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7/25

休日

 

 久々の更新です。


      1



 どうも皆さんこんばんは。家事が大好き、寝るのも大好き、甘い物も大好きなカオルです。さて、僕は明日からある五連休の計画を立てています。皆さんにその一端をお見せしましょう。


一日目

AM六時起床

AM六時半就寝

PM六時起床

PM七時朝食

PM八時風呂

PM九時武器の手入れ

PM十時就寝


二日目

AM六時起床

AM六時半修業開始

AM七時半朝食

AM八時修行場へ行く

AM十時到着

AM十時半修業開始

PM一二時半昼食

PM二時修業再開

PM七時夕食

PM八時修業再開

PM一一時修業終了

PM一一時半風呂

AM一二時半就寝


三日目・四日目

AM六時起床

AM六時半修業開始

AM七時半朝食

AM八時半修業再開

PM一二時半昼食

PM二時修業再開

PM七時夕食

PM八時修業再開

PM一一時修業終了

PM一一時半風呂

AM一二時半就寝


五日目

AM六時起床

AM六時半寮に帰る

AM八時半帰宅

AM九時就寝

PM六時起床

PM七時朝食

PM八時風呂

PM九時武器の手入れ

PM十時就寝


 とこんな感じです。アバウトだが、大体はこの予定で行こうと思っています。

 さて、今日はその大切な一日目。そして今の時間は六時半。と言う訳でお休みなさい。僕はこれから寝る事にします。

 部屋の電気を消し布団にもぐる。そしてその数秒後、僕は意識を闇に落とした。



      2



 インターフォンが鳴り響く。しかし僕は寝ているので気付かない。だが相手も諦めない様でインターフォンを連打する。流石に僕もこれには起きる。


「……誰だろう? こんな朝早くに…」


 時間はすでに一二時である。


「全く、初日から予定がくるってしまったよ」


 此処で再びインターフォンが押される。忘れてた。


「はいはい、今出ますよ!」


 僕はそう言いドアに向かう。


「はいはい誰ですか? PC部品は頼んで……」


 冗談を言いながらドアを開けたが、僕はそこでフリーズする。そしてゆっくりと、ドアを閉めた。


「待て、落ちつけ、CoolになれCoolに。そうだ、これは夢だ。夢に決まって――」

――ピンポ~ン

 再び音が鳴り響く。


「さっきのは幻覚だ幻覚。そうだ、寝ぼけてたに違いない!」


 僕は自分にそう言い聞かせて、再びドアを開ける。そして――

――ガチャン

 再び閉める。


「……僕の見間違えでなければ、犬耳メイドがいた様な? あれ? あれは猫耳だったかな? いや、そんな事は些細な問題だ。おかしいな? 僕は家政婦を頼んだ覚えはないのだが…」


 僕がそうブツブツつぶやいていると音が鳴る。三度目の正直、これで僕は幻覚を見ていたと証明されるだろう。

 そう願いを込めながら、扉を開ける。

 ガチャッ

「………」


 僕は再びドアを閉めようとした。しかし――

――ガッ

 ドアの隙間に二挺拳銃を差し込まれる。


「Open sesame(開けゴマ)」


 ウオッ!? それは流石にシャレにならない! どこの機関の吸血鬼ですか貴女は!


「カオル君、任務ご苦労! さようなら…。 …………じゃなかった。……カオル………何で…閉めたの?」


 ネタを続けるな! そして閉めたのは貴女の格好のせいだよ!

 訪問者はレナ・Y・アストレイ。そして今の彼女の格好はミニスカメイドが猫耳と尻尾を装備した状態。そんなのがドアの前に居たら、僕は閉めてしまうに決まっているのに。


「何で閉めたの? 何で何で何で何で何で何で…」


 目がイッてるよ。ヤンデレはミリアで十分です! いや、と言うより僕は耐性がないんでそんなにくっつかれても……って!


「何で銃を向けるんだ! じゃなくて向けるんですか!」


 何故か敬語で言いなおしてしまう。それもそうだろう。これは怖い。こんな恐怖は初めてだ。


「何で何で……ハッ!? レナは…何を…?」


 我に戻ったのか銃をしまい此方を向くレナ。


「……で、……何で扉………閉めたの?」


「………本気で言ってる?」


「……(コクッ)」


 レナは頷き、どうしたの的な表情で此方を見る。


「ねぇ、自分の格好わかってるのかい?」


「……(コクッ)」


 えぇ、わかっててやっているの…。

 そう、レナの格好は犬耳、そしてミニスカートのメイド服という格好だ。

 朝からとんでもない者をお見せいただきましたよホント……。さっきまで寝る気満々だった目が完全にさめてしまったよ。


「ねぇ、何でそんな恰好してるの?」


 普通の質問。しかし今の僕にはそれしかできない。だって本当にキツイもん。女子に耐性のない男子にこんな恰好をした女子が来る……本気で気絶しそう。


「カオルが…喜ぶと……思ったから?」


 首をかしげてそう言うレナ。可愛いな…世間一般で言うオタクてきな人が言うと燃えだっけ? そんな感じだったよな…あれ、この字であっていたっけ……まぁ良いや。


「何で疑問形…まぁ良いや。上がってくれと本来なら言いたいところだけど、そんな恰好していられると僕も落ち着かないんだよ」


 僕がそう言う。するとレナは悲しそうな表情になった。


「じゃあ…カオルは……この格好で…勇気を出して…来たレナを……追い返すの?」


「うぅ…」


 レナは上目づかいの涙目だ。これは辛い…ここで追い返すと僕は外道畜生の鬼畜野郎になってしまうかもしれない。だから――


「しかたないね。まぁ、汚い所だけど、歓迎するよ。じゃあその前に僕が服を貸すから着替えてくれ」


 僕がそう言う。するとレナは――


「大丈夫…着替え……ある」


 そう言って、扉の外から大きなかばんを取りだした。

 あれ、どう言う事だ?


「なんだい、そのかばんは?」


 すると彼女は――


「レナの……お泊り道具が………入ってる」


 ――とそう言った。

 ん、おかしいぞ? 今お泊りって言わなかったか?


「ねぇレナ、君は泊まる気なのかい?」


「……(コクッ)」


 !?!?


「えぇえええええ!?」


「五月蠅いよ……カオル」


「あっ、すまない」


 あれっ、何で僕が謝っているんだ。いや、そんな事より――


「本気で止まる気なのかい?」


「……(コクッ)」


 えぇ、本気なんですか…。でも――


「ほら、寮母さんの許可も――」

「取った」

 素早いご返答ありがとうございます! と言うより、最初から止まる気だったのか!


「いや、仮にも僕は男だよ」


「だから?」


「だからって……ほら、もし一夜の過ちとかあったら…」


「カオルは…そんな事……するの?」


「する訳無いだろ!!」


「なら……問題ない」


 うっ、不味い。このままでは本気で止まる気だこの子…。


「あっ、僕今から魔法の練習をしようと思っていたんだ。だから悪いけど今日はむ――」

「レナも…一緒に……練習…する」

「…………」


 諦めよう。予定は狂うが、別に修業が嫌いなわけでもないしな。

 僕はそう思いため息をついた。そして、レナに着替えてもらい何時も修行している場所へと向かった。



      3



 僕とレナは学校を出て暫く行った森まで来ていた。


「……此処?」


「いや、この森の奥だよ。少しきついけど頑張って」


 僕がそう言うとレナは頷き歩き出した。

 暫く行くと森の奥の開けた場所にでた。そこが何時もの修業場所。今僕はレナと一緒にその場所に来ていた。


「……凄い…」


 レナが一言つぶやく。まぁ無理もないだろう。木々の間からこもれる光、それに照らし出され光る透き通った泉の水、その光に照らし出される城を思わせる瓦礫と彫刻、崩れかけている壁の 数々、どれをとっても芸術的だ。中でも、泉の中心部に立つ天使の彫刻がそれらの雰囲気を一層盛り上げてくれる。


「此処はね、僕のお気に入りの場所なんだよ」


「お気に入り?」


「うん、此処には約千年前まで大きな城があったらしいんだ。十歳のころたまたま見つけてね、それ以来僕の秘密の場所になっているんだ」


「でも…何で……見つかってないの?」


 当然の疑問。千年前の建造物やその跡地は国に管理されることになる。たとえそれが個人の私有地であったとしても。だがしかし、此処は千年前の建造物の跡地なのに管理どころか手の一つも付けられていないようだ。


「此処に来る途中、洞窟があっただろ」


「……(コクッ)」


「あの洞窟はかなり入り組んでいて別名“地獄の入口”と言われているんだ」


「!? あそこが…地獄の……入口」


 地獄の入口とは、国が指定した特定危険区域の一つで、入れば二度と出られないと言われている。国が禁足地として指定している程の危険区域である。


「そうだよ、此処は地獄の入口の正解ルートを選んだ者だけがたどり着くことのできる桃源郷、僕はそこにたどり着く事が出来たんだ」


「そう…なんだ」


 レナはこの場所を見まわしてそう言った。


「さぁ、あっちに訓練場があるから行こうか」


 僕はレナの手を引き訓練場に向かった。その時、レナの顔が赤くなっていたのは多分見間違えだろう。

 僕はレナの手を引き、大きく開けた場所に出る。


「じゃあ、始めるとしようか」


 僕の言葉にレナは頷き、ボク達は修業を始めた。



      4



 あれから僕たちは五時間ほど修業を行った。


「ふぅ、疲れましたね」


「……(コクッ)」


 僕もレナも、大量に汗をかきながら瓦礫に座る。辺りは薄暗くなってきている。もうすぐ夜になるのだろう。

 ギュッとレナが抱きついて来る。

「レレレレナ!?」


 レナが僕の腕にしがみつく、どうしたのだろう。よく見てみると、少し震えている。

 僕は別の意味で震えているけど。


「カオル…少し……怖い」


 あぁ、成程。レナは暗闇が苦手なのだろう。でも、この場所で一番気に行っているのが夜。昼とは違う雰囲気を出してくれる。僕が此処に修業に来る時は大概、野宿をする。その景色を拝むために。


「レナ、帰りたいかい?」


「……(コクッ)」


 彼女は首を縦に振る。


「なら、送って行くよ」


 僕はその場から立ち上がり、彼女の方を見た。


「カオルは……どう…するの?」


「僕かい? 僕は君を送った後此処に戻ってくるつもりだよ」


 僕はそう言った。すると彼女はその場に座った。


「ん、どうしたんだい?」


 僕が尋ねる。すると彼女は上目づかいで私も残ると一言言った。


「…野宿だよ」


「それでも…カオルが…残るなら……レナも…残る」


 うっ!? 上目づかいでそんな事を言われたらかなりきつい。正直、気絶しそうなくらい。皆さん、お忘れかもしれないけど、僕は女子に耐性が其処まで無いのですよ。学園生活で少し慣れたとはいえかなりギリギリなんだよ。

 まぁ幸い、レナは部屋に来たとき持っていたカバンを持ってきていたので着替え等は困らない。


「…わかった。テントの準備をするから少し待っていて」


「……フルフル」


 レナは首を横に振った。そして――


「レナも…手伝う」


「でも、力仕事は…」


「なら…料理…作る」


 あぁ、成程。それなら助かるよ。


「じゃあ、よろしく頼むよ。器具はこのかばんの中に入っている。材料は修業中に取って来た物を使用してくれ。動物等は血を抜いて切ってあるからそのまま使用していいよ」


「・・・・・コクッ。レナ・・・・おいしいの・・・作る・・・・頑張る」


「あっ・・あぁ、期待してるよ」


 本当に可愛い。もう、気絶しそうなくらい。

 僕がそんな事を思っていると、レナは調理に取り掛かっていた。僕も早くテントを立ててしまおう。

 そして暫くしてテントを完成させた僕。

 僕の目の前にはテントが一つ。本来なら二つ作りたかったのだが、テントを一つしか持ってきてなかったので一つしか作れなかった。まぁ、レナが使って僕が外で寝たらいいのでそこまでの問題ではない。それに僕は“あれの練習”もしたいし。

 そんな事を思っていると、辺りに良い匂いが漂ってきた。おそらく料理が完成したのであろう。僕はそう思ってレナの近くに出していた机の方へ向かった。

 案の定、料理は完成していた。レナは出来た料理を机に運んでいる途中だった。


「あ…今から……呼びに行こうと…思ってた」


「そうかい。すまないね、手伝えなくて」


 僕はそう言って頭を下げた。


「気にしなくて…良い」


「でも…」


「レナ…料理作るの…好きだし。…早く…食べよ」


 レナはそう言って僕を椅子に座らせた。


「じゃあ…いただき……ます」


「あぁ、頂きます」


 僕は料理を食べ始めた。


「……どう?」


「うん、美味しいよ。レナは料理が上手なんだね」


 僕がそう言うとレナはホッとして、料理を食べ始めた。

 僕はレナと会話を交えながら食事を楽しんだ。


「ご馳走様でした」


「おそまつ…さま…でした」


 物凄く美味しかった。レナの料理の腕は天下一品と言っても過言ではないような気がする。

 その後僕はレナと一緒に食器を片づけた。


「レナ、簡易のシャワーを用意してあるから使ってきて良いよ」


 僕はそう言って、壁の裏を指した。


「……良いの?」


「あぁ、僕は後で構わないから」


 そう言って僕は後ろを向いた。


「一緒に…入る?」


 ゑ!?


「ななな何を言ってるんだ!? そそそんなことする訳ないよ!!」


 僕がそう言うと彼女はクスリと笑い冗談だよと言ってシャワーのある方へ歩いて行った。


「全く…なら僕も、あの練習をするか」


 僕はそう呟き、歩き出した。



      5



レナside


「気持ち…よかった」


 シャワーを浴び着替え外に出た。


「………綺麗…」


 レナが外に出ると辺りは真っ暗になっていた。でも泉の水が月明かりに反射し青白く光っている。幻想的これがあっている。

 ♪~♪♪

 ん? 音が聞こえる。

 レナは音の聞こえる方へ向かう。


「亡き…王女のための…パヴァーヌ」


 そう今聞こえているのはその曲。ピアノで弾かれているので辺りの雰囲気を一層幻想的にしてくれる。


「……カオル」


 目の前で彼がピアノを弾いている。辺りの雰囲気と綺麗に重なり芸術と言える。


「おや、レナ。もうシャワーは良いのかい?」


 彼が問う。レナは静かに頷く。


「……ピアノ?」


「ん、あぁこれかい。これはね、ずっと昔から此処にあるんだ。何か魔法が掛けられているみたいでね、壊れていなかったんだよ。まぁ、少し調律が必要だったから僕が直してそのまま使っているんだ。酷い所は玄が切れていたしね」


 彼が弾くのを止めそう言う。


「此処にはね、他にも多くの楽器が保存されていたんだ。全部魔法が掛けられていたから直せば問題なく使えたしね」


 そう言って辺りを見まわす。


「……凄い」


 光に照らし出され徐々に楽器が出てくる。


「月の光に照らされると現れる仕組みになっているんだ。凄いよね、僕も初めてみた時は感動したよ」


「……ラ・カンパネラ」


「え?」


「リク…エスト」


「…畏まりました、お嬢様」


 彼はそう言うとピアノを弾き始めた。


Side out



       6



 まさかリクエストを受けるとは…しかも大練習曲のラ・カンパネラを弾くことになるなんて…。まぁ弾けない事も無いのだけど。

 僕はそんな事を思いながらピアノを弾く


 パチパチパチ

 僕が弾き終えると同時にレナは拍手をしてくれた。嬉しいね、こんなふうに拍手をくれるなんて。


「ありがとう。じゃあ、明日も早いからもう寝ようか」


「……コクッ」


 僕がそう言うとレナが頷く。僕たちはテントの方へと向かった。


「じゃあレナがテントの中を使って」


「カオルは…どう……するの?」


「僕? 僕はハンモックでも使って外で寝るよ」


 僕はそう言う。まぁレナが居るので元からそのつもりだった。しかしこの考えは次のレナの一言で崩れ去った。


「それは…ダメ……一緒に…寝る」


「……はい?」


 何を言い出すんだこの子は。このテントは一人はいればもう限界なんだぞ。どうやっても二人では入れない。


「レナ、このテントに二人は入れないぞ」


「大丈夫。…二人で……寝れる」


 何を言ってるんだ、どうやっても無理だと思うが。


「レナが…カオルの上に……乗れば…良い」


「あぁ、成程………って、えぇえええ!?」


 いやいやいや、ダメでしょそれは。いや、例え良かったとしても僕が耐えきれない。


「五月蠅い…カオル」


「おっと、すまないね…何で僕が謝ってるんだ?そんな事より、流石にそれは不味いよ」


「……??」


 レナはわからないと言う感じで首をかしげる。可愛い、可愛いのだがもう少し常識を持ってほしい。


「レナ、僕は男、君は女だ」


「……(コクッ)」


「良いかい。年頃の若い男女が同じ空間で寝ること自体余り良い事ではないのに君は抱きつこうとしているのだよ。それは取っても不味い事なんだ」


「……何で?」


 えぇ、此処まで言ってわからないの…。


「ほら、一夜の過ちとかあるかもしれないだろ」


「…カオルなら…別に良い。…と言うより……してほしい」


 ちょ、頬を赤く染めてそんな事を言うな。不覚にも燃えてしまっただろ…あれ、萌えてしまったかな?まぁそんな事はどうでも良い。

 グイッ

「え、ちょまっ!」

 僕がそんな事を考えているとレナが僕を引っ張り出した。


「早く…行くよ」


 どんどん引っ張られていく僕。何でだろう、レナの力が物凄く強い。

 僕の抵抗は虚しくレナに引かれ僕は、テントの中に入ってしまった。そしてレナが僕の上に寝そべった。


「ちょっとレナ!?」


「……温かい」


「え…」


「スゥ…スゥ」


 レナは一言つぶやくと、寝てしまった。さて、これからどうしよう。上にレナが載っているため迂闊に動けない。かといってこの状態で寝れるほど僕の神経は太くない。今にも心臓が破裂しそうだ。


「さて、どうするか……」


 この後僕は一晩中寝る事が出来なかった。



      7



次の日


「フワァ…、結局寝る事が出来なかった」


 少し眠いが大丈夫だろう。さてと、レナを起こすか。


「レナ、朝だよ。起きて、レナ」


 僕が彼女に語りかける。彼女が起きてくれなければ僕がテントから出られない。幸いレナはすぐ起きてくれた。


「……おはよ」


「あぁ、お早うレナ。早速で悪いんだけど、僕の上から退いてくれるかな?」


「……(コクッ)」


 彼女はすぐに退いてくれた。そして僕はテントの外へ出た。


「うん、丁度良い時間だね」


 僕がそう呟く。レナは何が何だかわからない問う感じで首を傾げた。


「フフ、もう少し待って。もうすぐ凄いモノが見れるから」


 僕がそう言う。レナはそう聞くと僕と同じ方を向いた。そして――


「!? ……凄い…」


「フフ。ね、スゴイだろ。僕も初めて見た時は言葉を失ったよ」


 朝日が差し込み辺りを照らす。泉の水は白く光り輝く、辺り一面白い光に覆われる。


「これがね、“天使の見回り”の正体だよ」


「これが…天使の…見回り」


 天使の見回り何年かに一度、地獄の入口の奥の方で物凄い光が天に向かって伸びる現象。

 ちなみに、最後にこの場所以外で天使の見回りが確認されたのはおよそ七年前になる。


「この場所はさ、三つの顔を持っているんだ」


「三つの…顔?」


「そう、レナも見ただろ。この場所の昼と夜、そして今この瞬間、朝の景色を」


「……(コクッ)」


「うん、この場所はさ、朝は神秘的な表情を、昼は芸術的な表情を、そして夜は幻想的な表情を醸し出しているんだ」


 僕がそう言う。しかしレナの耳には殆ど聞こえてないようだ。もう、この景色を見ることに集中している。なら僕も、この景色を堪能させてもらうとしよう。

 僕たち二人は、一緒にこの景色を楽しむことにした。


 僕たちはあの景色を見た後、修業を再開した。そして四日はあっという間に過ぎ、最期の一日になり僕たちは学園に戻る。


「フフ、久しぶりに他の人と修業ができてうれしかったよ」


「レナも…嬉しかった。……あの場所も…見れたし」


「そうかい。今度は皆で行こうな」


「……(コクッ)」


 レナは僕の言葉に頷いた。

 

「じゃあまた学園で」


「……またね」


 彼女は一言言うと自分の部屋に帰って行った。



「ふぅ、疲れたな。まぁ、こんなのも悪くは無いね」


 僕はそう呟き、ベッドに倒れ込んでそのまま寝た。


 ちなみに、次の日学校の話題で、七年ぶりに天使の見回りが起きたと騒がれていた。まぁその日一番近くで僕とレナはそれを見たのだけど。この事はレナとの秘密となった。


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