073 王立学園強襲事件~終わり~
「しかし、おぬし。服を着た方がいいのではないか?」
「ん? ああ、集中してたからこの格好のままだったわね。視線を集めるわけだわ」
シャルーンは未だ、下着姿のまま凜々しい出で立ちを見せていた。
男の騎士団員がちらちら視線を集めてしまうのはそのあまりの美しさからか。
「恥ずかしさはないのか?」
「さすがに全裸は嫌だけどね。私は姫だけど騎士でもある。民を守るためならどんな格好でも戦えるようにしとかなきゃ」
「なるほど騎士シャルーンは鎧を選ばないということか」
「私は鍛えてるからボディラインには自信があるし、弱点なんか何もないもの」
シャルーンは両手を挙げ、鍛え抜かれたボディを見せつけれる。
余分な脂肪のないしなやかの筋肉。豊かな胸に肉付きのよい太もも。
王族としての絶世の美貌の才に一流の騎士として鍛え上げた努力が加わればまさに最強、言うとおり弱点なんかないのだろう。
「ふむ」
クロスはシャルーンの体をじっと見つめ、ゆっくりと手を伸ばす。
シャルーンの柔らかな脇腹をくにっとひとつかみした。
「ひゃあああんっ!」
びくんと体が大きく跳ね、つららかな声をあげる。
クロスはそのまま指をぐりぐりとする。
「あひゃひゃっ! や、やめぇっ!」
シャルーンはばっとクロスから距離を置く。
「ほほぅ、随分と可愛らしい声をあげるのう」
「う~~~!」
シャルーンはへたりこんでしまい、涙目でクロスを睨んだ。
「ばかばかっ! くすぐったいのと怖いのはほんと駄目なのっ! ばかっ!」
「怖いのは初耳じゃが」
「ごほん。もうっ! せっかくかっこ良く決めてたのに……」
「かっこいいのも良いが、おぬしは年相応に可愛らしい方がええと思うぞ。ほれっ、ほれっ」
「きゃっ! やん! つっつくのらめっ! クロスのばかっ!」
極度の敏感肌ゆえ、弱点をつかれたシャルーンは逃げ惑う。
そんな可愛いらしい姿の方がクロス的には好意的なのかもしれない。
◇◇◇
王国解放軍【エンディス】拠点にて首領であるイワフルは先日の王立学園での事件での報告を受けていた。
「なに、学園の占領に失敗しただと?」
「ええ、監視部隊から報告がありました」
王国騎士団からの追跡を逃れた構成員は結果を報告をしていた。
その話を聞き、イワフルは考え込む。
「失敗すると分かっていたが予想以上に成果が少ないな」
「ワルドスが裏切ったのでしょうか」
「他の奴らならともかくワルドスは王国に強い恨みがある。そちらの線は薄いな」
秘密結社から技術提供を受けたとはいえ、占拠の成功確率はそう高くはなかった。
だが王国へのダメージはゼロという報告が上がっている。
むしろ構成員を失い、王国騎士の危機感を煽るだけの大失敗という形だ。
「他にも駒がいるのか? まさかな……」
「イワフル、次はどうしますか? 王立学園の次はどこを狙うのですか?」
「どこだと面白いと思う」
「お、面白い? そ、そうですね。王都を巻き込むなら候補はいろいろありますが」
イワフルの言葉に報告を行った副官は考え込む。
「もう一度同じ所を狙ったら面白いと思わねえか」
「え? まさか王立学園を! ですがあそこは先の件があってから騎士も増えて警備が厳重と聞きます」
「だからいいんじゃねぇか。来週末の学園祭。あの日は外国からの来賓も多い。王族も来る。でっかい花火を挙げようじゃねぇか」
「ほ、本気ですか。ですが……物を仕込もうにも、時間が……。それに警備の隙がまったくないと聞きます」
「ワルドスの件と平行して進めていたと言ったらどうする?」
「え?」
「ワルドスの件はあくまで前座にすぎねぇ。本命は最初から学園祭での爆破テロなんだよ!」
イワフルは大声を挙げて立ち上がった。
「エンドゥス一番の大仕事だ。全員で攻め込むぞ」
「ま、待ってください。いくらなんでもやりすぎかと……、そんなことをしたら王国が本気で組織を潰しに」
「俺の言うことを聞け」
イワフルの目がきらりと光り、副官の瞳の光が薄くなる。
「承知いたしました。全構成員に伝えます」
副官はそのまま立ち去ってしまった。
イワフルは片手を額につけ大笑いをする。
「あっはっはっは、人間ってもろいぜぇ。まぁいい。この時のためにいろいろ仕掛けてきたんだ。人間の国を潰してやらぁ!」
イワフルは片手をぐっと開けた。
「はっはっはっは、学園にはすでに大量の爆弾を学園祭の荷物に紛れて送り込んでいる。もう、王立学園終わりなんだよぉぉぉ!」
◇◇◇
「ねぇ、クロス。荷物の運搬で不都合はない?」
「うむ、何の問題もないぞ。運ぶ際、精密機器はちゃんと再梱包して壊れないようにしている。崩れやすいものはしっかりとまとめておるし、重い物は念のために人も呼んでおる。危険な爆発物は全て解体しておいて花火に変えておいたし、トラブルは何もない」
「そう了解。……って今、とても危険な話を紛れ込ませてなかった?」
「そうか? 気のせいじゃろう」
「……気のせいかなぁ」
すでにクロスによって爆発物は処理済みだった。
※作者からのお願いです。
「期待する」「面白いかも」と思って頂けてたら是非ともブックマーク登録や↓の☆☆☆☆☆から評価をお願いできればと思います。
読者様の応援がモチベーションに繋がりますので是非とも宜しくお願いします!





