主役は裏主人公
別物のPrologueです。
遥か昔、世界を黒い闇が包み込んだ。
太陽が飲まれ、地は割れた。風は暴れ、海は荒れた。黒い闇はとどまることを知らなかった。
黒い闇は魔法すら飲み込んだ。闇には魔法が通じない。人々は絶望の中、死を覚悟していた。これこそが終末であると思い込み。
だが、唯一人、魔法を使わぬ青年が黒き闇を切り裂いた。
青年の名は『ランスロット・ヴァーディアント』。摩訶不思議なことに、魔力も持たぬランスロットが、いとも簡単に黒き闇を切り裂いたのだ。
人々は希望を託した。最強と呼ばれる騎士、ランスロットに。
七日七晩、ランスロットは黒き闇と対峙した。
激闘の挙句、ランスロットは黒き闇を封じ込めた。己が剣のその中に。
ランスロットはその剣を―――――と命名し、一枚岩でできた山の山頂に突き立て封印した。
―――――とは黒き闇の名前。決して口にすることは許されない。とは言っても、失われた発音語言のため、今となっては口にできるものもいないが。
そんなこんなで黒き闇を封印したランスロット。その事実をしる者たちは、彼を剣聖と呼んだ。
だがしかし、偽りの記録を知る者は、彼をこう呼んだ。『裏切りの騎士ランスロット』と。
人々は学ばない。偽りの記憶で黒き闇を封じ込めたものは『アーサー・ペンドラゴン』と記される。
彼には類まれなる魔力量と、魔法の才能があった。国はランスロットが魔力を持たぬ者だというだけで、彼が呼ばれた剣聖の名を、彼から奪ったのである。
さらに悲劇は続いてしまう。アーサーはランスロットが封じ込めた―――――を解き放ってしまったのだ。
剣聖の名を奪われ、裏切りの騎士と呼ばれたランスロット。彼は自らの名が汚されようと、一切怒りを見せなかった。
しかし、そんな彼が怒りを見せた。アーサーが―――――を解き放ったことに。
ランスロットはアーサーを殺し、自らを憑代として―――――を封じ込めたのである。
だが、歴史は繰り返す。人間は歴史から何も学ばない。
◇◇◇◇
ランスロットの死後、約300年。黒炎が世界を飲み込む。そんな中、東洋の島国にとある武士が生まれた。彼は生涯、刀を窮め続ける。
魔力を持たぬ彼が窮めた剣技『燕返』。
彼の名は『佐々木小次郎』。最高と呼ばれる武士だった。
彼が窮めた剣技は、世界を飲み込む黒炎をいとも簡単に切り裂いた。
真実を知る者たちは、彼を剣聖の生まれ変わりだと崇めた。
惨劇の血に赤く染まった大地。黒炎に飲み込まれた黒き絶望。彼は終わったと思われた世界をただ、一振りの刀で救い出したのである。
しかし歴史は繰り返してしまった。彼もまた、ランスロットと同じ運命をたどることとなる。
偽りの歴史を知る者には『最弱の武士』と蔑まれたのである。
偽りの歴史で黒炎を切り裂いたのは『宮本武蔵』と言われる。
魔力がないということで、小次郎は表舞台から消し去られたのである。
そして幾年かの月日が流れた。小次郎は流行の病にかかり死亡する。
するとどうであろうか。小次郎の死とともに再び黒炎が世界を飲み込もうとしたのである。
黒炎は三日三晩燃え続け、この世の命の三分の一を奪い去ったのだ。
この時の黒炎は、彼の死を描くかのごとく、突然消え去った。
◇◇◇◇
歴史にある事柄は、そのすべてが真実であるわけではない。
だがしかし、その偽りの歴史が後世に伝えられ、偽りの知識を生み出すのだ。
この世界『クラインド』は、魔力で解決できない災厄が過去二度も起きたのに、その事実を隠ぺいし魔力絶対主義と成り果てた。
真実の歴史は暗い闇に葬り去られ、人々はまた、災厄を経験し絶望するのであろう。
それ故に、歴史は繰り返すのだから。
そして、事実を知る者の末裔、『ローラント・N・ローゼンクロイツ』もまた、この魔力至上主義の餌食となり、世間から見捨てられた者である。
この物語は、そんな者の話である。
と言う訳で、リメイクと別物、二つの投稿を行いました。
アンケートの参考にしていただければ幸いです。
さて、以上にて絶対防御の主人公の投稿を終了したいと思います。
こんな駄作でも、呼んでくれた方、お気に入り登録してくれた方に、感謝をいたします。
本当に、ありがとうございました。




