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パラレルユニバース  作者: 北条龍人
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第5話/美少女サラ

幼馴染みが目覚めるのを待ちながら、茶腹も一時、お昼ご飯を調理し始めた。

 異世界文化交流をすることでお互いの世界文化を会話のネタにして共通の趣味らしい料理で[気まずい沈黙]にならないように気をつけていた。

 ぶっちゃけ主人公は自閉症だから、その空気には気がつかないのだか美人のエルフさんがうまく立ち回るのだった。

 サラの寝ている部屋を出て、アスティナさんと荷物をキッチンテーブルまで運ぶとアスティナさんがお湯を沸かし始めていた。

「アスティナさん、今日のお昼は何を作るの?」

「良い茸もあったし炊き込みご飯にしましょ♪サラちゃんも夕方までには起きるでしょう。」

「じゃ俺も一品、レバニラ炒めにしょうが焼き作りますよ。…しょっぱい系野菜炒め、」

「それにローストポークバジルサラダに、スープとデザートかしら…」

「ところで昨日の俺もこんな感じだったんですか?」

「そうよ。でも、レン君はずいぶん力と体力あるのねぇ?」

「それは男ですから、任せてください!」

「じゃあ一緒に薪割りしようか。地下室に食材しまって斧もってきましょう。」

「うっ…はい、がんばります。」


 バルコニーから下り階段を降りて、半地下の倉庫から、さらに地下倉庫は涼しかった。もちろん、豚の内蔵は部位ごとに分けたんだが、腸類(丸腸、しま腸、小腸、大腸)どうしよう…ホルモン焼きで食べれるんだか、ちょっと洗うのに苦労しそう…夕飯はバーベキューを提案してみよう…


 まずは薪割り、アスティナさんがお手本で鉈で無駄な力を入れずに二回に分けて割ってくれた。


コーン…コンッ


 俺もボーイスカウト経験を活かして、ガッ!んっ一刀両断しちゃった…?台にまで食い込んだ。

「ん?存外、割れやすいか?」

 俺が力を入れすぎないように加減しながら、斧で大きく割り、アスティナさんが鉈でさらに細かく割っていく。

 調子良くガツガツ割っていると…俺の横に沢山あった薪が俺とアスティナさんの間に

溜まっていた。アスティナは疲れたのか俺を見ていたようだ。

「レン君?もしかして…そんな疲れてない?」

「はい?まーはい…そういえば思ったほどは疲れてませんね。なんでだろう?」

「んーちょっとジャンプしてみてくれる?ちなみに普段どのくらい飛べているの?」

「だいたい垂直跳びで70㌢くらいかと思いますけど?」

 軽く手を後に振り軽く膝を曲げ、手の振りを勢い良く後ろからバネを効かせ振り子のように後ろから上に振り上げ、 空に蹴延びする感覚で軽くジャンプしたっ


ビュッンッ


 予想もされない加速があり、屋根の縁が近づいてくる。…でぶつかった…そして、地面に落ち…転がった。

「痛っイテテ!」

「だっ大丈夫?」

 アスティナさんが慌てて駆け寄ってきてくれた。

「とりあえず、腕と背中が痛いけど怪我はないです。驚いた…重力かな…」

「速度と力の魔法がかかっているみたいな感じね…」

「3㍍位だったから8倍の重力の世界から?というか8分1しか重力がない?」

「世界に合わせて体の使い方の訓練が必要ね。もとの世界より出来ることは増えるでしょうけど、今のままだと今みたいに危険よ。」

「そうですね。」

「薪割りは、終わりにして、紅茶でも飲みましょう〜」


 サラの様子を覗いてから、暖炉の所のソファーに座り、ついでに本棚から絵本を取り、指輪をつけり外したり変化を調べてみた。別に文字が日本語に変換されているわけではなく、視覚情報はかわらないが内容が理解できるようになっているのだ。つくづく便利だ…指輪1つで一瞬で理解できる。日本の学び方で外国語をここまで修得するのに何年かかるか…

 アスティナさんが紅茶とクッキーの上に生クリームとジャム、と小さなハーブ?とか小さな赤色粒の実などを持ってきてくれた。

 一休みしたら、お昼ご飯の支度、このタイミングで俺とサラの自閉症という障害の話とPSI(ESP)障害[造語]の説明をした。アスティナさんは真剣に聞いてくれた。この世界のモノが何かに役に立って生きやすくなれる可能性があると教えてくれた。この指輪のように…

 俺達は、気を落としてしまったので、とりあえず、気分を変えるため、異文化交流の調理法を披露しあった。

 まず豚タンを3〜5㍉にスライスして、隠し包丁…切断仕切らないでスリットをいれた。噛みきりやすさと舌触りを柔らかく感じさせるためと飾りと味の染み込みを狙ったもの、これは塩タレにつけこんだ。

 豚レバーはデカイ紅葉のような印象だが、4つ又を4つに切り分け白い脂身?筋みたいなモノと血管を取り除いて、こちらもスライスし、こちらはサムジャンダレ(味噌甘辛系?)につけこんだ。

 ニラを3㌢に切り、もやしは髭を綺麗にとって、人参ももやしサイズに切り、小さな中華鍋みたいな形のフライパンで、油をいれ木の実を炒めてから、豚レバー、人参ももやし、ニラと入れ炒めた。

 それで一品、次は豚タンでハーブ系の葉っぱとニラ、胡椒を炒めた。

 同じようなモノだが、アスティナさんの舌の好みを聞くって話だったから食べ比べるのだ。

「レン君は変わった部位を使うね?昨日のはおいしかったから、今日も楽しみだわ♪」

 と言ってくれた。ここでは内臓系は捨ててしまうのだろう。食べるのは、分かりやすい肉の部分だけのようだ。解剖学もさほどすすんでいないのだろう。

 エルフだからベジタリアン色(どちらかと言えば野菜好き)が強いこともあるかもしれないし、アスティナさんの料理は、松茸と筍に鶏モモ角切りの小さめに、知らない葉っぱのご飯って感じだった。

 昨日の料理とは、ジャンルの違う料理を作っているようだ。どうやらお互いに自分が作れる、世界の料理を文化を見せたいのかもしれない。


 俺は、家庭料理から日本料理、中華料理、フランス料理、イタリア料理、タイ料理の中での少ししか知らないけど、世界の料理が集まってくるような国で恵まれていたことを強く感じていた。

 アスティナさんが昨日作ってくれたのは、ロシア料理に近かったが、今日のは故郷の日本料理に近く楽しみだと思っていた。


ビィーーービィーーービィーーービィーーー…


 突然、けたたましい警告音がなり始めた。

「なにっなに?これ?」

「…これは火災報知魔法音よ。キッキンの火は制御されてるように見えるけど、鳴ってるね…?」

「げっ、じゃっサラのパイロキネシスってことじゃん」

 サラの寝ている寝室に駆け込むと天井から雨が降っているのだが、それにもサラのパイロキネシスはモノともせずに渦巻いている。

「うぁ…サラのヤツ、崩れちゃってるよ、大混乱しているし…」

「えっなんで急に冷静になるの?あの状態、大丈夫なの?」

「あれなら大丈夫だよ。スプリンクラー機能のお陰でサラの服と肌は、また濡れ続けているから火傷しない。人体発火は、イメージは体からガスを出して、そのガスが燃えているような感じなんだ。だから炎と体の隙間に水が流れてくれてる。」

 ゆっくりサラの正面に回り込む。

 サラ自身は、泣き喚き空中にパンチしてる感じ…説明すると起きたらいつもの場所じゃないから不安に思っていたら、不意に人体発火能力が漏れちゃった。

 制御しようと思ったら、急に雨が降ってきた。予想外のことが重なったからストレスに耐えきれずに感情が爆発して、人体発火能力も爆発、スプリンクラー機能が強くなった結果、そのスプリンクラー機能に抵抗して炎の渦を作っちゃった感じだろう。

「サラー、サーラー」

 サラの名を炎と水の音に負けないように、大声で呼びながら、ゆっくりと近づいていく…

 混乱に集中しているらしく聞こえないようだ…そう自閉症は何かに集中している時は、音が聞こえないことはよくあること、仕方ないので、近くにあるものを投げつける。


ガンッ


「ぃたぁー!」

 見事、サラのおでこにヒットして、意識…注意をこちらに向けれた。

「サラー、レンいるよ〜。サラ、レンいるー。サラっ、レンいるっ」

 サラの視覚に入ったことを意識しながら、ソッと歩き、サラの燃えている手を引っ張り、顔を近づけた。

「ッ?」

「レン、いるから大丈夫!」

 ヒシッと全身火達磨のサラを抱き締める。

「レン?ぃる?ぅぶ…」

「うん、レンいる大丈夫」

「……」

 2人で呼吸合わせ、力を制御する。目を瞑って、感覚的には深呼吸して心拍数を落としていくことを意識しながら、超スローな6秒吸ってー6秒吐くーを繰り返していく。これで平常心に戻っていくのだ。

「サラ〜落ち着いた?」

「…さら、おちついた」

「サラ、レンも一緒だから大丈夫」

 自閉症は普通の人がオートマチックに行えることをマニュアルで起動していくから、覚醒するまでハッキリしない。

「うん、レン、大丈夫よ。もう落ち着いたから…ここは?」

 どうやら脳がクリアになったようだ。

「そちらにいる女性が、アスティナ・シャルロットさん、サラとレンを助けてくれた人で、ここはアスティナさんの家だよ。」

「エルフさん?きれいで好き〜」

 素朴な感想をサラは漏らす。彼女は綺麗なモノが好きで、海に行けば、割れてない綺麗な貝殻を集め、川にいけば、綺麗な石を集める。美術館も好きで自身でも美術的才能に恵まれている。

「じゃっご挨拶しょうぉ」

 とサラに声をかけ、2人でアスティナさんの前に立って、

「「助けてくれて、ありがとうございます。」」

(2人で同時に礼)

「私は東海林沙羅とうかいりんさらです。レンがお世話にありました。」

「サラが部屋燃やして「すいませんでした。」」

 サラと10年以上前からのルールがいくつかある。やはり普通の健常児とは違い、自閉症特有の相手の感情を正確に察することができない分、人を不快にさせても気がつかないのだ。それがわかっているから、知識で論理的に状況分析して、さらにお互いを客観的に分析してフォローし合うことになっているのだ。


「私はアスティナ・シャルロット。宜しくね♪2人は仲が良いみたいね♪燃えたのはベッドだけみたいで2人とも怪我がなくてよかったわよ。あれだけ炎に魔力を感じなかったから、お互いに情報交換していきましょう♪」


▼▼The world in the book▼▼▼▼▼▼▼▼


▲▲I get out of this world▲▲▲▲▲▲▲

 やっと目覚めたサラ、彼女がここに来た謎が次回、明らかになる。

 制御しなければいけない超能力が突然発動したり、重力が地球とは違い、これまた精神制御だけでなく、肉体制御までしなければならなくなってしまった。


 制御に失敗すれば、パイロキネシスで死ぬか?走っていて止まれずに木にでもぶつかって交通事故になるか?前途は多難になっていく。


 しかし、地球の科学や医学では現状どうにもならないモノでも、こちらの魔法の発達した世界なら違う方向からのアプローチで何かに解決できるかもしれないという希望も見えてきたのだ。

 物語がどう展開していくのかは誰にもわからないのだった。

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