…
私にとっては、忘れたい過去。
消えてたと思ってたのに…
消えてなかったんだね。
「だったら、俺がこれからいっぱい永遠の事、いっぱい知って、言う！」
「ふふ…ありがと。でも、そんな事出来るの？」
「出来るよ！俺なら何でも出来る！」
「っていうか、私の事見た目で決めたよね？ね？」
「え、そんな事無いよ〜？」
わ、わざとらしい…
もしかすると、すっごくイラつく性格してるんじゃ…
要注意人物って頭のメモに書いとこ。
「そ、そういえば、スホ…くん。何で私の名前が知れ渡ってるのっ？」
「スホくん⁉︎何か嬉しい！」
「質問に答えて！」
「すいませんでした」
いちいち言うの恥ずかしかったんだよ…
しばらくの間は勇気が必要かな？
スホくんを信用した私はスホくんに近付いた。
「俺の事、信用したの…？」
「う、うん…！今の会話は…私にとってとっても嬉しい事なの…！」
何だろ…信用したからかな…？
スホくんと喋りにくい…
「リラックスして…ゆっくり話すから」
「あ、ありがとう…！」
「あのね、永遠は俺の街では特別な人間でね、俺は、君が必要だから訪ねてきたんだ」
今の話を聞いて私は思ってる事を言った。
どうしよう…スホくんの話に付いて行けないけど…
「あの…な、何で私が…特別な人間なの…？」
「この話を聞くと、永遠はビックリしたり、信じないかもしれない。それでも良い？」
「び、ビックリする事は確かなんだね…分かった！信じる…信じないは後にして…聞くよ…」
どんな話をするんだろ…？
そのお話は、私の想像以上の話で、いくらスホくんの事を信用してても、今回ばかりは、信用出来るかどうか分からない感じだった…
