クラインド杯校内選考二回戦
短いですけど、久々の更新です。
1
二回戦。僕達は思ったより早く、奴らと当たってしまった。
「まぁ、小説や漫画みたいに、決勝で会うなんて事はないか」
そう、僕達は早くも第一学年Fクラスとの対戦となるのだ。
「さぁて、今回は誰が出る?」
シンはそう問いかける。真っ先に手を挙げたのは僕だ。
「僕を三人目に入れてくれ。歎は性格上、一番盛り上がっている時に出てくるはずだから」
「…………」
シンは悩む。恐らく、僕は防御の術を持っているからいいけれど、相手は因果を逆転させる能力を持つ男。容易には決めることができない。しかし、僕は一度防いだ経験がある。それに――
「この一カ月、何もしなかったわけじゃない。多少は強くなっているはずだよ」
苦笑いしながら僕はそう言った。すると渋々と言った感じで、シンは了解した。シンの決断に周りの皆も納得しているようで何も言わない。
さて、残り二人。誰が
「私……出る」
そう言って手を挙げたのはレナだった。これには全員が驚いた。しかし、レナの実力を知っているので、反対する者は誰もいない。レナは二人目の枠に入る。そして最後の一人。これは――
「ならウチが行くしかないやろ?」
一回戦でてないからと付け加えて、カナは自らプリントに名前を記入した。これで、僕達は対戦準備が整った。
2
「まぁ気楽に考えろ、考えよう、考えましょう!」
ボクはニッコリと笑いながら、プリントを見る。
「さぁと……誰が出る? 出るの? 出るんです?」
周りにいる仲間達を見てボクはそう言った。すると真っ先に手を挙げたのが――
「オレ! オレでたいヨ! 一回戦さみしかたヨ! だから二回戦でたいヨ!」
王 黒龍だった。
「オッケー! なら一番目ね。じゃ次は……」
「私でたいの! 私も一回戦じゃ除者だったから」
じゃ、二人目はリリナで決定だ。そして三番目。
「これは勿論! 皆のアイドル事、この狂咲歎の出番! 出番だ! 出番でしょう!」
そう言って周りの了承も取らずに、三人目の枠に名前を書き込むボク。ボクの性格を知っているカオルなら、絶対に三人目に来るはず。さぁ見せてくれ! SPECIALの力をね!
3
出場者エントリーが終わり、僕達は控室で待っていた。そして歎達のエントリーも終わり、試合が開始される。
『さぁ二回戦第二試合!! 一回戦で圧倒的な強さを見せつた一年Sクラス!! この勢いで優勝を狙えるか?!』
再び、放送部は高いテンションで僕達の紹介を行う。
正直言って五月蠅い。
『対するは……何と! 異例の一学年Fクラス!! どういう事でしょうか?! 一回戦で恐ろしい力を見せつけてくれましたが、いまだにFクラスの出場が信じられない……です……』
放送部の声は、どんどん小さくなっていく。歓声に包まれた会場も、静まり返り、全員が同じ場所を見る。
そう、僕達の対戦相手Fクラスの方に。其処にいたのは、不気味な雰囲気を醸し出し、不敵に笑う歎達の姿。
「あぁ……現実は漫画やゲーム見たいにはいかない、いかないね、いかないですねぇ……。でも、これも良いかもしれない、しれないなぁ、しれないですねぇ」
歎は静かに、呟くようにそう言った。
『……で、では……第二回戦……、第二試合を始めましょう』
僕達の試合は、静かに開戦した。




