サバイバル ~最終日~
夏休みに入っても毎日学校で、久々の休日に久々の投稿。
クオリティは今までで一番低い様な気が……。本当に申し訳御座いません…。
1
今日でサバイバルが終わる。やっとだ。長かったこの一週間。しかし、この日に、この日にある事件が起きた。
それが、近くの魔族研究所から、魔族が逃げ出したと言う事件だ。逃げ出した魔族はキマイラ。魔族内での討伐ランクは低いモノの、学生で相手に出来るような優しい化物じゃない。
「と言う訳で、サバイバルは中止だ」
「……今さら?」
「あぁ、今さら」
久しぶりに出てきたシンヤがそう言った。
僕はFクラスと決着を付けたかったのだが。
「ちなみに、第一位から第三位までクラインド杯に出られるから、決着を付けたいと考えているなら、クラインド杯でやってくれよ」
そう、シンヤが言った。周りには僕とシンヤ以外誰もいない。僕以外は全員転移して学園に送られたのだ。さて、ならばなぜ僕が此処に残っているのか。それはいたって簡単。
「こんなふうに話していても良いんだけど、一回の攻撃で一~二枚の障壁を破壊されていってるんだよ」
「あぁ、みたいだな」
そう、周りには僕たち以外に生徒はいない。しかし、僕が張った障壁の外には、巨大な魔族、キマイラがいるのだ。
「さて、どうするか?」
「いや、教師である君が決めるべきだろ?」
「そうなんだけど……。ぶっちゃけ面倒だし」
教師の言葉かそれが。生徒が一人残っているんだぞ? いや別に、キマイラの攻撃が防げないわけではないのだが……。
まぁ良い。とりあえず、面倒になってきたから、潰すか。
「あいつは殺しても良いのかな?」
「ん? あぁ構わないぞ」
シンヤがそう言うのと同時に、僕は手を振り下ろして、キマイラの足を潰した。
「ギィヤァアアアアア!!?!?!??」
甲高い叫び声を上げるキマイラ。
「全く、五月蠅いよ。化物の分際で」
そう言うと僕は全ての足を潰し、動きを止める。
「ウワァ、お前容赦ないな」
「ん? そうかな?」
「いや、まがいなりにも人の顔が浮き出ていた部分を躊躇なく潰すなんて」
キマイラは一種の幻覚作用を起こす臭いを発しているらしい。その臭いを嗅いだものには、キマイラが同族の生物に見えたり、また一部が同族の生物に見えて、殺し辛いそうだ。しかし幻覚と分かっているので、別に躊躇する事では無い。
「別に良いんじゃないか? それにこのまま動かれて、本当に人間を取り込まれた方がやり辛い」
キマイラの能力の一つに、喰収と言う物が有る。これは、食った物を自らの体の一部に取り込み、殺さずに生かしておくと言うものだ。これはかなり気持ちが悪く、また同族が取り込まれていると、本当に躊躇してしまう。その躊躇した瞬間に、喰い取り込まれると言う訳だ。
「さてと………サバイバルを中止にしてくれた恨み、晴らさせてもらうとしよう!」
僕はそう言い、総攻撃を開始した。
2
「ギ……ギギ……」
見るも無残な位に潰れたキマイラ。正直気持ちが悪い。キマイラの幻覚作用で、潰れているのが人間の様に見えるのだ。
「ウェ……、もういい加減に殺して良いんじゃないか?」
「……だね。これ以上は気持ちが悪くて見ててられないからね」
僕はそう言いキマイラの顔めがけ、紙を振り下ろした。
「………最後の最後まで気持ち悪い奴だね。切り落とした部分が、人の頭に見えるよ」
「あぁ……確かに。でも、暫くしたら消えるだろう」
シンヤは顔が真っ青になっている。恐らく僕も同じなのだろう。幻覚と言えども、人間の形をした物を殺したのだから。
あぁ、暫くお肉は食べれなそうだな。最悪だよ。こないだ商店街の福引で、三等の国産最高級牛肉を手に入れたのに。まぁ腐らないよう魔法保存してあるんだけど。
「じゃあ帰るぞ。キマイラはほっといて良いそうだ」
「そう。ならよろしく」
そう言うとシンヤは、僕の肩に手を当てて転移を発動した。
3
転移で僕は学校に帰ってきた。サバイバルの閉会式は始まっており、順位が発表されていた。
「え~まず三位はAクラスの第四チームです!」
パチパチパチと拍手が送られ、リーダーに賞状と盾(小)が贈られる。
「第三位のAクラス第四チームには、学食一年間無料券が与えられます!」
すると横から出てきた教師から封筒を渡される。そして壇上から降りて行き、壇上の前にある表彰台に上がった。
「続いて二位は……何とFクラスの第一チームです!」
その言葉に会場がどよめく。歎はそんな中、笑顔で壇上に上がっていく。そして同じように賞状と盾(大)が贈られる。
「第二位のFクラス第一チームには、学食四年間無料券が与えられます!」
第三位と第二位の差。これ考えた奴は誰だよ。差が激し過ぎるだろ。
「では、第一位の発表です!」
その放送の瞬間、会場にいた殆どの人が、どうせSクラスだろ的な事を言っていた。確かにそうだから仕方がないのだが。
「一位はSクラスです! おめでとうございます!」
あれ、壇上には誰が上がるんだ? あ、シンが行った。
シンは賞状とトロフィーを受け取った。
「第一位のSクラスには、学園内全お食事処三年間無料券が与えられます!」
だから考えた奴は誰だよ! 学食と学園内全お食事処の無料券って! いくらなんでもやり過ぎだろ! しかもシンが居るんだぞ! 泣くよ、絶対に食べに行ったお店の店主が泣くよ!
「ちなみに、学食や全お食事処には前もって五千万リートを支払っておりますのでご安心ください」
どっからそんな金が!? 学食も含めたら数が五十は超えるよ!?
「お金は学園長が自腹で払ってくれたのでご安心を」
学園長凄い! どんな大金持ちだよおい! ん? 学園長なんか泣いてない?
「うぅ……儂の一等だったリベルビック宝くじが……儂の五十億リートが」
どんだけキャリーオーバーしてるんだよ! あ、そう言えばリベルビックって言えば一等が七億リートだったな。いや、それでもキャリーオーバーし過ぎだろ。
「ご愁傷様、学園長」
「お前なに言ってんだ?」
隣にいたシンヤがそう言ったので、僕は学園長の方を指差した。学園長を見たシンヤは、僕と同じ事を察したようで、手を合わせてご愁傷様と言っていた。
「良いもん良いもん! 三億リート残ったもん! あでも、家のローンで殆ど消えて、実質残るのは三千万リートじゃん。あ、そう言えばこないだ妻が新車買ってたな。はぁ…、考えれば考える程、減っていくなぁ…」
ドンマイとしか言えないですね。いや、そのお蔭で僕達は無料券を貰えるんだけど。
「では、今回のサバイバルはこれにて終了です! 明日から三日間の休日で、疲れを十分に取ってくださいね!」
そう言い壇上から降りて行く教師。そして一斉に動き出す生徒達。恐らく寮に帰るのだろう。
「お~い! カオル~!」
「ん? あぁシンか。どうしたんだい?」
「いや、どうしたんだ言って……。ほらこれ、優勝賞品の食券」
そう言ってシンは一枚のカードを投げる。
へぇ、これがねぇ。僕はカードを見た後、生徒手帳に挟みこんだ。
「で、他に何か用は? 僕は帰って寝たいんだけど」
「なに言ってんだ! 今から食券を使って打ち上げに決まってんだろこのボケガァアアアア!!!」
「五月蠅いよ! 拳のおまけも付けたるよ!」
僕はそう言いシンを殴りつけた。
「………痛い。まぁいいや! とりあえず、お前も付いて来いこの野郎!」
僕はシンに手を引っ張られ、焼肉屋に連れて行かれた。
さっき肉を暫く食べれなくなるような体験をした僕に、喧嘩を売っているのかと思ったが、皆と笑いながら食事をしたため、楽しむ事ができた。
「で、何でお前は肉食わないんだ?」
「………」
僕はトウモロコシやキャベツ等の野菜しか食べなかったが。




