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サバイバル ~二日目・三日目~

      1



 二日目

 サバイバルが始まり一日目が過ぎた。今日から本格的な戦闘が始まるだろう。早い所は今日の深夜一時くらいから行動を開始しているようだ。しかし、僕達の居る場所は気付かず、他の班と潰し合ってくれているようだ。

 このサバイバル訓練は一チーム倒すごとに十ポイント。そして僕達Sクラスを倒したチームは六十ポイント貰えるらしい。しかし、簡単にそれをさせないのが僕達Sクラス。朝から僕達が行動を開始すると、Eクラスの第三、第四チーム、Bクラスの第一、第三チーム、Cクラスの第八、第六チーム、Aクラスの第二チーム、が襲撃を仕掛けて来たので全て返り討ちにした。恐らく、僕達を倒せば一気に六十ポイント貰えるのでそれに釣られたのだろう。同じ学年だから、力で差があるなら数でその差を埋めようと二チームで来るクラスもいくつかあったが、そのどれもが十分持たなかった。

 ちなみに、Sクラスは第一チーム、Aクラスは第五チーム、Bクラスは第八チーム、Cクラスは第十チーム、Dクラスは第十一チーム、Eクラスは第八チーム、Fクラスは第三チームまである。

 そして、現在のランキングは一位Sクラス(七十ポイント)、二位Aクラス第一チーム(十ポイント)、同率二位Fクラス第一チーム(十ポイント)、以下〇ポイントとなっている。


「ふむ、流石にあれだけ返り討ちにしたから襲撃してくる班はないね」


「まぁ、皆開始二日目で終わって後雑用なんてものが嫌なんだろ?」


 シンがそう言って、手に持っている水筒を開け、水を飲む。


「……誰?」


 レナは一人後ろを向いてそう呟くと、手に持っていた魔武器のファートゥムを容赦なく二十メートルくらい先の茂みに向かって放った。しかも形状を神人が作り出した武器の自動小銃変えている。それもフルオートで。弾を魔力(下級魔法一発分=弾百発)で作る事が可能なので、容赦なく撃ち続ける。しかもレナは魔人で、その中でも膨大な魔力を持った部類となっている。そのため、魔力温存? 何それ的な感じで銃を茂みに乱射し続ける。


「まだ……出て…来ない。……魔弾・Full obsidione」


 レナはそう言うと、ファートゥムの形を巨大なライフルに変える。


「!? アンチマテリアルライフルですか!? 初めて見たです…」


 ミリアは神人の血も引いていて、科学の知識も勉強しており神人が作っている武器の知識をある程度持っている。そしてレナの持っているファートゥムを物珍しそうに見る。


「皆…伏せて…」


 レナがそう言ったので、僕達は地面に伏せる。すると次の瞬間、森全体に巨大な爆発音が轟いた。そして二十メートル位先にあった茂みはあとかたもなく吹き飛んでいた。

 暫くすると――

『~Dクラス、第十チーム全滅。Sクラスの合計ポイントが八十となります~』

と言う放送が森に響いた。

 この時僕は、レナの凄さに気付いた。そして同時に、絶対に敵に回してはいけないんじゃないかと思った。


「おぉ~、レナちゃん凄いです」


 ミリアが目をキラキラさせ、レナを見る。レナは一言ありがとうと言うと、ファートゥムを通常の形に戻した。

 そして僕達はその場から歩き出した。



      2



 暫く歩いていると、僕はある珍しい木を発見する。


「ん? ……あれは確か…」


「どうしたんだ?」


 シンが訪ねてくる。僕はそれを聞き、一本の木を指差す。そして僕はその木に近づき、木の実を一つ手に取る。


「ヤッパリ! これは甘実じゃないか! うん、これが有ればデザートがより一層美味しくなるぞ!」


 甘実とは、名前の通り甘いシロップ等が詰まった実の事だ。赤色の実にはメイプルシロップが、黄色の実には蜂蜜が、白い実にはホイップクリームが、黒い実にはチョコレートシロップが入っている。

 僕は甘実の説明をし、シンに物質保存の補助魔法のボックスを使ってもらい、甘実を大量に手に入れた。


「あ、そう言えばさっきDクラスのチームを倒してから、敵にあってないね」


 僕は甘実を取りながら、そう一言呟く。


「皆、萎縮してるんでしょ? 迂闊に動けばやられるって」


 アリアが口を開きそう言った。


「まぁ、少し地形に詳しい奴や、戦闘に詳しい奴なら、岩場や山頂に拠点を設けていると思うわ。でも、私たち自らが其処を目指して進軍しなくても、最終日に近づくにつれて、私達を襲撃する班が続々と出てくるはずだわ」


 僕を含め、この場にいた全員がおぉっと目を見開く。アリアは頭が良く、戦闘になると第三者の視点で物事を言う事が出来る。また、戦闘時の作戦や、皆の戦闘配置、そして何時、何処で、どうやって敵を撃つかを考える事が得意だ。


「さてと、今日は拠点に戻りましょう。魚は昨日食べれなかった分が有るし、今日取るべき食料は手に入れたわ。まぁ、おまけも付いているけど…」


 アリアがそう言うと、全員が僕を見る。

 ん? 何だろう?


「自分何で何だろうって顔してんねん…」


「いや、だって僕には思い当たるふ――」

「だったらその抱えとるデカイ熊は何やねん!」


 ん~、貴重なタンパク源じゃないか。それに、魚だって何時までも持つわけじゃないし、魚ばっかりだと飽きるし。


「まぁ美味しいから良いと思うけど?」


「カオル………熊……食べた事……ある?」


「あぁ、勿論。ちゃんと血抜きをして、内臓とかも取ってしまえば臭くないし、結構美味しいよ」


 僕はそう言い熊を抱え直す。

 レナ以外はため息をつき、何も言ってこなくなった。


「どうしたんだろう?」


 僕はそんな疑問を抱きながら、拠点へと戻った。そして洞窟の奥の方で、熊の血抜きと内臓を取る作業を行い、今日は終了した。



      3



 三日目

 この日は僕が一人で行動する事になった。理由としては、シンの腹痛だ。今朝起きたら、シンが呻いていたので、理由を聞くと、お腹が痛いとの事。そのため、薬草を探すべく僕が散策しているのだ。薬草は素人が見つける事は難しく、更に似たような毒草まであるから、女性陣に散策してもらうのはご遠慮いただいた。

 ちなみに、シンが腹痛になった理由は昨日の晩のつまみ食いだ。まだ調理していない食材をそのまま食べたため、食あたりしたのではないかと考えられる。

 薬草も今さっき手に入れた。だから後は拠点に戻るだけだった。

 しかし、僕は拠点に戻る前に面倒事に巻き込まれたようだ。今僕が面倒だと思っている事は、目の前にいるギルフォードだ。周りにギルフォードの仲間はいない。そしてギルフォード自身もボロボロ。恐らく仲間を置いて逃げて来たのだろう。


「やぁ落ちこぼれ。よく生き残っていたね」


 ギルフォードはそう言い強がるが、見た感じではほぼ満身創痍。僕が此処でリタイアさせてあげても良いが、それすらも面倒くさく感じる。


「…、君に言われる筋合いはないんだけどねぇ。それに、僕は君みたいな親の七光君が生き残っているのが不思議で不思議で」


 とりあえず嫌味を返しておく。するとギルフォードは怒りに顔をゆがませる。


「クッ、お前は本当に僕を怒らせるのが好きなようだね!」


 そう言ってギルフォードは自分の武器を呼び出す。


「斬王・紙!」


 僕は自分の武器を取り出す。そして、ギルフォードが攻撃を開始しようとした瞬間に――

「八華彼岸・曼珠沙華!」


 障壁を八方向へ展開し、その中心を斬り裂く。そして最後に八つの障壁で叩き潰す。これがこの技の極意。

 ギルフォードはまともにこの技を受け、その直後にペンダントが砕けた。


「フム、弱過ぎるね」


 僕はそう言い武器を納めようとする。しかしその直後、硝子が割れる音が響く。

 障壁が砕かれた!

 僕はそう思い、後ろを向く。するとそこには――


「歎…お前か」


 狂咲歎の姿が有った。


「あれれ? ボクはあの七光を追ってきたはずだけど、だけども、だったけど………何故に何故、何でかな? カオルが居るのは…」


 血まみれの姿で、手には一つの鎚。恐らく、人を殴った後なのだろう。鎚も血まみれだ。


「歎ぃ~! 待ってよ~!」


 僕が歎と会話をしていると、後ろから歎のメンバーと思われる五人が姿を現す。その中にはリリナの姿もあった。


「あれ~、カオルじゃない。何で此処に?」


「………それはこっちのセリフで良いかい?」


 僕は傍から見れば異様ともとれる血まみれの歎、リリナ、そして他のFクラスメンバーを見てそう言った。全員が血まみれなのだ。


「こいつだれネ? 二人の知り合いカ?」


 一人の黒衣の男と思われる奴が僕に着いて聞いて来る。


「えぇ、カオルは私達の幼なじみよ。ちなみにSPECIALね」


 リリナがそう言うと、歎とリリナ以外の全員が身構えた。


「………僕と戦うのかい?」


「う~ん、現状を見ればそうだね、そうだよ、そうだとも。けれど、ボク達が知っているのに、君には何の情報もないってのは些かボクの美徳に反するからね。ボクら以外の紹介を軽くするよ」


 そう言って歎は四人の横に立つ。


「右からわん 黒竜へんろん。武術の使い手。次にエミリー・ウィップル。槍の使い手。次にサーシャ・プロティート。弓の使い手。最後に獄神 焔。銃の使い手さ」


 全員の紹介が終わり、歎が此方を向く。そして敵意を向けて来た。


「カオルとは戦いたくないけど……これも訓練だから………行くよ、行こうか、行きますよ!」


 歎の声と共に、動き出すFクラス。最初に歎の攻撃。結果を先に出し、原因を後で行うチートだ。


「ボク達Fクラスだって魔武器は召喚出来たんだよ。ほら、この通り!」


 そう言って歎は持っている鎚で僕の頭を叩いたと言う結果を出す。しかし、僕の障壁がそれを許さない。


「カオルの魔法は絶対拒絶型! でも、数で押せばどうってことないの!」


 リリナが人形遣いの能力の応用で、鋼糸を使う。僕はそれを障壁で防ぐも、辺りの木に絡まって行き、間接的に僕を拘束した。


「しまった!?」


 僕がそう言った瞬間、展開している障壁の一部を破壊される。


「残念だたネ。オレの能力、魔穿鉄拳ませんてっけんは魔法を破壊する能力だヨ」


 そう言われた直後、僕の障壁は全て砕け散った。すると鋼糸で完全に拘束され、四肢を撃ち抜かれる撃ち抜かれる。


「~~ッ!?」


「俺様の能力は見敵必殺(サーチ&デストロイ)。狙ったら最後、確実に当たる弾を撃つ事が出来る」


 倒れそうになるのを、拘束が許さない。そして次に、腹部を槍が貫通する。四肢に銀色の巨大な針が刺さる。


串刺好くしざしこう。相手を串刺しにする妾の能力。いかがです?」


 激痛の余り、声を出す事が出来ない。そして最後に、両肩に矢が刺さる。そして、体内に激痛が走る。


「ガ…ァ…」


「ごめんなさい! でもこれが私の能力、亡飮亡喰ぼういんぼうしょくなんです!」


 そう言い頭を下げる敵。そして最後に歎が近付いて来る。


「う~ん、ここまでやると見ていられない位無残だね~。でも、君の不死性は異常とも呼べる、呼べるし、呼べるから……徹底的に殺らせてもらう、もらうよ、もらいます」


 そう言って頭を鎚で殴ってくる歎。しかし、感覚がマヒしてきたのか、痛みをそこまで感じない。何度も、何度も殴られるが、痛みを感じる事がない。


「嘘でしょ……、あれだけ頭を殴られているのに…まだペンダントが割れないだなんて…」


 一人が驚きの声を漏らす。


「それが、カオルの怖い所。どんなにボロボロになっても立ち上がるあの不死身の肉体。アタシ達が恐れているカオルの一面なの」


 リリナがそう言う。歎は僕を殴り続ける。


「クッ、まだペンダントが割れないなんて……ヤッパリカオルは凄い、凄いな、凄過ぎる」


 そう言いながらも殴り続ける歎。


「………リリナ、拘束を解いて」


 歎がそう言う。


「え、良いの?」


「うん、構わないよ。カオルには……本気で死んでもらうから…」


 歎の雰囲気が変わる。


「さてと……歎、君の負けだ」


 リリナの拘束が解かれた瞬間、カオルは空中高く投げ飛ばされる。そして、落ちてくるであろう場所に、歎は短剣を向けた。

 しかし僕は空中で耐性を整え、障壁を展開する。そして歎の短剣を砕き、攻撃を開始する。


「言っておくけど、僕がこの絶対拒絶型の魔法使いだって分かったのは最近だ………僕はそれまで魔力が多いけど魔法が使えないと言う事で、蔑まれ、虐められ、何度も暴力を受けて来た。そのせいか、多少性格が歪んでいるんだよね…」


 そう言いながら、歎の膀胱が有るであろう部分を本気で蹴り飛ばす。


「!?!? ウゥ……アァ…!?」


 膀胱は神経の束が存在する。そのため、人体の急所としても有名だ。少し刺されただけでも激痛で動けなくなる程。蹴りとは言え本気で遣ったため、痛いだろう。


「歎!? ヤッパリ昔から不死身なのね、カオルは!」


 リリナがそう言い、もう一度拘束をしようとするが、同じ手は二度喰らわない。

 僕はそう思い、リリナに近づきこめかみを軽く殴る。その瞬間に、リリナは意識を失いその場に倒れた。


「さぁ、次だ…。僕は自分で体験している分、人体の急所には詳しいと自負しているんだ。さぁ次は誰かな?」


 激痛でのたうつ歎、意識を失い倒れているリリナ。しかもそれが、瀕死の重傷を負っている人間にやられたのだから、異常ともいえる。

 そのせいでFクラスのメンバーは迂闊に動けない。


「来ないのか? なら、僕が行く事にしよう」


 一人は喉、一人は鳩尾、一人は顎、一人は肺と、急所を確実に攻撃していく。どんなに鍛えていたとしても、所詮は学生レベル。急所を攻撃されればひとたまりもない。


「…クッ」


 このまま止めを刺したいが、身体が悲鳴を上げている。この場にいる全員に止めを刺すことは可能だろうが、刺し終えると同時に、僕自身が倒れるなんてのは嫌だ。だから僕はいったんこの場から離れ拠点に戻る事にした。


 その後拠点に戻った僕は、ミリアに治療を受けた。そして何故か平然としているシンに対し、怒りを覚え一発殴った事を伝えておこう。


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