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071 王立学園強襲事件~侵攻~

 王国解放軍【エンティス】は王立学園を占拠するために行動を開始していた。

 主戦力の30人を正門に、そして変化点として裏門にも5人ほど構成員を派遣している。

 解放軍の一人ワルドスの知らぬ所で変化させていたのだ。


 ただすでに学園内の仕掛けを全て解除されていることは知らないので構成員達は学園に入れさえすれば勝利できると思い込んでいる。


 比較的動かせやすい裏門を開いて5人の構成員は中へ入っていく。

 裏門は校舎までの距離が長く、道幅も狭いため団体行動には不向きであった。

 なので5人の役目はあくまで攪乱なのだが、今となっては主戦力という形になっていた。


「主力が正門で足止めだと!?」

「ちっ、ワルドスの野郎失敗したのか」

「どうする? 逃げるか」

「逃げても捕まるだけだ。行くしかねぇ!」


 たった5人の構成員達は正門の主力部隊から連絡を受け、混乱に陥ってしまっていた。

 しかし逃げ場が無いことは全員理解しており突き進むしかない状況だ。

 武器も現地調達の予定だったため全員ロングソードと1丁の導力ライフルしか持っていなかった。


「ここを抜けりゃ……校舎まであと少しだ」


 学園の農場も脇をくぐり、校舎が見えてきた。

 構成員は黒色のマスクとレザーアーマーを身につけ全力で走っていた。


「この先は行かせないわ」


 5人の構成員は立ち止まる。

 前方には銀色の美しい髪を靡かせた美少女が騎士剣を手に待ち構えていたからだ。


「シャルーン王女だと!」

「今日はいないんじゃなかったのか」


 王国民であれば誰もが知る姫騎士。絶対に対峙してはいけない相手がそこにはいた。


「その予定だったけどね。本当にクロスの言う通りになるなんて……。せっかく告白だと思ってドキドキしたのに! テロリストが攻めてくるぞって、そんなドキドキは求めてないっ!」


 シャルーンはぷんぷんと思い出すように怒り始めた。

 構成達はお互い見合い、一度頷く。


 そして五人、五方向に分かれたのだ。


「ちょ、……挑んでこないの!?」


 端っからシャルーンには敵わないと思ったゆえでの行動だ。

 シャルーンの体は一つしかない。五方向に分かれた構成員を追うすべは少ない。


「逃げられると思う? 火炎の槍よ、ファイアランス!」


 騎士として魔法にも精通しているシャルーンは詠唱した炎の魔法攻撃が放たれる。

 出現した炎の槍は二人の構成員を瞬く間に沈めてしまった。


「くっ!」


 だが導力ライフルを手にした一人の構成員を逃してしまうことになる。

 シャルーンはまだ射程圏内の二人の構成員を捕まえようと追いかけた。


 そこで予想外の事態が起きる。

 二人の構成員は生徒を人質に取っていたのだ。


「へへっ、運が向いてきたぜ」

「今は授業中なのに……どうして!」


「ご、ごめんなさい。農場に忘れ物をして……怖いっ」


 たまたま農場に出ていた女子生徒に目をつけ、構成員二人はロングソードを女子生徒に向けていた。

 シャルーンも予定外の事態に表情を渋くする。


「あなた達、その子を離しなさい!」

「わりぃがそれはできねーなぁ」

「もう正門の方には騎士団も向かったし、計画失敗よ!」

「ああ、そうだろーよ。だけどこのままじゃ終われねーよなぁ」

「ひっ」


 構成員がソードをきらりと向け、女子生徒は恐怖で涙を流す。


「人質には私がなるから! お願い、その子には手を出さないで!」

「へっ、王国最強が人質になるかよ。とりあえず剣は捨てな。詠唱した瞬間、人質は斬り殺す」

「くっ」


 敵は二人。いくらシャルーンでも一瞬で敵は倒せない。

 さらに後がない状況だ。敵も躊躇なく人質に手を出すだろう。

 シャルーンは剣を捨て、無手となった。


「人質を殺そうが俺らは終わりだ。だったら少しぐらい楽しまねぇとな」

「何を……」


「姫様さんよぉ。そのまま服を脱いでもらおうか。ストリップショーでもしてもらわねぇとな」

「……ゲスなことを」


「いいんだぜ、この嬢ちゃんが血まみれになってもな。王女が脱がなかったせいで血まみれになったって大声で言ってやらぁ」

「分かったわ」


 シャルーンは制服に手をかけて、少しずつ緩めていく。

 ボタンを外し、はらりと服を脱いだ。

 スカートの方もチャックを緩めて、地面へと落ちる。

 上下ピンク色の下着以外は全て肌色の状態へ変わった。


「おおっ!」

「いいカラダしてんじゃねーか。さすが王族だぜぇ」


 二人の構成員は食い入るようにシャルーンの体を眺める。

 男達の嫌らしい視線にシャルーンは両手で上下を隠そうとする。


「堂々としてもらおうか。じゃないと……分かってるよなぁ」


 人質の少女の頬にロングソードをひたりと当て、その感情を煽る。


 シャルーンは両手を下げて、その白く美しい体を晒していた。

 表情は恥ずかしさから赤みをおび、それが一層男達の加虐心を加速させる。


 シャルーン・フェルラ・ロギュール・フェルステッド。

 彼女は絶世の美女と呼ばれるほど美しかった。輝く銀髪に白くシミ一つない肌。

 顔立ちは非常に整っており、王国最強に加えて、最も美しい女性の一人として評価を得ていたのだ。

 そんな彼女は肉体美も素晴らしく豊満な胸部に肉付きの良いふとももは男性を虜にしていく。


 シャルーンの自然の振る舞いはそれだけで魅惑なポージングとなり、男達を目を釘付けにしていくのだ。

 シャルーンは一度息を吐いた。


「見るだけでいいの?」


 そんな言葉に構成員達の劣情は加速していく。

 構成員達はぼーっとその美しいボディに引き寄せられ、シャルーンはにこりと呟いた。


「もっと……近寄っていいから」


 男達がその美しい体に魅了されたその時だった。


「はっ!」

「ぐふっっ!」


 男達の後ろから剣による一閃が放たれる。人質の少女から最も近い構成員の一人の体が跳ねた。

 そのままその人物は女子生徒を抱きとめて、後方に下がる。


「隙だらけだよ。ほんと男って分かりやすいね。まぁ、僕も今は漢か」


 突然現れた美少年の姿に構成員達は混乱してしまっていた。



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