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065 彼とデート③(※シャルーン視点)

 校内で発生するイベントは全てクロスが処理してしまっていたので私達は校外へ出ることにした。

 渡り廊下を進んで、坂を下り、校門を通過する。

 門限までに帰ってくればいいので外へ出ることは許可されている。


「それで外で何をするんじゃ」

「巨大魔獣が王都に侵攻でもしに来ないかしら」

「大混乱になるぞ……。王女の発言とは思えんな」


 それはさすがに冗談として、せっかく二人きりなんだからもっと仲を深めたい。

 学校は私のフィールドなのにスティラとかジュリオにすら負けている気がする。

 ジュリオだって夜はクロスにいろいろ教えてもらっていて、トレーニングしてる時に密着する時なんか雌の顔をするし油断ならない。


「ブラブラ歩きましょ。……スイーツのお店とかにも入りたいし」

「儂はさっき食べたから遠慮……、いや、何でも無い」


 私が目を細め睨むと罰が悪そうに顔を背けた。

 ふんだ。私とも食べあいっこしてもらうんだから。


「しかしどうする気じゃ」

「何が?」

「儂はいいとして、おぬしは王都中でも人気者じゃろう」


 大通りを歩いてると王都民からじろじろと見られる。


「シャルーン様よ。シャルーン様がいるわ」

「何て美しい……」

「シャルーン様、今日は何をされているんですかぁ?」


 学校の比ではないほど注目を浴びてしまっている。

 人気があることは嬉しいけど、今はそっとして置いて欲しい。仕方ない。


 私は帽子とサングラスを取りだして、装着した。


「変装完了」

「うーん」

「何よ、似合ってない?」

「その程度じゃおぬしの美貌は隠せんじゃろう。おぬしは自分の魅力を理解しておらんのか」

「っ! そ、そんなことないし」


 こうやって直で言ってくる男だって分かってるけど、褒め言葉はやはり照れる。

 いろんな人から可愛いや美しいって言われて来たけどやっぱクロスに言われるのが一番嬉しい。


「ひゃっ!」


 クロスがいきなり私の手を繋いで来た。いきなりで変な声が出る。


「おぬしは婚約者がいないってのはみんな知っておるじゃろう。じゃったら儂と恋人の振りをすればバレないんじゃないか?」

「……」

「おぬしが嫌なら別の手をするが」

「やるっ!」


 私はクロスの腕にしがみ付くように絡んでみる。せっかくのチャンスだグイグイいってやる。


「歩きづらいんじゃが」

「世間の恋人はこうやって歩くのよ。私達は恋人同士なんだから」


「あれ……シャルーン様? 男の子とくっついているからさすがに違うか」


 うん、バレていない。

 恋人いない宣言していて良かった~。今度から街を視察する時はクロスを巻き込んでイチャイチャしながら歩こう。


 それから私達は王都の中を見てまわったり、店に入ったり、カフェに入って念願の食べさせ合ったりもできた。

 無理やり引っ張ってきた感じだったけど、男の子と二人きりでデートみたいなことをしたのは初めてだったから本当に楽しかったなぁ。

 クロスも楽しんでくれていたら嬉しいけど、まあそういうキャラじゃないもんね。


 一頻り楽しんで外へ出る。


「さっき何を買ってたの?」

「ん? ああ、土産ものじゃよ。短期入学が終わったら一度故郷に戻ろうと思ってな」

「エストリア山だっけ。私も行ったことないのよね」


 クロスの故郷は王都からかなり遠い国境に近い所にある霊山エストリア。

 あんな所に人が住んでいたなんて全然知らなかった。まるで隠されていたかのような感じでびっくりしたものだ。


「今度の学園祭に妹や幼馴染を呼ぼうと思ってな」

「ご両親は呼ばないの?」

「……そうか。おぬしは知らないんじゃな」


 クロスは一瞬寂しそうな顔をした。

 何だろうか、でも突っ込んで聞くのは良くない気がする。

 話題をちょっとだけ変えよう。


「聞いたけどスティラもクロスの故郷に行ったんだよね」

「ん? ああ、あの短時間じゃけどな」

「……」


 やっぱりスティラに大きな差を空けられてる気がする……。

 ご両親に挨拶はしてないみたいだけど、すっごく可愛い金髪の妹さんと会ったみたいだし。

 王都から魔獣車で1ヶ月もかかる場所へどうやって行ったんだろう。

 スティラが隠そうとしたので思いっきりくすぐっていろいろ吐かせてみたけど、そこだけは答えてくれなかった。

 いやぁ、スティラの体は良かった。お腹まわりの敏感もさながらあの胸の柔らかさは極上。


「何か別のこと考えておらんか?」


 興奮して鼻血が出そうだったわ。最近ファリナの癖が移ってしまったのかも。


「幼馴染って言ってたけど……男の子?」

「いいや、女子じゃ。儂の一つの下でなテレーゼと言うんじゃ」

「へぇ……また女の子かぁ」

「この世は男と女しかおらんのじゃから仕方なかろう」


 クロスは少し動じた声を出すが、私の頭の中はその幼馴染のことでいっぱいだった。


「可愛い子だったりするの?」

「そうじゃな。妹と一緒でずっと儂にべったりじゃったわい。まぁ普通の村娘じゃが」


 クロスはにやりと笑う。


「戦闘能力はおぬしに匹敵するかもしれんな」

「普通の村娘なのに!?」

「儂が赤子の時から育ててた娘じゃからな。3週間のジュリオとはわけが違うぞ」


 今、ジュリオは急速的に実力をあげている。

 正直私も3週間でジュリオを決闘会で優勝させるレベルなんて無理と思ってたけど、クロスとスティラが投与している努力飴って奴が非常に凄い。

 私もちょっと飲ませてもらったけど短期間で能力が向上した。

 貴重な薬草を使ってるから秘密にして欲しいと言われているので他には公表していない。


 最近壁が……例えるならレベル上限みたいなものに阻まれている感じだったけど努力飴による能力上昇はその壁が存在しないのかもしれない。


 ブロコリの件もそうだけど、常識の範疇を超えたトレーニングをやっているように思える。

 でももし、そのトレーニングが生まれて間もなくから開始されていたらどうなっているか……。


「テレーゼは儂に本当に懐いておってな。大人になったら儂の嫁になりたいなどと世迷い言を」

「ほぅ」

「……また機嫌が悪くなっておらんか」

「クロス、その子を学園祭の時に連れてきて。……いっぱいお話したいから」


 私に匹敵する実力のクロスの幼馴染。

 スティラとは違う方向できっとライバルになるわ。その子に負けられない。


「王女に目をつけられるとは……あやつも大物になったのう」

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