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Blue Blood Line  作者: 水瀬銀次
サスタ星編
3/4

第2話 「僕」の始まり

 ピピピ、ピピピ、ピピピ


 どこからともなく、目覚ましの音がする。あの部屋に目覚まし時計なんてあったっけ?てか、ベッドが硬すぎるような…


いや、待て。冷たい。おかしい。まさか…床⁉︎


 びっくりして僕が飛び起きると、そこは陽織さんと、知らない人たちのいる、知らない部屋だった。


そして案の定、僕は床に転がされていた。


 うぅ…体の節々が痛い…


「おー起きたね!わぁ、痛そうな顔!」


「はぁ…陽織、やはり床に寝させるのは体に悪いんじゃないのか?ワタシは、反対したのに。ねえ?レイア」


 ポニーテールの低身長な美人が、さらに低身長な目つきの悪い男に話しかけている。


男は、こちらをギロリと目玉だけ動かして見ている。そして近付いてきて、僕に手をかざし……治癒を施した。


意外すぎる行動に目をぱちくりしていると、男は僕のことを立ち上がらせる。


「そうだな、サスタ。良くない。オレだって反対した。なのに、コイツは…」


「うるさいなぁ!ボクの連れてきた子なんだから、ボクが彼のことについては決めるの!」


「お前はガキか?……まぁいい。いつものことだ。それよりお前、もう痛えとこはねえか?」


 喧嘩をおっぱじめたと思ったら、いきなり僕に話が回ってくる…どういうことだ、この人たち。


しかも後ろにも3人いるけど、雑談してばっかだな。変な人たち…


「おい、ボーッとしてねえで答えろや。」


 まずい、思考が止まりかけてた…危ない。


「っ!はい、大丈夫です。にしても、床で寝てるぐらいで大袈裟ですね」


「床で寝てるぐらいって、お前…この床結構硬えぞ」


「へえ…そうなんですね」


 そんなに硬いだろうか…


 気になったけれど、それより僕がここに連れてこられた目的、僕の名前が知りたい。


「あの、それより僕はなんでここに連れてこられたんですか?」


 僕が尋ねると、ポニーテールの人が陽織さんを睨みながら、


「そうか、知らないんだな。…陽織、ワタシは昨日、目覚めた時点で説明しておけ、と言ったはずだが?


…まあそれはいいとして、キミがここに連れてこられた理由は、


ワタシたちの手元に、キミのようなこの星にとっても、神にとっても異端な存在が欲しかったからだ。


そして君には、この星の軍の準幹部となり、宇宙の秘密を紐解いてほしいんだ。


…実はこれは神々からの命令で、逆らったら何をされるかはわからん。


ほしい、とは言ったが拒否権はないと思ってくれ。


…申し訳ないが、お願いできるだろうか」


 と言ってきた。


 正直、何を言ってるんだか分からなかった。


僕は今、自分のことさえ分からないのに…そんな大きなお願いをされても、決められる気がしない。


 悩んでいると、陽織さんが「そーいえば、名前教えてないし聞いてなかったね」と、珍しくまともなことを言い出した。


いや、陽織さんのことだから、僕の考えてることが分かったのか?


「あ、君の名前は後で聞くから、まずはボクから自己紹介するねー!


…コホン。ボクの名前は陽織!それは昨日の夜…てか、今日の超早朝に言ったね!


ボクのここでの役職は、サスタ星軍幹部三の座、情報統括者。


そして、能力は神からの制限付きの万能!よろしくね!」


 軍の幹部…情報統括者…すごい役職なのでは?でも三の座ってことはそこまででもない…?


「三の座…上から3番目ってことですか?」


「うん、年齢がね!幹部に優劣はないから!実力とかじゃないよ!」


 てか、能力って言った…?何、それ…。


「…あの、陽織さん。能力って…?」


「あ、やっべ」


 陽織さんが何故か、やらかしたとでもいうような顔をしている。そんなにまずいことだったのか?


 ふと、ドス黒いオーラを感じ、後ろに目を向けるとそこには、鬼の形相をしたポニーテールの人がいた。…なるほど。


「…ひーおーりー?キミというやつは!!説明してっていっただろう!!!」


「い、いや、あのね、ね、眠くってね…あはは、あは……」


「キミは寝る必要ないだろう?」


「……う…」


 2人の間に沈黙が流れる。それを破ったのは、陽織さんの土下座だった。


「ごめんなさいっっ!!調子に乗りました!!すみませんっ!」


「はあ…わかればいい。次はないから」


 完全に呆れている目つきの悪い人が、僕の存在を忘れているだろう2人の間に入った。


「…サスタも、陽織も忘れてるのか?お客がいるだろうが今日は」


「あ!…す、すまない。な、何の話だったか…あ、そうだ。能力についてだったな。うーん…この説明はワタシでも構わないが、レイアの方がいいだろう。レイア、自己紹介もついでに、説明頼んだぞ」


「ああ、わかった。オレはレイア。陽織と同じく幹部で、オレは二の座。


能力は、ややこしいけど、能力の管理、既存の能力の使用権限、だ。


それで、能力についてだが、この星にあるエネルギーと神の力を借りて使う、世界のあらゆる法則を超越した力。


そして、その能力は生まれ持ったもので、一人一人違くって、変えることは容易にはできないし、失うことも簡単ではない。


能力を持つ者は『器』と呼ばれる武器のようなものも、生まれ持っている。


因みに、『器』は自己の能力を最大限に引き出すもので、所持者にあった形をしており、形を変えられるものもある。


『器』を使わずとも強い奴もいるしな。で、『器』と所持者を繋ぐもので(コア)っていうのがある。


これを破壊されると能力は失効する。まぁ、だいたいこんなもんか?


複雑だよな…ま、そこまで深く理解する必要はねえよ。んで、お前も能力あるはずだ。」


「そ、そうなんですね…?」


 う、複雑すぎて何が何だか…。…僕にも能力があるんだ…。どんなのだろう…


「お前、頭こんがらがってんな。ま、いいや。とりあえず、お前の能力、顕現させてやるよ」


「わかりました」


 「ま、いいや」で済むかよ!わからない本当に。いやそれより、忘れている、という感覚に近い…?


ま、とりあえず能力を知るか。


「じゃ、準備いいか?」


「はい」


「よし。…ほい。これでOK」


 レイアさんが僕に手をかざす。すると僕の心臓あたりから、強大な力が溢れてくるのを感じた。


「うっ…な、んだ…これは…」


 熱い…熱い……誰だ?お前は…


「おい!お前大丈夫か⁉︎」


 …レイア…さん…?僕の中に…誰か、い、る…出てけよ…お前…

『お前だとぉ?失礼なやつだなぁ?』


 出てけ…出てけ…!!!


『はは、そんなに拒否するなよ』


「おい!お前!」


 バシンッ


「いっ…た…」


 レイアさんに殴られた。僕を正気に戻すためだとしても強すぎる。めちゃくちゃ痛い。


「おい、大丈夫か?…あと、な、ななな、なんでその方がお前の中から?」


「その方?」


 そう言われてレイアさんの視線の先を見ると、神々しい空気を纏った知らない男がいた。


「あ、お前が…!!誰だ!!」


 こいつは僕の中に入ってきたやつだ。


『はっはっはっ!失礼な奴だなぁ?お前、俺のことを知らないのか?なぁ?アオイぃ?』


「アオイ…?誰のこと…?」


「あっ」


 遠くで見ていた陽織さんが、声を上げた。


 アオイ…僕の名前?アオイ……。…っ!そうだ、僕は、僕は、影峰アオイ(かげみねあおい)…!


『んー?ああ、陽織お前、伝えてなかったんだな?ははっ、でもこいつは思い出したみたいだな?』


「うっ…申し訳ありません…。で、アオイくん。君の名前は…」


「僕は、影峰アオイ、です」


「っ?か、げみね?あ、うん、そうだね!」


 僕が陽織さんを遮って言うと、困惑した表情を浮かべられた。さえぎったことに対してだろうか…?


「そうだアオイくん、君の能力はなんだろう?」


「僕の能力、そうだ、なんだろう」


「それはワタシが説明しよう。レイアは混乱してるようだしな。アオイよりもな。


あ、そうだワタシの名前はサスタ。この星を守ることができる結界を張っている者だ。


サスタ星の幹部一の座。よろしく頼む」

 サスタさんがレイアさんのことを見ながら言う。


確かにレイアさんは、ぽかんとした顔になっている。


そして、これでここにいた3人の名前は分かった。星を守る結界、なんて力だ…


「で、キミの能力だが、『幻影を見せる』と『神の力を借りる』だ。その神がそのお方ってのは予想外だが…」


 みんなみんな僕のそばにいる男のことを「そのお方」や「その方」と呼ぶ。なぜだ?


「そのお方ってどういう意味ですか…?」


「ああ、それは…」


『俺から説明しよう。サスタの言う、そのお方の俺からな』


 僕のそばにずっといた神々しい空気を纏う男が、そう言った。

お読みくださりありがとうございました!


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