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069 王立学園強襲事件~調査~

「き、君は何者なんだ」

「王立学園の生徒じゃよ。見りゃ分かるじゃろう」


 そこに現れたのは言うとおり男性制服に身を包んだ淡色の髪の少年だった。

 なんで計画がバレた? すでに計画は動き出しており、制止はできない状況。

 私がなんとかするしかない。

 幸い他の警備員は気づいていない。そこだけが奇跡だったかも。


「その話はいったいどこから出てきたのですか?」


 情報の漏洩元を探らなければならない。

 私は冷や汗が出るのを押さえ、少年に声をかけた。


「んにゃ。特にないぞ。儂がそう思っただけじゃ」

「思っただけ!?」

「うむ」


 なんだただの予想だったのか。

 だがまだ油断できない。予感をさせる事項があったのかもしれない。

 なんとか気のせいという形で追い出せないものか。


「学園は私達警備員もいるし、王国騎士団もいる。例えテロリストが現れても安心ですよ」


 優しく言ってあげる。これで諦めてくれたらいいんだが。


「そうなんじゃろうが。不可解な点があってのう。ちょっと来てくれんか」


 生徒に誘い出されて、引き門の所へ行く。

 生徒は門に触れた。


「これは導力式の引き門になっている。普通なら人の手で開けられるものではないが、今、細工がされていて手でも開けられるようになっている。もし、複数人のテロリストが現れたら開けられてしまうのではないか」

「ぐっふっ!」


 思いっきり細工しているのがバレている!

 生徒がカチャカチャと門の細工を復元していく。


「うむ、これで良いじゃろう」


 ま、まぁいい。明日は私が決行の時間に守衛で待機するようになっている。

 私が導力式の門を開けば問題ない。


「じゃあ……これで安心ですね」

「待てい」


 生徒の声にぴくりとする。


「念のために校内を一緒に見てはもらえんか。他にも細工があるかもしれん」

「いやぁ……私はその……警備の仕事が」

「そうじゃったか。それはすまんのう」


 一緒にいたら何か危険な気がしたのでこの子から何とか離れないとな。


「シャルーンに報告して一緒に探すとするか」

「ままままま、待ってっ! 君はシャルーン王女と親しいのかい?」

「うむ、儂は生徒会役員じゃからな」


 そういえばさっきそんな話をしていた気がする。

 このまま報告されたらまずい。下手をすればシャルーン殿下が明日の外出を取りやめてしまうかもしれない。

 だったらこのまま一緒にいて、やはり何も無かったという方向にするしかない。


「私がお手伝いしましょう。姫殿下のお手を煩わせるわけにはいきませんからね」

「おおっ! 助かるぞ」


 ◇◇◇


 私と男子生徒は学校内へと入った。

 明日の決行のためにいろいろ仕掛けはしているが普通に考えれば分かるはずないものばかり、適当に探すフリしてこんなお遊びは終わりにしよう。

 さっきの門の件だって生徒のいたずらってことにすれば良い。


「もしテロリストが侵攻してきたらどうするじゃろうか」

「うーん、いきなり校舎の方にいくんじゃないでしょうか。校舎を調べてみますか?」

「うむ、一理あるな」


 校舎の中には何も細工をしていない。これで終わりにできるだろう。


「じゃあ王国騎士団の駐屯場の近くを調べようか」

「うええっ!?」


「なんじゃい、いきなり驚いて」

「な、なんでそこを……探すのかなと思いまして。多分何もないと思うけど」


「そうかもしれんが、攻め入るのに邪魔になるのは王国騎士団じゃろう。彼らは練度も高く真っ向勝負だと間違いなく勝てん。なので例えば駐屯場に仕掛けをして無力化する可能性も考えられないだろうか」


 正解だよ。ちくしょう。

 男子生徒は王国騎士団の駐屯場に行き、あっという間に朝仕掛けた印の紙を見つけてしまった。


「なんじゃこれは……」

「なんだろうねぇ。王国騎士に聞いてみますか?」


 この印は同志の中の印術を得意とする魔術師が練り込んだものだ。

 一度発動すると簡単には解除できないし、王国騎士では解析もできまい。

 生徒のいたずらか後日調査させるってことになるだろう。そうなれば勝ちだ。


「潰しておくか」

「でも仕掛けが本物だと仮定して、一度設置すると簡単には壊せないですよ」

「問題ない。魔封斬」

「え?」


 クロスくんは腰に下げる刀を抜いてすぱっと印を切り裂いてしまった。

 ばきっと印が壊れる音がして、紙は燃え尽きてしまう。

 厳重な封印が施されていて簡単には壊れないと言っていたのに嘘なのか。


「では次の所へ行こうか」


 明日の計画駄目かもしれない。


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