覚醒せし力
今日の更新はここまでです。
「えー諸君、入学おめでとう。面倒くさいからこれで入学式を終わりにします!」
この場にいた全員がこける。おいおい、そんなあいさつで大丈夫か校長? 何でそんなに挨拶を簡単にしたんだよ! いや、これ挨拶って言うのか?
僕はそう思うが、本当に入学式が終わった様でクラス分けのある闘技場の場所を説明している。僕はこんな入学式で本当に良いのかと思いながら闘技場に向かった。
男子が少ないから視線がすごい。体制のない僕にとっては地獄? でしかない。僕はソソクサと闘技場に向かう。ちなみに、友達がいないから僕は一人で闘技場に向かっている。おい誰だ? 悲しい奴って思った奴は。
そんな事を思いながら一人歩く僕。
「はぁ…、どうせFクラスの最下位だろうな」
僕は少し皮肉った感じでそう言った。クラスは上から順にS>A>B>C>D>E>Fとなっている。僕は魔法が使えないから絶対にFだろうな。
「ハァ、嫌だな」
僕はそんな事を呟き闘技場に入った。
するとそこには僕よりも早く二人の女の子がいた。僕は二人に話しかけることなく教師の元へ向かった。
「おや、早かったね。普通なら友達と一緒に来るんだけど・・・・・・その様子じゃ友達はいないのかい」
笑いながら冗談で言っているつもりの先生。しかし、これが冗談じゃないからグサリと来る。
僕は若干申し訳なさそうに声を上げる。
「あ、あの~先生」
僕は顔をそらしながら先生を呼ぶ。
「ん? どうしたんだ? 友達がいない少年」
僕のハートにグングニル(槍)! 冗談になってないですよ先生。僕は俯きながら一言言った。
「あのですね……僕、本当に友達いないんですよ…」
僕の一言で空気が凍りつく。先生は動きすら止めた。ウワァ…、やっぱ言わない方が良かったかも…。
先生は銜えていた煙草を落とした。そして、焦ったように口を開く。
「あ……その何だ………すまなかったな……ハハハ(焦)」
焦っているのばればれですって先生。(焦)って口で言っちゃってたし。
「まぁそんな事より、始めませんか先生? 他にも新入生はいっぱいいますし」
「え、あぁそうだな! そうだそうしよう! 早く済ませる事は悪い事じゃないからな!」
相当焦ってるなこの人。自分が此処で新入生のクラス分けを行うって目的を忘れていたみたいだし。
「では、よろしくお願いします」
僕はそう言って頭を下げた。そして、構えを取る。
「じゃあ、始めようか」
そう言うと先生は攻撃をしてきた。僕はそれを必死に避ける、避ける、避ける。とにかく避け続けた。途中危うい部分もあったがとにかく避け続けた。
ちなみに、何故こんなにも避ける事が出来るのかと言うと、魔法が使えなかった事からいじめを受けたからだ。皮肉な事にその時、攻撃を避けたり防いだりしている内に上手くなったのだ。
「どうした? 避けてばかりじゃ意味がないぞ?」
先生はそう言って挑発してくる。えぇ、攻撃はしたいよしたいですよ! しかし、接近戦だと実力差がわかり切っているし、かと言って遠距離だと魔法は使えないからどうしようもない。
とりあえず僕は、先生の挑発を挑発で返す。
「そう言う先生も、さっきから一発も僕に攻撃出来てない様ですが」
ニヤリと笑いながら先生にそう言う。まぁ、年上だしこの程度で怒るなんて事は――
「――んだとグルァ!」
あったみたいだ…。と言うよりヤバいよ! 先生怒って魔法使う気だよ。しかも最上級レベルの奴! 僕死ぬって。
僕は先生が出し始めた魔力を感じて冷や汗をかいた。
「全ては燃える、その火焔に
我は炎の覇王と契約せし者、さぁ覇王よ、今こそ我にその力を!
大地は燃え去り、天は焦がれ、万物は全て死に絶えるだろう!
炎属性上級魔法<燃え盛る世界>」
先生の詠唱が終わり魔法が発動すると、辺りは炎に包まれる。
「……ちょ、冗談になりませんてこれ!」
「ハッハッハッハッハ、終わりだ!」
先生は僕の声が聞こえていないのか、笑いながら魔法を放ってきた。
あ、コレ死んだ…。そう思った瞬間、火山が爆発した様な音が響いた。
「熱い、熱い、熱い、熱い! って熱くない!?」
どう言う事だ? 僕を中心に一メートル位に火がないぞ。何が起こったんだ?
そんな事を思いながら、僕は炎の中から出た。
2
「ハッハッハッハッハ、終わりだ!」
俺はそう言って新入生相手に上級魔法を使った。使ってしまった。ヤベェ! これ絶対にあいつ重症だって! どうしよう………ばれたら絶対にクビだよな。しかも教員免許剥奪で………マジでヤベェ…。
俺はノリでこんなことをやってしまった事を非常に後悔した。魔法を使ってから思い出したのだ、相手が新入生だって事を。
「おいおいおいおい、死んじまってないだろうなこれ?」
正直さっきの友達の話よりも焦っている。さっきもやらかしたと思ったが、またやらかしたよ。さっきは笑って誤魔化せたが、今回は誤魔化せんぞ。
俺がそんな事を思っていると、火の中から薄らと影が見えた。
「まだ生きている! よかった…」
少し安堵の息を漏らす。あぁ、死んでなくて良かった。
そう思っていると奴が火の中から出てくる。
「!? 無傷だと…」
と言うより、服に汚れすらないだと! どう言う事だ…。
俺はそんな事を思いながら再び構えた。
3
「くはッ! まだ構えているし」
火から出た僕の目に、一番最初に移った人が魔法を撃った張本人で、しかもまだ戦闘態勢だなんて……鬱だ。
「……成程、無傷だからまさかとは思ったが、君は結界指定型の防御魔法の使い手だったのか」
え、そうなのか? 僕自身、初めてできた魔法だから何が何だか分からない。
「しかし、今魔法を防いでいる状態じゃ物理まで頭が回らないだろう!」
そう言うと先生は再び攻撃を開始してきた。
「結界を破る事は難しいが、出来ない事も無い!」
すると先生は先生は、手に魔力を集中させた。
「障壁破壊用攻撃術だよ。覚えておくんだ!」
そう言いながら攻撃してきた。しかし――
――パキィン――
――高い音が響く。先生の腕は弾かれ、反動で腕が折れている。
「な!? 結界じゃない! ならそれは!」
先生は一人目を見開く。僕の事ですよね? 何なんですか一体?
「絶対拒絶型か…………本当に存在していたんだな…」
「マジですか!?」
嘘だろッ! 僕にそんな力があったなんて………でも、攻撃魔法が使いたかった…。だって男の子だから…。
「マジですかって、お前知らなかったのか…」
先生は呆れた顔で此方を見る。僕はそれに頷く。
「いやだって…、今まで魔法が使えませんでしたから…」
「そうか、まぁ中学までは攻撃魔法をかじる程度だからな……防御魔法はやらないから使えないと思っていただけだろ」
成程、よく考えれば確かに防御魔法はやった事がなかった。つまり、僕は防御魔法しか使えないと言う事だな。
「できれば、攻撃魔法も使いたかった…」
僕の呟きを聞き、先生が苦笑する。
「まぁそう言うな。そうだ、お前にこれをやろう」
そう言って先生は一冊の本を渡してきた。
「……なんですかこの汚い本」
嫌がらせか? 嫌がらせなのか? これを僕にどうしろって言うんだ?
「汚い本って……まぁ否定はせんが。でもしかし、その本には遥か昔に使われていた武術が記してあるんだ。俺は習得できなかったが、お前なら出来そうだし」
「何か根拠でも?」
「まぁな。その本を書いた奴が絶対拒絶型って言われているんだ。だからさ」
先生はそう言って煙草に火を付ける。
「まぁ、上級魔法を使ったお詫びと言う事でな」
その言葉に僕はそうですかと返し、本を頂く事にした。
「で、此処からが本題だ。君のクラスについてだ」
「あ、はい」
先生は煙草を吸いながら、僕の方を見た。
「君は、Sクラスに決定だ」
「………ハァ?」
「いや、だからSクラスに決定したって言ったんだよ」
あぁ、成程……って――
「――ハァアアアアア!?!?」
いやいや、この僕がSクラス? 何で何でだ何ですとの三段活用!?
「五月蠅いぞ。それにSクラスで当たり前だろ。お前以外に絶対拒絶は見たことないし、しかも上級魔法を無傷で防ぐ事が出来るレベルだぞ。当然の結果だ」
「いや、ですが――」
「――あ~、異論は認めん! さっさと教室に向かうんだ! 後がつっかえているだろう」
先生はそう言うと僕を闘技場の外に投げ飛ばした。
「ウワァアアアア……っと!」
空中三回転ひねり! そしてみごとに着地! 結果は腰を痛める! 最悪だ…。
腰を痛めたので擦りながら僕は教室に向かった。
4
ガラッ
教室に付きドアを開ける。するとそこには誰もいない。まぁそうだろうな、僕が一番最初に模擬戦したみたいだし。
「ハァ・・・・寝ますか」
幸い、何処に座るかは決まってないみたいだ。僕は窓際の一番後ろの席に座り机に伏せた。
バコッ
「っ・・・・誰ですか?」
僕は突然誰かに叩かれ起きた。すると横には僕がさっき戦った先生が居た。
「よっ、さっきぶりだな。随分気持ちよさそうに寝ていたから起こした。ほら、周りを見ろ。女の子の方が多いぞ、よかったな(笑)」
……何ニヤニヤしてやがる。
「おぉ、怖い怖い(笑)そう睨むな。ほら、自己紹介君が最後だ。とっととヤれ」
「…なんか字が違う気がしますけど……まぁ良いでしょう」
僕はそう呟き前に出た。改めて教室の中を見まわす。と言ってもこの教室に居る生徒は僕を合わせて五人、少ないな。男が一人に女が四人。まぁ自己紹介をするか。
「えっと、僕の名前はカオル・L・A・シンフォニーだ。よろし――」
「――自分の魔法のタイプとその中のタイプも言えよ。後使う武器も」
あのクソ教師め。わざわざ遮って言う事かよ。まぁ良いか。
「えっと魔法自体のタイプは防御魔法。その中のタイプはえぇっと……絶対拒絶型だっけ? 確かそうだったと思うよ。使う武器は…大体刃物全般かな? 大体の物は使えるんだけれど。でも、一番得意なのは野太刀だね。まぁよろしく」
僕が自己紹介を終えると少しざわめいた。絶対拒絶型ってそんなに珍しいのかな?
パンパン
「はい静かにしろ。静かにしなかったら、もれなく罰を与えるぞ」
笑顔でそう言う先生。本気で怖い。先生がそう言うとクラスは静かになった。
「よし、良い子だ。えぇっと俺はこのSクラスを担当するシンヤ・クドウ・ラヴァインファンだ。まぁこのクラスの担当となった。よろしく」
先生がそう言うと周りから拍手があったので僕も拍手をする。
「さぁて、君達にはこれから四年間、勉強を頑張ってほしいのだが・・・・君達も知っていると思うが年に一回行われる最高のトーナメント、クラインド杯。これは毎年全学年が出場する。君達にはこれに向けて日々頑張ってほしい。それに出るためには年に二回行われる校内トーナメントをこの学年の中で優勝する事だ。そして校内トーナメントは約三ヶ月後にある。それまで頑張れよ。以上だ、帰っていいぞ」
先生はそう言うと教室から出て行った。さてと、僕も帰るか。
かばんを持って教室から出た。正直、女子に耐性の無い僕にとっては辛い。入れは逃げるように教室を後にした。
誰かに話しかけられた気がしたが、僕はそのまま帰った。




