義姉の綺麗な本を欲しがる義妹、やがて令嬢予算ごと欲しがるようになった義妹。何とか屋敷から追い出したが婚約者候補の綺麗な教科書を見て義妹に想う所がある令嬢の話
私の義妹は欲しがりです。
お義母様はもちろん。お父様もメリーの味方です。
とても小癪なのです。
『ウワーン。ウワーン。お姉様の本が欲しい。綺麗でピカピカな絵本が欲し~の!』
『ああ、メリッサ、お姉様なのだから上げなさい』
『そうよ。妹を思いやりなさい』
『そ、そんな。お父様、お義母様・・・』
ええ。学習用の絵本は取られました。
『グスン・・・お父様、私の勉強は?』
『メリッサや。中古の本を買ってあげる』
ええ、幼年部が終わり。
小学部になって新しい教科書を買ってもらいました。
納品の日。
『なの~?』
義妹が部屋をのぞいているわ。
彼女は頭がおかしくて【私の】綺麗な本が欲しいのです。
買ってもらえば良いのに・・・
ですから、その日のうちに本を読みました。
どうせ、メリーは読みもしないのに・・・・
『グヌヌヌ~』
歯ぎしりをしている音が私の部屋のドアから聞こえるわ。
メリーの顔が床に対して垂直になってドアから顔の上半分でているわ。ある意味器用ね。両手の指先はドアにかけているわね。いい気味だわ。
『グスン、お義姉様、返すの~、もういらないの~』
『えっ?』
メリーにあげた絵本はボロボロになっている。
『ドラゴンのド、ゴブリンのゴ・・・・』
しかも、書き込みがしてあるわ。公用語、崩し文字、筆記体・・・・一文字を様々な角度から書いている。
数の絵本では、同じ計算を違う方法で解いている・・・
メリーは今から幼年部教育なのに終わっている。・・・今の時点で私と同じスタート地点、いや、もっと上にいる。
『・・・総領娘のプレッシャーも理解できないくせに!!』
それからも、メリーのおねだりは変わらなかった。
予算ごと欲しがった。
『ズルいの~、ズルイ、お義姉様、ズルいの~!お姉様の綺麗なダンス練習用のドレス、綺麗だから欲し~の、上四半分のお義姉様の予算下さいなの~!』
『まあ、ダンスの練習をしないからな。教師の給金ももったいないからな』
『そんな・・・勉強が忙しくて・・・』
『やったーなの~!』
『ワンツー、ワンツー、アップダウン、アップダウン~なの~』
『まあ、可愛らしい。不思議なダンスね』
『メリー様、可愛らしい!』
ダンスか、教養として知っていれば良い程度だと思っている。
しかし、使用人達が集まるわね・・・・
メリーのダンスが終わったら、教師から練習に誘われたわ。
『お嬢様、ダンスの練習に参加しませんか?』
『先生、でも、私は・・・勉学が遅れていますわ・・・』
『1時間でいいです。いいですか?お嬢様、体力がないから事務仕事は間違えですよ。体力があって思考が充実するのです。殿方でも剣術も立派な素養の一つになり。剣術が出来る方は成績も良いのです』
教師に言われて練習に参加した。
メリーをよく見ると・・・
『なの~!はあ、はあ、はあ・・・』
『メリー様、お休みなさいませ』
体力がない。ダンスはそれほど上手くはない。
それからダンス、マナー、勉学の毎日を送ったわ。
あの子は少し可愛いだけで頭が良いだけよ。
これで安心だわ。
しかし、戦いは終わらなかった。
『お義姉様の綺麗な馬車が欲しいの~!どうせお出かけしないの~、お義姉様の代わりに渉外をしたいの~!』
『可愛らしい渉外だな。やってみるか?』
『そ、そんな』
『メリッサ、貴方は勉学とマナーとダンスだけに集中しなさい』
『お義母様・・・私にも出来ますわ』
『貴女は不器用だから無理だわ』
カチンと来たわ・・・
『やらせて下さい!』
私は領地を回ったり。他の家門のお茶会に回った。
しかし、世間は狭い。領地では私に味方する者が多々いた。
『メリッサ様、奥様にお世話になった者です』
『まあ、貴方は・・・』
『村長の代表者です。あのメリーという女、信用出来ません。私達はお嬢様の味方です』
また、お茶会でも。
『メリッサ、私を実のお母様と想っていいのよ。貴方のお母様と私は大の親友でしたの』
『夫人・・・』
『お母様でしょう』
お母様の知己の方々が味方についてもらったわ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そして、断罪をした。
「メリー!とお義母様、貴方方はお父様の配偶者とその連れ子にしか過ぎませんわ!」
「「メリッサ・・・」」
「お義姉様なの~?」
「さあ、出て行きなさい!お父様には領地で最低限の生活を送れるようにしますわ!」
私は貴族学園入学の歳、15歳でこの家の実権を握ったわ。
お祖父様が私の努力を見て下さり当主を承認して下さったわ。
「「「お嬢様!」」」
「メリッサ、この祖父がついているぞ」
「はい、皆様・・・」
「ゴホゴホ・・・」
「お祖父様・・・」
お祖父様は伏せがちだわ。
それ故・・・
「早く婚約者を決めて安心させてくれ・・」
「はい、分かりましたわ」
それから釣書が送られて来た。
お祖父様が選んだのは侯爵家の第2子、とてもスマートで成績も良い。
対して、お母様の親友が推薦してくれた方は男爵家の第5子・・・成績はほどほどだわ。
どちらが良いか一目瞭然、侯爵家の方に決める。
私よりも一歳年上で既に2年生だわ。
学園のカフェでデートをした。
「やあ、メリッサ嬢、席をどうぞ」
「有難うございます。ダニエル様」
席を引いて下さいましたわ。
もう、この方に決めようかしら・・
「ダニエル様、一学年のプログラムを・・・」
「はい、プリントです」
違和感があった。ダニエル様のカバンを開けた際に見えた教科書は綺麗だ。白だったわ。
「失礼ですが、教科書を見せて頂いても」
「もちろん、良いよ。さすが次席入学のご令嬢だ」
「いえ、私なんて・・・」
違和感の正体はこれだわ。少しも書き込みや読んだ形跡すら感じられない。
「ダニエル様、教科書は綺麗ですわ。でも、調べ物とかは如何しておりますか?」
「はい、使用人達に調べてもらっています。私が指示を出してレポートを出してもらっていますね。貴族たる者、人を使う術を学ぶべきです」
「失礼しますわ・・・」
「メリッサ嬢!」
席を立った。
綺麗な本、綺麗な道具・・・・赤の警報音が頭の中に鳴り響く。
「アレク様・・・教科書をお見せ下さい」
「メリッサ様?」
もう一人の婚約者候補、アレク様の教科書を見せて頂いたわ。
「まあ、ボロボロだわ・・・」
「兄貴達のお古です・・・」
「書き込みがすごいですわね・・」
「ええ、兄貴達の書き込みです。人の書き込みは・・・」
「気持悪いです」
「気持悪いですわ」
「どんなに適切な書き込みでも悔しいというか・・・」
「メリッサ様・・・」
結局アレク様に決めたわ。
私は領地に赴く。義妹に会いに・・・行こうとしたら・・・公爵令嬢、副生徒会長に呼び止められた。
「メリッサ様、1年主席合格、飛び級のメリー様ですわ。生徒会室で顔合わせですわ」
「はい?メリー?」
生徒会室にはストロベリーのブロンドに赤い瞳で背は低い。顔だけは可愛い小癪な義妹・・・
「はの~!メリーなの~!」
メリーが学園に入学してきたわ。
「お義姉様、おひさりぶりなの~!」
握手を求める手を振り払い・・・
【負けるものですかぁー!】と叫びながら、何故か抱擁してしまったわ。
「ハニャ?」
自分でも自己認識が分からない。もうすぐ落ち着くとは思う。
最後までお読み頂き有難うございました。




