十二騎士団
相変わらず文才はないですが、一応更新です。
1
「……下らないと言うのが正しい様な気がしますが?」
「まぁそう言わずに、カオル君。君には十二騎士団を見てきてほしいのだよ」
「何で僕がそんな事を」
僕はいま校長室に居る。何を血迷ったかこの爺は今度の休みに、十二騎士団を見て来いと言っている。何故そんな面倒な事を僕がしなければいかないのか。
ちなみに、十二騎士団とは国直属の軍隊の事で兵数は少ないが実力は異質と言えるレベルだ。
「君は将来的に十二騎士団の十二番隊騎士団の絶対領域に入るかもしれん」
「・・・・・僕は世間一般で言うサラリーマンを目指しているのですが…」
「君はサラリーマンと言う器ではない。まぁ兎にも角にも行きたまえ。と言うより行かなければ単位を与えんからな」
……職権乱用じゃないか…ハァ…
「やれやれ、何でこうも面倒な事を…まぁ良いでしょう。貴方が言ったようにその十二騎士団とやらを見てきますよ」
2
僕は今、十二騎士団の見学に来ている。だが、今の僕にはそんな事よりも驚愕する事実が一つ。それは――
「何でここに居るんだ………シン、カナ…」
二人がいたんだよ。いや、本当にビックリした。二人の隠し事ってこの事だったんだろう。
「それはこっちのセリフだ、カオル」
「……もしかして、今日見学にくる人ってカオルなん?」
「えぇ、まぁ僕であってると思うよ」
全く、一人で歩きたかったのに。
「いやぁ、特例で見学にくるっちゅう奴がいるから何者かは気になっとたけど……まさかカオルが来るとはなぁ」
「あぁ、俺もビックリだ。だがしかし、お前はその拒絶の力があるからいつかは来ると思っていたがな。まぁこんなに早く来るとは夢にも思わなかったが」
シンは苦笑しつつ答える。僕の方が苦笑したいのに。
「ハァ…校長め……帰ったら部屋を潰してやる」
「ハハハ、程々にしとけよ」
…そんな気は毛頭ないが。
「まぁ、善処しておくよ」
「善処って…知っとる?善処っちゅうんは最初からやる気のない人が使う言葉なんやで」
「あぁ、知っているよ。だって、最初から程々にする気なんてないしね、フフフ」
そんな感じで笑う。まぁ一人じゃなくても良いかな。
「まぁ、取り合えず案内してやるよ。ついて来いよ」
僕はシン達の後に続き歩き出した。
3
三十分後
「で、此処が三番隊騎士団の訓練場だ」
「へぇ、此処が三番隊の……ん、あの子達は」
僕が見た方にはクラス決めの時、僕より先に居た女子二人がいた。
「ん、なんやカオル、気になるんか?」
「いや、そう言う訳じゃない。ただ、クラス決めの時に僕より早く闘技場に来てたから印象に残ってたんだ」
「あぁ、成程な。まぁカオルは女には困らなそうだし。うらやましい限りだ」
「シン…どういう――」
「シ~ン~…どう言う意味や~今の言葉?」
「――カッ、カナ!?」
僕の後ろには物凄い黒いオーラを纏ったカナがいた。
「おっ落ちつけカナ。俺はお前が一番だ」
「うん、そないな事はわかってるちゅうねん。カオルの事がうらやましいちゅう事はどう言うこっちゃきいてんねん」
どんどん魔力を杖に込めて行くかな。ウワァ、これが修羅場ってやつか。面白いな。
そんな事をしているとさっき話しに出てた二人がこっちに向かってきた。
「またやってんのあんた達は?」
「ホンット、懲りないね~…シン君も」
二人は来るや否やそんな事を言い出した。
もしかして、いつもの事なのか?
「いやぁな、シンが二人んことヤラシイ目で見よったから注意してんねん」
「なっ、断じてそんな事は無いぞ!」
「え~、シン君エッチ~」
「全く、彼女がいるのに何をやってるのシンは」
「ちょ、何でそんなふうになる! カオル、お前からも何とか言ってやってくれ」
おっ、半分空気になっていた僕に話しかけてくれた。嬉しいねぇ。
「……でもシン、事実じゃないかい」
僕は前、見捨てられた事を根に持っていたので此処はあえてシンの敵に回った。
「なっカオル!? お前裏切る気か!!」
「ん、裏切る? 元々協力したつもりもないけど」
フフンッといった感じでシンを見る。隣では黒いオーラで毘沙門天を作り上げて、目が光っているカナがいた。うわぁ、怖いねぇ。
「カッカオル、助けてくれたら学園の売店に打ってある特製プリンを五個奢るから!」
学園の売店の特製プリン……一個五百リート(一リート=一円)するプリン。しかしそのおいしさはまさに甘党の僕にとっては最高のスイーツ。是非とも食べたい。毎日一個で我慢しているがそれを五個も買ってくれる…だがしかし――
「……十個なら良いよ(笑)」
僕は笑顔でそう言った。
「クッ…、足元見やがって! なら、六個でどうだ?」
「十個!」
「…七個は?」
「十個!」
「マジ、八個で勘弁して下さい」
「……ハァ、わかった。八個で妥協しよう」
むぅ、泣きながらそう言われると断れないじゃないか。
そんな事を思っていると、カナはシンに対し、魔法を放ってきた。
「うちがおるのに…ゆるさへんでぇえええ!!」
「ハァ…」
僕はため息をつきながら手をかざす。辺りに硝子が割れたような高い音が響く。
案の定、僕の障壁に弾かれるカナの魔法。
「ハァ…落ちついてカナ。二人も囃し立てない。カナ、考えても見なよ。幽霊を怖がるような胆の小さい男のシンが――」
「オイッ、どう言う事だ!!」
「――胆の小さいシンが――」
「無視か?無視なのか?」
「――胆の小さい少年Sが――」
「だからmゴヘッ……バタッ」
「――五月蠅いよシン。思わず足が出ちゃったじゃないか」
僕はそう言いだした足を引っこめる。
「テッテメェ…奢らねぇ――」
「……(スッ)(手を構える音)」
「――嘘です。絶対に約束は守らせていただきます」
シンは少し震えながら答えた。
「ハァ…全く、次ふざけた事をぬかしたら……潰シマスヨ」
「ヒィ!?」
僕はシンの股の間の上に足を構えながらそう言った。
「……何か怒る気失せたわ…」
「まぁ、それが一番。所で、貴方…誰?」
え~、今さらですか~。まぁ名乗るけど。
「僕ですか? 僕はカオル・L・A・シンフォニーです」
初対面と言う事で敬語は絶対。
「……君があの絶対拒絶型の……フゥン、私は雪波 鈴。よろしく。鈴で良いから。私もカオルって呼ばせてもらうよ。一応先輩だ」
「はい、よろしくお願いします」
雪波? …もしかしてあの雪波 咲代の子孫か。成程、だから三番隊所属ね。
ちなみに雪波咲代とは、十二騎士団創設時の三番隊隊長だった人で、数々の伝説を残している。
「で、貴女は?」
僕は先輩と一緒に来た女の子を見た。
「ボク~? ボクの名前は雪波 雫。よろしく~カオル先輩。私の事は~雫で良いよぉ」
何か気の抜けた喋り方だな。と言うより同じ姓じゃないか……つまり――
「二人は姉妹なのかい?」
「あぁ」「そだよ~」
でも、大分印象が違うね。
「さてと、そろそろ僕は行くとするよ。もう見る所は見てしまったしね」
「そうか…んならまたあ――」
「ちょっと待て」
「――した…」
言葉を遮られ、帰ろうとしたところを止められる。
「ん、何です?」
僕が後ろを振り返ると、木刀を構えた先輩が居た。
「私と手合わせして頂けないかな?」
「…ハァ?」
「だから。手合わせしてって言っているんだ!!」
突然何を言い出すかと思えば――
「僕は帰りたいんですが…」
「駄目だ! 先輩命令で私と手合わせをしろ!!」
「おい、其処の三人、何とかしてくれないかい?」
僕が三人にそう言う。するとカナが答える。
「あ~、諦めカオル。あぁなった鈴は止まらへんねん。まぁうちらも気になるしなぁ」
カナがそう言って二人を見る。
「まぁな。創造の力と拒絶の力、どちらが上か知りたいし」
「ボクはただ、カオル先輩の実力が知りたいだけだし~」
成程、誰も味方はいないと。諦めよ。
「はぁ…、なら野太刀位の長さの木刀か何かないですか? なければ普通の木刀で良いのですが…。流石に丸腰ではきついので」
僕がそう言うと先輩は了承してくれる。そして一本の長い木刀を僕に投げ渡してきた。
「さぁ、これで準備は整っただろう! 始めるぞ!」
先輩はそう言うと、コインを空に投げる。そして、コインが地面に当たり音が響く。
「先手必勝! 神速抜刀・神威!!」
激しい闘気と殺気が僕に飛ばされ、拘束の刃が僕の首元に向かってくる。僕は咄嗟に障壁を展開し、その刃を防ごうとした。しかし、障壁一枚では防ぎきれなかったようで、僕は更に三枚の障壁を展開。その内二枚を破られたが、何とか防ぎきった。
「~~ッ!? 流石は三番隊・神風の隊員なだけはある」
即席とは言え、三枚もの障壁をいとも簡単に破壊されるとは予想外だった。
「噂に名高い絶対領域なだけはある! 即席で四枚もの障壁を展開するなんて!」
先輩は嬉しそうに木刀を鞘に納めるように構え、体制を低くする。
「しかし! スピードについてこれなければ意味はない! 神速抜刀・俊足滅敵!!」
先輩が僕の目の前から消える。いや走り出したと言うのが正しいだろう。しかし、速すぎて目視する事が出来ない。
「速さは力!」
「~~ッ!? 流石は十二騎士団の隊員なだけはある!」
僕は何とか反撃しようと狙いを定めるが、移動速度が速すぎて攻撃ができない。
「これで終わり!!」
やられる! 僕はそう思った。しかし、その瞬間にオレンジの曼荼羅型の障壁が展開される。
鐘を撞いた様な低く響くような音が辺りに鳴る。
「!? 障壁を展開した!? しかも、今の速さだと騎士団長レベル!?」
先輩は再び距離を取る。
僕はこんな障壁を無意識の内に展開したと言うのか!?
「………フッ、絶対拒絶型を甘く見ないでくださいよ」
平常心を装い、この障壁を展開したのが自分の意思だと言う嘘をつく。これをすれば、恐らく迂闊には攻撃してこないだろう。
「さぁ、今度は僕の番です!」
僕はそう言うと、足元に障壁を展開する。その反動で僕は急加速を行い、一瞬の内に先輩との間を詰める。
何故反動が起きたかと言うと、絶対拒絶型の障壁の効果にある。通常の障壁は、自らの体に限りなく近い場所で展開される。しかし絶対拒絶型はある程度の空間を置いて、障壁を展開するので、例えそこに何が有るとしても、それを押しのけて近くから一定の場所まで動くのだ。
その時の反動で僕は急加速を行ったのだ。そのため、僕がいた場所の地面は、障壁を展開した四角い跡がくっきりと残っている。
「八獄大叫喚・異々転処!」
僕は先輩の腹に蹴りを当てる。そしてそこから障壁を展開し、先輩を壁際まで吹き飛ばす。更に足元に障壁を展開し、僕は飛び上がる。
「クッ、身動きが!」
身体を強打した反動で、身体が動かなくなる先輩。僕はその真上から回りながら落ちてくる。そして落ちた瞬間に先輩の頭の上で木刀を止める。
「僕のか…ッ!?」
「わ、私も一応十二騎士団の一人なんでな」
僕は勝ちを確信していた。しかし、僕が頭の上で木刀を止めたと同じくらいに、先輩も僕の首元に木刀を当てていた。
「………引き分けって所ですか?」
僕がそう問うと、先輩は頷く。僕は木刀を引いて、先輩に手を差し伸べる。
「立てます?」
全身を強打しているので、一応聞いておく。
「あぁ、問題ない。しかし、君は強いな」
「ハハハ、先輩に比べたら全然ですよ。僕は少し前まで魔法が使えない落ちこぼれでしたから」
「落ちこぼれ? 君がか?」
まぁ絶対拒絶型の魔法使いが落ちこぼれ何て言っていたらおかしいだろう。僕は先輩に今までの事を話す。すると、先輩は納得したように頷く。
「成程、魔法が使えないと思っていから武術の方だけは鍛えていたと」
「えぇ。まぁそうでもしないと抵抗はできませんしね」
実際、体を鍛えていなければ死んでもおかしくない様な事も何度かあった。
「では、僕は帰らせていただきます」
僕は先輩に一礼し、シン達の元に向かう。
「シン、約束を忘れないでくれ。じゃあ、また明日」
僕はそう言って闘技場を出る。こうして、十二騎士団見学と言う僕の一日は終わった。




