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何を言われたとしても、婚約破棄されたとしても、私は信じる道を歩み続けたいのです。  作者: 四季


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5.悪の行く末

「悲劇の引き金を引いておいて、他人に責任を擦り付けるなんて……」


 きっともう気づいているのだろう。彼女は。誰も書き換えることのできない事実、現実に。

 けれども、だからこそ認められないし認めるわけにはいかないのだろう。

 もしその真の答えを認めたら、彼の隣にいるに相応しい自分ではなくなってしまう。彼女が最も恐れているのはそういう展開で。だからこそ彼女は意地でも自身の非を認めない。


 すべてはマーガレットのせい。

 どうしてもそうであってほしいのだろう。


 だが冷静に考えてみてほしい。


 私は何も過ちを犯していない。

 私はただ、彼の婚約者であっただけ。それ以上でもそれ以下でもない。


 それが罪だと言うのなら、この世において婚約している者すべてが罪人ということになる。


 ……そんなこと、あり得ないだろう。


「最低ねマーガレット!!」


 ニナは一切の躊躇いなく叫ぶと懐からナイフを取り出した。


「天罰を受けなさい!!」


 彼女の瞳は私一人だけを捉えていた。

 そこに滲むのは容赦など欠片ほどもない殺意。


「今ここで終わらせてあげるッ!!」


 ニナはナイフを手に襲いかかってきた――が、刹那、背後から「ふぉぅっ」という声が聞こえて、もしかして、と思ったら――次の瞬間ニナの手からナイフが飛んで落ちていた。


「なっ……」


 一瞬表情を硬直させるニナ。


「ふっぉふぉふぉふぉふぉんふぉふぉんふぉふぉんっふふぉふぉふぉんふふふぉんふぉふぉふぉふぉん!!」


 予想していたより長い叫びを発したジャジャノジャ。

 その次に瞬間四方八方から飛び出し伸びてきた蔓がニナの四肢を拘束した。


「かぁ~らのぉ~じゃぁ~ぞぉぅ~……ふぉうんっ!!」


 蔓から電撃が放たれる。

 攻撃をもろに受けてしまったニナは気を失う。


「ようし、わしの勝ちのようじゃな」


 沈黙したニナを見て嬉しげに頬を赤らめるジャジャノジャ。


「ではこやつを警備隊へ突き出そう」

「できるのですか?」

「うむ。できる。なぜなら、そちらの者が一部始終を見ておったからのぅ」

「……あ! 馬車の」

「そうじゃそうじゃ」

「ああ、そういうこと、でしたか……盲点でした」


 刺されるかと焦っていたこともあって周囲の状況を忘れていた。

 だがここは人通りのない場所ではない。

 なんだかんだで一連の流れを見ていた者は存在する。


「では、あとはわしに任せるんじゃ」

「良いのですか?」

「もっちろんじゃ。任せよ任せよ。ただし、一つだけお願いがあるのじゃが」

「何でしょう」

「あとでサインくれぇっい」


 ジャジャノジャはお茶目にウインクすると倒れたニナを担いでどこかへ走っていったのだった。



 アイダンは事故によって死亡した。

 ニナは落命はしなかったもののその悪しき行いによって牢屋送りとなった。

 で、そのニナも、牢屋に入れられてから数ヶ月経たないうちにこの世を去ることとなったのだった。


「聞いた? ニナって人さ、処刑されたんだって~」


 ニナの死について教えてくれたのは同性の友人。


 彼女とは最近よく二人でお茶をしている。


「そうだったのね……」

「態度悪すぎて罪を重くされたらしくって~」

「それで処刑?」

「そうそう。あまりにも反抗的だったから、って話みたいよ。怖い怖い~。にしても、結構凄い女だったんだね、浮気相手」

「そうね」


 編み物をしながらお茶していても怒らない彼女はとても優しい女性だ。


「でもさ、良かったじゃん。これでもう関わらなくて済むんだし。後から復讐される可能性とかもなくなったしさ~」

「それはそうだわ、本当に」

「マーガレットが無事で良かったよ~」

「ありがとう」

「んも~何かあったら早めに言ってよ? 協力するからさ」


 アイダンとの婚約は破棄となってしまったけれど、それがすべての終わりだとは思わない。むしろ逆で。ここは新たな始まりだと思っている。一つの終わりは何かの始まりを連れてくるはず、だから私は私の道を信じて歩むつもりだ。

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