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第11話 戦場の王

夜の波打ち際に、王の影があった。


焚き火の赤い光が風に揺れて、海岸の砂をちらちらと照らす。冷たい潮風が頬を撫で、空は星のない漆黒の帳を垂らしていた。カールは、外套も着ず、静かに海を見つめていた。肩をすくめるわけでもなく、ただそこに立っている。


私は火の傍らで、それを見守っていた。声をかけるべきか迷ったが、何も言えなかった。沈黙は彼の内奥に繋がっていて、それを破るのはどこか気が引けた。火が弾けた。その音が、妙に大きく聞こえた。


やがて、カールが口を開いた。


「レイフ」


「はい」


「……人間の心とは、戦の天秤にかけられるものだと思うか」


低く、鋭い問いだった。私はすぐには答えられなかった。彼は波を見つめたまま、続けた。


「戦うたびに、天秤の片方に命が乗る。もう一方には……余の使命が乗る」


火が弾けた。彼の顔に、ひととき炎の光が浮かぶ。その横顔は、まだ青年のものであったが、その眼差しは——何かが違った。


「余が揺らげば、王国が傾く。だから余は——揺れない」


彼は一歩、波打ち際に近づいた。冷たい海水が、黒い長靴を濡らした。


「それが、王道を歩く者の背負うものだ」


私は、その背中を見つめた。まっすぐで、揺るぎなく、そして——どこか遠い。手を伸ばしても、届かないような気がした。


「陛下……」


私が声をかけようとした時、彼は振り返った。


「明日、王都へ戻る。準備を」


「……はい」


それだけだった。


王都ストックホルムに戻ると、街は勝利の熱に浮かされていた。


いや——浮かされていた、という言葉では足りない。街は、狂喜していた。


王の船が港に近づくと、岸壁には既に数千の民衆が集まっていた。商人も、職人も、漁師も、農夫も。老人も、子どもも、女も、男も。誰もが、王を一目見ようと押し寄せていた。


「王だ!」


誰かが叫んだ。


「カール十二世だ!」


その声が、波のように広がった。


歓声が、爆発した。


それは、ただの歓声ではなかった。咆哮だった。祈りだった。崇拝だった。民衆は手を挙げ、帽子を投げ、涙を流し、王の名を叫んだ。


「カール!」


「我らが軍神!」


「デンマークを下した王!」


「北の獅子!」


私は、カールの後ろを歩いていた。その歓声の波に、圧倒されていた。これほどの熱狂を、私は見たことがなかった。


カールは、馬上から民衆に手を挙げた。それだけで——歓声がさらに大きくなった。まるで、雷鳴のようだった。


街へと続く道には、人々が花びらを撒いていた。赤、白、黄——色とりどりの花びらが、石畳を覆っていた。その上を、王の馬が進んだ。


「万歳!」


「カール万歳!」


「スウェーデン万歳!」


窓という窓から、人々が身を乗り出していた。旗を振り、布を振り、何かを叫んでいた。屋根の上にまで、人が登っていた。


ある老婆が、道端で跪いた。両手を合わせ、涙を流しながら、王を見上げていた。


「神よ……我らに、このような王を与え給うた……」


彼女の声は震えていた。


カールは、馬を止めた。そして——馬から降りた。


民衆が、息を呑んだ。


カールは、老婆の前に歩いて行った。そして、彼女の手を取った。


「立ちなさい」


彼の声は、優しかった。


老婆は、泣きながら立ち上がった。カールは、彼女の手を握ったまま、言った。


「余は、お前たちのために戦っている。だから、跪く必要はない」


その言葉に——民衆が、さらに沸いた。


歓声が、地響きのようだった。


「王だ!」


「真の王だ!」


「我らの王だ!」


カールは、再び馬に乗った。そして、進んだ。


私は、その光景を見つめていた。


この少年は——民衆の心を、完全に掴んでいた。


ただの勝利ではない。無血でコペンハーゲンを落とした。民間人を傷つけなかった。敵の王を屈服させながら、礼を尽くした。


それが、民衆の心を打った。


「神が遣わした王だ」


誰かが叫んだ。


「軍神カール!」


その言葉が、街中に響いた。


私は、カールの背中を見つめた。


彼は、手を挙げていた。民衆に応えていた。その姿は——まるで、本当に神に選ばれた者のようだった。


だが、私は知っていた。


あの背中の向こう側に、何があるのかを。


王宮の中庭に入ると、貴族たちが並んでいた。彼らも、頭を下げた。


「おかえりなさいませ、陛下」


「見事な勝利でございました」


「デンマーク王を屈服させるとは……」


賛辞の言葉が、次々と投げかけられた。


カールは、黙って頷いた。


そして——王宮の奥へと消えて行った。


私は、その後ろを歩いた。


外の歓声が、まだ聞こえていた。


「カール万歳!」


「我らが王万歳!」


その声が、石の壁を通して響いていた。



だが、王宮の奥は——静かだった。


別の空気に満たされていた。


私は廊下を歩きながら、枢密院の扉の前を通りかかった。中から、声が聞こえた。


「……速すぎる。あのような進軍は、王国史にも記録がない」


老臣の声だった。おそらく、アクセル・フレミング。二代前から王国に仕える重鎮。


「戦とは、備えと節度だ。若さに酔えば、いずれ足を掬われるぞ」


私は足を止めた。盗み聞きするつもりはなかったが、足が動かなかった。


「節度で勝てるなら、誰も苦労はしますまい」


別の声が割って入った。冷たく、鋭い声。宰相ベント・オクセンシェルナ。


「ですが、宰相……あの速さは軍議を超えています。枢密院の判断すら置き去りに……」


若き貴族の不安げな声。


「だからこそ、だ」


オクセンシェルナが言った。


「この王は、我々の理解を超えている。それでいい」


沈黙が落ちた。


「……なんと?」


「大戦では、誰かが常識を超えねばならぬ。今、それができるのは——あの若き王しかいない」


その声には、畏怖と、何か別のものが混じっていた。私は、その「何か」が何なのか、分からなかった。だが、背筋が冷たくなった。


私は、そっとその場を離れた。


その夜、私は王の幕舎の近くで待機していた。


カールが私を呼んだ。焚き火を囲みながら、私は彼に尋ねた。


「なぜ急ぐのです、陛下。敵はもう後退した。我々は充分に勝ちを得ました」


カールはしばし黙った後、火を見つめながら言った。


「まだ終わっていない」


「……」


「三国同盟は、まだある」


彼は地面に小枝で線を引いた。


「デンマーク、ロシア、ポーランド。余に仇なす敵が存在し続ける限り、戦争は終わらない」


「……それでは、戦争は何年も続くということですか」


「そうだ」


彼は答えた。その声は、冷静だった。あまりにも冷静だった。


「全ての敵を下すまで。誰も逆らえないほど強大な力を築くまで」


私は、火を見つめた。炎が揺れていた。その揺らぎが、妙に激しく見えた。


「陛下……」


「レイフ」


彼が私を見た。


「お前は、余を信じるか」


その問いは、以前にも聞いた。だが、今回は——何かが違った。その目に、何かが宿っていた。確信ではなく、何か別のもの。


「命を預けております」


私は答えた。だが、その言葉が、以前ほど自然に出てこなかった。


カールは何も言わなかった。ただ、火を見つめていた。


「……使命と命」


彼が呟いた。


「余が一歩遅れれば、兵が死ぬ。だから余は、揺れない。たとえその中で、余の心が——」


彼は言葉を切った。


それから、立ち上がった。


「余は、勝ち続けるしかない」


その言葉が、妙に重く響いた。


私は、その背中を見つめた。まっすぐな背筋。揺るがぬ姿勢。だが——その肩が、わずかに震えているように見えた。気のせいだろうか。


火が弾けた。その音が、妙に大きく聞こえた。


翌朝、伝令が駆け込んできた。


私は王の執務室の前で待機していた。扉が開き、伝令が中に入った。それから、しばらくして——


「レイフ!」


カールの声が響いた。私は中に入った。カールは地図の前に立っていた。その顔は、いつもと変わらなかった。だが、その手が、地図の端を強く握りしめていた。


「ロシア軍が動いた」


彼が言った。


「三万五千。ナルヴァへ向かっている」


私の心臓が跳ねた。


「ナルヴァ……」


「そうだ。バルト海の要所だ」


彼は地図の一点を指で叩いた。それから、別の場所へ指を滑らせた。


「同時に、ポーランド=リトアニア連合軍が南から侵攻を開始した。アウグスト二世自らが率いている。兵力は二万。リガを目指している」


私は地図を見た。北からロシア、南からポーランド。二方向から、同時に。


「……挟撃、ですか」


「そうだ。デンマークは講和したが、三国同盟は生きていた。奴らは最初から、これを狙っていた」


彼の声は冷静だった。落ち着いていた。まるで、これが予想していた展開であるかのように。


「加えて、報告がある」


彼は別の書状を手に取った。


「ポーランド軍の一部が、リガ周辺の村々を焼いている。住民を虐殺し、食糧を奪っている」


「……」


「これは、始まったのだ」


彼は地図を見た。その目には——迷いがなかった。


「本格的な、大戦争が」


その言葉が、室内に重く響いた。私は、地図を見つめた。北のナルヴァに、ロシアの赤い旗が描かれている。南のリガに、ポーランドの白い鷲が描かれている。そして、その間に——小さな青い旗。スウェーデン。


挟まれている。


「我らの兵力は?」


私が聞いた。その声が、わずかに震えていた。


「全軍を合わせても、一万二千」


カールが答えた。その声は、変わらなかった。


「ロシア三万五千、ポーランド二万。合わせて五万五千。我らは、その四分の一だ」


「……」


「敵は二方向から来る。我らは——分断される」


私は、息を呑んだ。だが、カールは——まるで天気の話をするかのように、淡々と続けた。


「では、どうするのです」


「余は、ナルヴァへ行く」


彼が言った。


「八千を率いて、ロシア軍を叩く」


「ですが、南は——ポーランド軍は——」


「レーネに任せる。四千を率いて、リガの守りを固めさせる」


「四千で、二万を?」


「守るだけでいい。時間を稼げ。余がナルヴァでロシア軍を破れば、すぐに南下する」


彼は地図を睨んだ。その目には——確信しかなかった。


「間に合う」


「……陛下、もし——」


「間に合う」


彼は繰り返した。その声には、一片の疑いもなかった。


私は、彼を見た。その横顔は、冷静で、鋭く、そして——人間離れしていた。五万五千という数字を前にして、なぜこの少年は揺るがないのか。


「陛下……」


「レイフ、準備を始めよ」


彼は私を見た。その目は、冷たく、鋭く、そして——揺るぎなかった。


「全軍に告げろ。我らは、ナルヴァへ向かう。冬の嵐の中を進み、ロシア軍を叩く。そして——」


彼は地図を見た。


「——世界に見せつけるのだ。スウェーデンが、まだ死んでいないことを」


私は、何も言えなかった。


彼は窓の外を見た。空は灰色に曇り、雪が降り始めていた。


「これが、余の道だ」


その声には、確信しかなかった。焦燥も、不安も、迷いも——何もなかった。


私は、その横顔を見つめた。


そして——恐怖を感じた。


この少年は、本当に疑っていない。五倍の敵を前にして、二方向からの挟撃を前にして、この少年は——勝利を疑っていない。


それは、強さなのか。


それとも——


その夜、私は兵舎を見回っていた。


兵士たちの間で、囁き声が広がっていた。いや——囁き声ではなかった。もはや、恐怖の叫びに近かった。


「ロシア軍三万五千、ポーランド軍二万——合わせて五万五千だと!?」


「我らは一万二千しかいない……」


「しかも二方向から来る……挟撃だ……」


「デンマークだけじゃなかった……最初から、三国全てが……」


「これは、終わりだ……」


不安ではなく、恐怖だった。兵舎を満たしていたのは、もはや諦めに近いものだった。


私は、ある兵士の隣に立った。若い兵士だった。彼は剣を研いでいたが、その手が激しく震えていた。砥石の上で、刃が滑った。


「……将軍」


彼が言った。その声は震えていた。


「俺たち、死ぬんでしょうか」


私は答えられなかった。


別の兵士が言った。


「陛下は、ナルヴァへ行くと言っている……八千で、三万五千を相手に……」


「正気じゃない……」


「だが、コペンハーゲンを落とした……」


「それとこれとは違う! 数が違いすぎる!」


口論が始まった。だが、それはすぐに諦めに変わった。


「……どちらにせよ、俺たちは行くしかない」


老兵が言った。


「王命だ。従わねば反逆者だ」


「だが、死にに行くのか……」


「そうかもしれん」


老兵は剣を見つめた。


「だが、行くしかない」


沈黙が落ちた。


私は、その光景を見つめていた。兵たちの顔には、恐怖が刻まれていた。それは、もはや隠しようもないものだった。


私は、外に出た。冷たい風が頬を撫でた。空を見上げると、雪が降っていた。


この雪は、止まないだろう。


冬が、来る。


そして、戦争が——本格的な、大戦争が始まる。


私は、拳を握りしめた。手が震えていた。



翌日、軍議が開かれた。


大広間には、将軍たちが集まっていた。十数名。スウェーデン軍の中核を担う者たちだ。だが、その中でも——三人だけが、異彩を放っていた。


レーネ。白髪混じりの髭を蓄えた老将。三代に渡って王国に仕える重鎮。その落ち着いた佇まいは、嵐の中の岩のようだった。


レーヴェンハウプト。皮肉屋の若き将軍。砕けた口調で話すが、その戦術眼は鋭い。彼の隣には、副官のクラウスが控えていた。


そして——アームフェルト。長身で、色白で、フィンランド出身の「鋼鉄の男」。その謹厳実直な姿勢は、まるで剣そのもののようだった。だが、その顔には——珍しく、深い憂いが刻まれていた。


他にも、ホルン、シェルンストラール、ハミルトン、スパーレといった将軍たちが席についていた。彼らは皆、経験豊富な軍人だった。だが——この三人ほどの存在感はなかった。彼らは、カールの言葉に頷き、命令を待つだけの者たちだった。


カールは地図の前に立ち、淡々と語った。


「ロシア軍三万五千がナルヴァへ、ポーランド軍二万がリガへ向かっている。我らは、分断される」


室内が、静まり返った。


「余は八千を率いて、ナルヴァへ向かう。レーネ、お前は四千を率いて、リガの守りを固めよ」


「……陛下」


レーネが口を開いた。その声は、珍しく震えていた。


「四千で、二万を相手に……それは——」


「守るだけでいい」


カールが遮った。


「時間を稼げ。余がナルヴァでロシア軍を破れば、すぐに南下する」


「ですが、もしナルヴァで——」


「負けない」


カールは即答した。


「余は、負けない」


その言葉に、室内がさらに静まり返った。


レーヴェンハウプトが口を開いた。


「……陛下」


彼の声は、いつもの砕けた調子ではなかった。真剣だった。


「敵は五万五千です。我らは一万二千。五倍近い兵力差を、どう覆すおつもりですか」


「分断して叩く」


カールが言った。


「ナルヴァでロシア軍を破れば、ポーランド軍は孤立する。そこを叩く」


「……もし、ナルヴァで間に合わなければ?」


「間に合わせる」


「もし、リガが落ちれば?」


「落とさせない」


カールの声は、冷静だった。だが、その拳が、強く握りしめられていた。


「もし——」


レーヴェンハウプトが言いかけた時、アームフェルトが口を開いた。


「陛下は、負けるという選択肢を、考えておられないのですか」


室内の空気が、凍りついた。


カールは、アームフェルトを見た。その目は、冷たかった。


「ない」


「……」


「余は、勝ち続けるしかない。それが、余の道だ」


その言葉に、アームフェルトの表情が——わずかに歪んだ。それは、悲しみだったのか、それとも——何か別のものだったのか。私には分からなかった。


レーネが、重い声で言った。


「……陛下。我らは、陛下を信じております。ですが——」


彼は言葉を選んだ。その声には、明らかな不安が滲んでいた。


「——これは、王国の存亡がかかっている。もし失敗すれば、スウェーデンは——」


「失敗しない」


カールが遮った。その声は、強く、そして——揺るぎなかった。


「我らは勝つ。ナルヴァで、リガで、そして——全ての戦場で」


彼は地図を見た。その目には、迷いがなかった。


「これが、大戦争の始まりだ。ここで負ければ、すべてが終わる。だが——」


彼は将軍たちを見渡した。


「——余は、負けない」


室内が、静まり返った。


ホルンやシェルンストラールといった将軍たちは、黙って頷いた。彼らは、王の言葉を疑わなかった。いや——疑うことができなかった。ハミルトンは深く息をつき、スパーレは地図を見つめていた。彼らは従うだろう。だが、それは信念ではなく、義務だった。


だが——三人は違った。


レーネは深く息をついた。その目には、憂いと、それでもなお信じようとする意志が混じっていた。だが、その手が——わずかに震えていた。


「……承知いたしました」


レーヴェンハウプトも頷いた。だが、その顔には、深い憂いが残っていた。彼の目が、わずかに伏せられた。何かを飲み込むように。


アームフェルトは、黙ったままだった。その目が、何かを訴えているようだった。だが、彼は何も言わなかった。ただ、カールを見つめていた。その視線には——悲しみがあった。


軍議は、そのまま終わった。


だが、誰もがわかっていた——カール以外の全員が。


これは——賭けだ。


王国の存亡をかけた、絶望的な賭けだ。


そして、その賭けを指揮する王は——負けるという可能性を、一片たりとも考えていない。


それは、強さなのか。


それとも——



軍議が終わった後、将軍たちは静かに部屋を出て行った。

私は、扉の脇で待機していた。ただ、見守るだけの存在として。



そして——将軍の一人、アームフェルトが私の前を通りかかった。


彼は、一度立ち止まり私の顔を見た。何かを言いかけるように、口を開いた。だが——結局、何も言わなかった。ただ、深く息をついて、去って行った。


私は、その背中を見送った。


彼らは皆、何かを抱えていた。疑念を、不安を、恐怖を。


だが、それを口にすることはできなかった。


なぜなら——王は、疑っていないから。


その夜、私は一人で海を見ていた。


波の音が、暗闇の中で響いていた。冷たい風が、頬を撫でた。


私は、カールのことを考えていた。


あの少年は天才だ。


だが、歪だった。


勝ち続けるしかない、と彼は言った。


だが、それは——


彼を縛っているのではないか。


私は、まだ分からなかった。


だが、一つだけ分かっていたことがあった。


この先に——


何かが、待っている。


それが何なのか。


私は、まだ知らなかった。


波が、岸を打った。


その音が、妙に大きく聞こえた。


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