11話目
それで、今は歩いてるんだけど、目的なく歩いてるような気がするんだよね。
私の気のせいかもしれないけど。
でも、明らかにスホくんの調子が変。ずっと地図見てるし、表情は自信ないような顔してるし。
こりゃ聞いてみるしかないか。
「スホくん。もしかすると、魔法使いが何処に居るとか分からないの…?」
「え⁉︎そ、そんな事ないよ⁉︎情報を集めて聞いたのがこの近くなんだよ⁉︎」
いやいや、完全に分かってないよね?めっちゃ動揺してるじゃん。
それに、この近くって言ってるけど、何にもないよね。
「スホくん。分からないなら素直に分からないって言おうよ」
「うっ…ごめんなさい…」
「よろしい」
じゃあ何処に行ったら良いんだろ?ここら辺って誰も居なくない?歩くしかないのかな?
「でも、情報は聞き出したんだ」
「え?ちょ、ごめん。いきなり言ったからビックリした」
「ごめん…永遠が眠ってる時に情報を聞き出したんだよ」
「へぇ…でも、どうやって?」
ここら辺って人居ないじゃん?それに、情報を集めれる物なんてこの世界には無くない?伝書バトが居るのかな?
「おじいさんが通ったんだよ」
「おじいさん?」
「そう。おじいさんはね、こう言ったんだ。お前さんの求めるものは北に進めばある、と」
「・・・」
「たから、それを信じて歩いてるんだよ」
その人…めっちゃ怪しくない?
私だけ?そのおじいさん、心、読んでなかった?魔法使った?でも、そんな魔法ないよね?
「スホくん…私、そのおじいさん。怪しいと思う」
「何で?」
「何でって…どう考えても怪しくない?」
「そうかな…?まあ、歩いてみようよ!もしかすると、本当に居るかもしれないし」
「うん…」
心配だな…
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あれから、約1時間。
遠くから松明の火が見える。
「あれ…人が居るのかな?」
「そうじゃない?行ってみようよ!」
「うん!」
何でそんなにはしゃぐかな?そんなに、見つかったのが嬉しいのかな…?
もし、女の子だったら…
ドクンっ…
え…?何これ…胸が…苦しい…
何で?何で?分からない…分らないけど…人に聞いたらいけないような気がする。
これは、私自身の問題だ。迷惑なんか掛けたくない。
「スホくん!待って!」
「早く来なよ!」
「そんな事言われたって、スホくん走るの早いじゃん!」
あ…やっと止まってくれた…スホくん足早すぎでしょ。
「じゃあ、歩いて行こうか」
「そうだね…」