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第8話 クラス懇親会②


「というわけで優勝は6番グループ!個人1位は8番グループの源田(げんだ)になりました、みんな拍手~!」


2ゲーム目は良いスコアは出せたが、結果は2位であり優勝することはできなかった。やはり1ゲーム目のスコアが響いていたようだ。


6番グループには野球部の尾崎(おざき)含め、スポーツが得意な生徒が集まっており平均スコアがとても高かった。8番グループは源田以外にはとくにスコアが高い生徒がいなかったので優勝することはなかった。だが個人で1位ということで喜んでいたのでグループ内で不和が生まれることはなさそうだ。


「そしたら次の場所に移動する時間だから、グループ3,4番の人から移動してね~」


蓮が優勝賞品を渡している間に、如月が次のグループに対して指示を出しているようだ。人数も多いし、このままでは店の前でたむろってしまうだろう。


「3人とも先にみんなを次の店に案内してきてくれ。このままだと店の前に集まって他の人の迷惑がかかるかもしれないから」


ちょうど集まってきたので、3人にそう伝える。


「うん…?3人って翔はどうするんだ」


「俺は会計とか忘れものとか色々確認しておくよ。だから先に行っておいてくれ」


ほんとは俺がクラスのみんなを誘導できたらいいんだけど…それは難しいのでここはクラスでも人気な3人に任せるのがいいだろう。


「それは正直助かるな…んじゃよろしく頼むわ!これにボウリング代入ってるから会計よろしく頼む」


「ん、了解」


もともとうちのグループは主催ということもあり、最後まで残ってもらうかもしれないと事前に言われていたので特に問題ない。


もらった茶封筒の中身を見て、金額の確認をしていると周りがどんどん静かになっていく。ふと顔をあげるとすでに移動したのか周りには誰もいなかった。


流石…仕事が早いよなほんとに。


金額があっていることを確認し、うちのクラスが使っていたレーンを見回り忘れ物がないことを確認する。


うん…特に忘れ物はなさそうだな。


確認し終え、レジに行き会計を済ませる。最後にもう一度周りを確認して誰も残っていないこと、忘れ物がないことを確認して次の店に向かうことにする。


確かここから10分くらい歩いた場所だよな…。


そんなことを考えながら店を出ようとするが…ふとあるものの前で足が止まる。

ボウリング場に入ってから4人でやったバスケのシュートゲームである。


まだみんなが移動してからそんなに時間は経ってない。

ただの好奇心なのか、それともプライドが傷ついてしまったのかはわからないが、無意識に俺はゲームを始めていた。


先ほどと同様、ボールが自分のもとに転がってくるのでシュートを放つ。ただ1回目の時とは違い適当に投げるのではなく1本1本丁寧に投げていく。


スコアボードの表示がどんどんカウントされていく。ふと自分に視線を感じたが、ボールを投げることに集中するため気にしないことにした。



ビィーと音が鳴り、ゲームが終了する。スコアボードを見てみると60とカウントされていた。運よく入ったシュートも数本あったし実践ではこう都合よくいかないだろうな。だがシュートがあまり得意なわけではないし、今はこの結果を喜んでおこう。


シュートゲームに満足し、俺はボウリング会場を出て次のお店に向かうことにする。


だが店を出た直後、ここにいるはずがない人物がいた。


「なんで…ここにいるんだ」


「1人にしていまうと思ったので、私はここで待っていることにしました。赤城さんと雫には連絡しているので問題ないですよ」


結城陽菜乃が壁に寄りかかって待っていた。


「もしかして…さっきの見てた?」


「はい…やっぱり神崎くんはバスケが上手ですね」


まじかよ…見られてたのか…。いや、逆に彼女でよかったのかもしれないな。


なにやら羨望の眼差しを向けられている気がするが触れないでおこう。


「偶然だよ、そもそも実践ではこんなにフリーでシュートを打てる場面なんてこないだろうし」


「はい、そういうことにしておきます」


あの日のことは一旦忘れよう。今朝俺が彼女に言ったことを守っているのか、これ以上追及されることはなかった。

少し身構えていたが、ボウリングを通して彼女がフランクに接してきているのでこれ以上今の出来事を考えるのをやめて俺たちはクラスのもとへと向かうことにした。



◆◆◆



店に到着すると、すでにクラスのみんなは席に座ってそれぞれ雑談に興じていた。

俺たちが入ってきたことに蓮が気付き、空いている席に誘導してくれた。どうやらグループ毎にまとまって座っているようだ。俺と結城は空いている席に向かい合って座ることにした。


「よし!じゃあ全員そろったことで始めるぞ。乾杯の音頭は6番グループの源田!」


野球部である源田は蓮と同じく男子グループの中心人物。身長は俺と同じくらいだが、体格はがっちりしており存在感というやつは彼のほうがある。


「おし!では6番グループの優勝を祝いまして…乾杯!!」


乾杯~!とクラスのみんなが続き、隣の人や向かいの人とグラスを合わせる。俺は通路側に座っているため右隣には誰も座っていない。なので左隣に座っている蓮にだけグラスを合わせて飲み物を飲もうとする。


「ちょいちょい待って!なに飲もうとしてるの神崎!」


だがそれは叶わず、如月に止められてしまった。


「いや…喉渇いたから。まだ飲んじゃダメなのか?」


周りはすでに飲み物を口に運んでいるし、問題ないと思っていたが。


「そうゆうことじゃなくて…はい!ボウリングお疲れ様!」


そう言って、こちらにグラスを差し出してきた。


「あぁ、そうゆうことね…お疲れさま」


ここで断る理由もないのでグラスを合わせる。


「結城さんもお疲れさま…乾杯」


なぜかこちらをじっと見ていたので、結城にも声をかけてグラスを向けた。


「…はいっ!お疲れさまです」


カチンと音が鳴り、俺はグラスの中身を口に運ぶ。あとは適当に話を合わせながら時間が過ぎるのを待てばいいだろう。

そのうち勝手に席を移動し始めるだろうし、俺の前には結城さんが座っているためもしかしたらクラスから圧がかかりここからどかなくてはならないかもしれない。すでにさっき2人で店に入ってくる姿も見られてるし、正直これ以上面倒をかけらるのはごめんだ。


なので目の前に並べられている料理を食べて、なるべく早くお腹を満たしゆっくりすることにしよう。



◆◆◆



時間はあっという間に過ぎ、それぞれが店を出て帰路に着くことになった。あれから席を移動し同じ進学コースの人と話しながら時間が過ぎるのを待っていた。もちろん席を移動した理由は結城さんと話したい男子が視線で圧をかけてきたためである。


「最後まで手伝ってもらって悪いな翔」


「別にいいよこれぐらい…それにお前のほうが大変だったろう」


お店の中に残っているのはグループ1番の4人のみ。大人数がいても迷惑なため、他の生徒は先に帰って

もらうことになった。なにやら武井(たけい)が残りたがってたが、蓮と如月が説得して渋々帰っていった。その際少しこちらを睨んでいたような気もしたが気にしないことにした。


武井も蓮と同じでバスケ部所属の生徒。別にクラスでなくてもバスケ部関連で絡む機会なんていくらでもあるだろうに…なんで俺を目の敵にしているんだか。


また面倒なことになりそうだなと考えながら…俺は後片付けを進めることにした。



片付けが終わりみんなで駅に向かい、また学校で!と言い残し蓮は俺達とは逆方向の電車に乗っていった。

如月と結城は同じ中学らしく、最寄り駅は違うが帰る方向は同じなので3人で一緒に帰ることになった。

基本は2人で話しているが如月がこちらにも話を振ってくれるので、時折相槌を返しながら自分が降りる駅を待っていた。



「すみません…送ってくれてありがとうございます」


最寄り駅に着いた俺と結城は駅を出て、2人で歩いている。


「別にいいよ、方向は一緒だし如月にも頼まれたから」


如月は俺たちが降りる1つ前の駅で降りて行った。その際、結城を家の近くまで送ってあげてと頼まれたので、それを了承して現在結城と一緒に帰っているのである。


時間は20時を過ぎているのでまわりも暗くなっているし、送ること自体は別に問題はない。そもそも帰る方向は一緒なので遠回りをしているわけでもないし。


「神崎くんは今日は楽しかったですか?」


「まぁ、それなりに楽しめたかなとは思ってるよ。結城さんはどうだった?」


「それは良かったです…。私も普段話していない人と話せて楽しかったです」


ただ…食事の際にもう少し神崎くんともお話ししてみたかったです。

そんなことを不意に言われたので俺は驚いてしまい、立ち止まってしまった。


「ふふ…ここで大丈夫です。家はすぐそこなので」


ありがとうございました、と言いこちらに一礼して駆け足で彼女は去っていた。




なんで笑顔で、そんなことを言えるんだよ…。

こんなんだから…色々勘違いする奴が出てくるんだろうな。


あくまであの笑顔は多数に向けられているものだと思い、俺は立ち止まっていた足を動かし自宅に帰るのであった。

お疲れさまです。作者です。


次回はやっと神崎翔、結城陽菜乃の出会い編かもしれないです。

出会い編を執筆した過ぎて、ここまで走り書きしてしまいました。

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