表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パラレルユニバース  作者: 北条龍人
6/37

第6話/天才クヌギ兄の手紙

弟をよくわかっている天才の兄貴は、手紙でヒントをくれるのだった。


 食卓に戻り調理を再開する。


∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

・山菜の炊込みご飯

・レバニラ炒め

・タンニラ炒め

・ローストポークバジルサラダ

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞


まで、準備が終わっている。

サラが材料を見回して、

「あと汁物の味噌汁くらいかしら?」

 サラはいくつもの調味料を味見して、果物や野菜をペースト状に炒め混ぜ合わせ味を調整していく。それを味噌の味に直しをしているようだ。…できるのか?そんなの?甘味、酸味、塩味、苦味、うま味の5つの味のバランスを似せていく作業を少し見守り、他の作業に入った。3人でバタバタと急ぎで準備し、アスティナさんが盛り付けして、俺が皿や食器、グラスを並べた。

アスティナは出来上がった料理を味見した。

「ブルーベリー酒が精神疲労回復に良いんだけど、甘くないお酒のが合いそうよね?」

「あっ私達、未成年なんで、お酒飲んじゃいけないんですよ。」

「それなんだけど、サラ、実はココ、日本ドコロか地球でもないんだ…」

「えっ?どういうこと?」

サラは俺とアスティナさんを見比べる。俺達は笑顔で答えるだけ…

「この世界は、成長段階の到達ラインで飲酒が可能になるのよ。人間なら140㌢くらいで良いとされているわよ。」

サラは、俺をじっと見つめ思案顔だが阿吽の呼吸で俺の判断に乗っかるようだ。

「「郷に入れば郷に従えだね。辛口でも平気です」」

アスティナさんは、透明なお酒を注いだ。白磁のグラスで内側に星がいくつか彫り込まれていた。

「これは…」

光りに透かしてみると星形に透かし彫りらしく、知らない星座が透けていた。アスティナさんはブラックチェリーを2粒潰してグラスに垂らした。

……

…………

すると白磁がみるみるガラスのように透明になって透かしになっていた部分が光り始めた。

 ダークチェリーの滴が渦巻き、液体に闇が広がり、透かし彫りの星座から液体の中に3D星雲のように星が広がっていく。

 魔法のグラスなんだろうけど、ラテ・アートと同じような芸術的な方向性だ。サラのグラスは、雪の降る風景のようになっている。あちらはスノードームみたいな感じ…アスティナさんのは、芽から木になり、花が咲き、そして散る。どのグラスでも、ある種のストーリー展開がされているようだ…


……

…………

………………

グラスのストーリーがループするまで見てから、

「サラちゃんの回復と3人の出逢いを祝って」

「カンパーイ」

 1口目は、フルーティなサッパリした印象だった。飲みやすいので度数は低めなのだろう。

 ただ2口目は、フルーティ感がわからなくなり、喉の奥に辛味を感じ、舌にネットリとした粘度の高い印象で味を堪能するには良いお酒かもしれない。

 レバニラなどならば、お酒の辛さで、レバニラの甘味が強調されて、おいしい、肝心な料理だが…様々なことで和洋折衷というが、あれはすごいことだったようだ。

 お酒とは合うが、異世界料理と俺のレバニラ炒めは合わなかった。アスティナさんは、珍しいらしく、美味しいと言い食べてくれているが、反省しなければならない。

 サラの味噌汁と言うチョイスは、アスティナさんの炊込みご飯をつまみ食いしてから、調整したみたいで、味噌は米味噌だったみたいに仕上がっている。

 豚タンの方は塩味にしたおかげで、炊込みご飯と味噌汁にもあっているが、レバニラは浮いちゃったかも…

始めは、お酒の個性が気になったが、食事中のお酒は、口の中の粘膜が保護されるのだが、味覚の範囲が拡張されているような感覚がする。

 アスティナさんの山菜炊込みご飯は、筍と茸の旨味と山菜の苦味と食感、ご飯の甘味と薄口の出汁醤油の合わせ技で美味しかった。

 そして、山葵(ここでは、紫のワサビ)と刻み海苔と鶏の小角切り見た目は照焼き風をご飯の上に乗せ、だし汁をかけて食べると、また一段と変化が美味しい…あっ“ひつまぶし”みたいな感じか?

「レン、クヌ兄から手紙を預かってきたよ。」

サラは、リュクサックからレポート用紙を出した。兄貴の大学の研究室のロゴが入っている。兄貴は「西園寺(サイオンジ) (クヌギ)」という名だ。いわゆる『天才』の自慢の兄貴でいくつかの分野を研究しているようだが、【脳研究(科学・医学…非科学)】に特に力をいれているようだ。俺の自閉症とPSI症(超常現象)の世界第一人者と呼ばれるくらい…その脳の研究の中で副産物として、

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

[脳腫瘍を小さくする方法]

[脳の萎縮を回復させる方法]

ボケやアルツハイマーを回復させる効果を生物実験で成功

ちなみに、認知症においては、謎、1日2㍑以上水を飲ませ、懐かしの音楽を3時間毎に聞かせる。そして、適度な運動をさせると言う。薬を使わない手法のようだ。


[催眠や洗脳する方法][記憶の操作する方法][夢を操作する方法]

・人体実験で成功。安易な言葉で言えば、自分の身近な人間の幻を操ったり、周囲の人間を奪う。あるいはその人間が最も力を入れていたモノを欠損させれば気力を奪える。

例えば、ランナーなら足を一時的に麻痺させ一生動かぬと伝える。アツアツカップルに恋人の死亡メイクをさせ写真を見せ死んだと伝える。幼子のいる親に子が死んだと伝える。そして、慰めるだろう人達に接触させない。食事もさせず寝かせもしない。窓のない色味のない真っ白な部屋に監禁する。時間はかからず、気力が奪え、簡単に操作が可能になる。それからポイントは心の壊れた人間を回復させる方法を研究するのだ。その研究は自殺願望の強い人間やいじめを苦にした少年少女にも応用できる。過去の記憶を消去し嘘でも幸せな記憶を埋め込むなどの方法もできた。ただ回復する者回復にいたらない者がいる。原因は自殺することを止めるために薬を与え、脳を寝かせてしまう時間が長かった被験者が問題になってくる。など…


[脳の制御を外す方法]

・人体実験で成功

筋力強化(火事場の馬鹿力)など、動体視力強化、集中力強化

生物実験で成功


研究手法は脳に微量の電気を流す。ある薬品の投与。ニューロンとシナプスを操る。

アルツハイマーにはアセチルコリンを投与。

心の壊れた被験者にはドーパミンやセロトニン、βエンドルフィン, エンケファリンを投与しノルアドレナリンを制御など、言い方おかしいが物理的効果?を行いつつ、一見効果が期待できない身近な人間の声や人の暖かさ抱き締めるとか母体の音や過去に好きだった音楽を聞かせるなど、特殊なことは被験者の記憶を独自のAIソフトにコピーして、時間軸と感情軸で表現して大きなマイナス感情の記憶を削除し大きなプラス感情をコピーペーストして、AIから脳に再ダウンロードする。

 これを現実で可能にしたのが成果と言われる。ただ様々な問題点が無くなるがまったくの別人のようになってしまう。大きなマイナスを大きくプラスではなく、大きなマイナスを小さなマイナス位が調度良いが個人差もあるので個々の性格に合わせ家族が違和感を覚えない程度に調整しなければならない。


もちろん一般公開はされている話ではない。倫理的に世界で認められないが世界中で研究されている。

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

アンダーグラウンドな世界で研究で結果を出してきたらしい。オーパーツAB(artificial brain)とかオーピーエム(out of place Medical)など、呼ばれるようになる。


 さて、俺とサラと兄貴は幼少期を共にしているから、俺やサラ自身より兄貴のが俺達をよく知っている。赤ちゃんの時から、超能力が暴走するたびに兄貴は命懸けで助けてくれていたのだ。助け方は…鎮静剤投与だったり、クロロホルムを嗅がせたり…乱暴だったのだが、合理的に意識を奪い、脳を眠らせれば、確かに【超常現象】は鎮まる。その頼りになる兄貴は何を記したのだろうか?


ψψψψψψψψψψψψ

◆レンへ

 これを読めているなら無事ということだな。それはよかった。


▼まず、こちらの状況を説明する。状況と自分の記憶とよく確認してほしい。

 両親が海外旅行中で不在だから、毎日サラとサラの母カヨさんが朝御飯を作りに来てくれた。レンが消えた日の朝も朝食の準備後、サラがレンを起こしに行った。すると部屋はもぬけの殻でベットの上に【シュリーレン現象】が発生していた。わかりやすく言えば、大気の密度が異なることで光が屈折し空間が歪んで見える『陽炎や蜃気楼』を想像してくれ、その状況、私には心当たりがあった。サラが私(椚兄)を呼びに来て状況を確認した。陽炎シュリーレンゲート/(ブラックホールのようなイメージ)の先を確認するために窓も開けてみてわかったんだが、レンが消えた日の夜にレンの部屋の外庭の蜜柑の木に雷が落ちた。直線で約20㍍だ。それの状況とお前の能力を前提に推測すると答えは簡単、雷に影響を受け飛んだってことだ。


▼飛んだ原因は、

・危険を予知して回避した。(飛んだ意識がないはず)

・爆音に恐怖し回避した。(飛ぶことを望んだはず)

問題は前者の無意識で飛んでしまった場合で、陽炎シュリーレンゲートの方向にどこまで飛ぶかわからない。以前にも話したことがあるがレンが3才頃に九州の大分県の祖母の実家に行った時、かくれんぼをしていて井戸に落ちたことがあるだろ?私(椚兄)がすぐ見つけて、桶の縄で降りていったんだが、縄が結んであった木が2人分の重さに耐えきれず折れてしまって2人ともまた落ちたんだ。レンは、私(椚兄)があぶないと思い、東京の世田谷の自宅までテレポートした。自分1人で落ちた時は使わなかったのにね。私と一緒だと能力を発動させた。あの時は私がレンを守ってるつもりがレンに私は護られていると思ったモノさ。あの時に見た陽炎と同じモノだ。無意志に安全な所へと意識の方向性を向けたからこそ場所を指定できたんだろう。訓練もしてない時に大分県から東京都まで1000㌔以上を一瞬で移動した。もちろん、すぐ時間を確認し、時間も腕時計と家の時計が20分前にズレた。日時確認に祖母の実家に電話して両親に確かめた。

 両親が井戸に向かったら、井戸の釣瓶部分の木が折れる瞬間と私達の叫び声が聞こえたらしい。両親も陽炎を見ている。レンは場所だけでなく時間を飛ぶポテンシャルがある。距離に比例した時間の逆行といい言える。だから、こちらからは時間も場所も特定できない。レンの驚いたエネルギーを予測して動揺が落ち着くまで距離を進み時間が逆行する。そこで陽炎シュリーレンゲートにサラが触れつつ追うことになった。もちろんデータも取る。

ψψψψψψψψψψψ


「って、なんでそーなった?ミイラ取りがミイラになるに決まってんじゃん!!」

「ッ!?…どうしました?」

俺が大声を出したのでアスティナが驚いている。

「俺の兄貴は、世間に天才と呼ばれるほど頭良いはずなのにサラに生死もわからない実験をしたみたいなんだ。仮に成功しても“神隠し”というか二次災害になること間違いないなのにー」

「落ち着いて全部読みなさい〜そもそも私が志願したのよ。」

サラは俺をパシッっと叩いてから頭を撫でてくれた。もう一度続きを読み始めた。


ψψψψψψψψψψψ

 追わせる前に事前準備にいくつか道具を持たせる。

まず、【衛星携帯電話(GPS付き)】日本ならば、さほど苦労なく連絡があるだろう。


▼そして、時間軸の移動

今の時代内の過去に飛んだならば、すでに連絡があったはず、未来に飛んだならば、それまでに戻れる研究を私がしておく。

・100年以上、過去ならば、タイムカプセルで連絡しろ。

①西園寺家の先祖を探せ、とりあえず墓参りに行っている墓はかなりの昔からある。手紙を入れろ。

②別荘にある大木の下にタイムカプセルを埋めろ1〜5㍍内に

③子供の頃の秘密基地にしていた井戸や木、洞窟に手紙を隠せ。

▼次に位置の移動

幼児で1000㌔移動できたということは、海外に移動していることもあるだろう。特徴として無意識下で安全な場所を選んぶはずだから海上には落ちないはず、地球上なら、【衛星携帯電話(GPS付き)】が役に立つだろう。

◆衣食住

 ドームテント、食料、飲料、アウトドアグッツ各種、世界の現金各種、酸素マスク、医療道具各種、薬各種ワクチン各種、等(おまけに世界史、日本史、過去の当たりくじ履歴と万馬券履歴など、入り用対策)


 あとベットにあった小石があったので後で調べてみる。上記の想定を超える場合は、自力で帰ることを考えること、昔からそうだが能力を制御に視点を置いていたが帰るために能力を伸ばし強化する必要があるかもしれない。

 そこでサラだ。レンを1人にすると適応するだけして帰ってくるコダワリが弱いはずだ。サラをそちらに送ると自動的に、レンは『サラをカヨさん(東海林家)のモトに無事に帰さなければ!』サラは『レンを西園寺家に無事に帰さなければ!』という責任感が必要以上に生まれる。

 それで帰還率が跳ねあがる。


〔帰還方法〕

自宅の位置情報、時間を意識して集中する。近くに雷を落とせれば再現できるはず、行きは潜在的に『遠くと安全』とレンの好きなモノの近くに行く確率が高い。サラを追わせる方法は小さくなった陽炎に触りながら、『レンを追う』だけを考え、精神を集中してもらい、庭に雷を落とす機械を搬入して再現した。


〔能力開発〕

 いきなり人間をワープさせるのは危ないから、まずは私(クヌ兄)に現状報告の手紙を送るための訓練

▼空間把握のために

キャッチボール、ダーツ、弓道、ビリヤード、将棋、相撲、フェンシングなど、なんでも良いのだが、距離感を鍛えること、目測を正確に出来れば出来るほど良い。(脳の処理的な話)

▼次に千里眼強化

目的地が見え、距離が掴めたら、移動の概念が掴める。

▼次に時間感覚

出発地から目的地に行く所要時間がわかることも大事、時間を短縮するためにはコレくらい急げば間に合うって具合に、

▼全部が揃ったら、

シミュレーションイメージを何度も繰り返し、集中すれば、空間を渡れるはず、


 あの時、大分から東京に渡った時の感覚やレンの超常現象に触れる機会が多かったから、私(クヌ兄)の脳も活性化発達し覚醒したんだと思うんだ。

 レンの周囲は、皆、お前の脳波の影響を受けている。気が合うモノは成長率が高くなると、覚えておけ、こちらも研究を続けるから、そちらも自主努力を努めろよ。

ψψψψψψψψψψψψ



サラが天才の兄貴から手紙を預かってきた。過保護な兄貴だから文の長いこと長いこと「100㌻あるんじゃ?」と思ってしまう。


 キリの良いところで、次回必要そうな時、より読み返そう…

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ