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064 彼とデート②(※シャルーン視点)

「ごほん! ごめんなさい。そういう話は聞かないわね」

「そ、そうなんですね。シャルーン様とすごく仲良しだから……もしかして」


「えへへ、そう見えちゃう、困っちゃうなぁ」

「でも第二王女のシャルーン様がそんな簡単に交際なんてできるわけないので間違いですよね」

「……」


 ありのままのことを突き付けられて言葉を失う。

 そう……どんなに彼を好きになろうと私が王国の王女であることに代わりはない。


「どんな女性が好きなんでしょう」


 でも何か簡単にクロスが他の女の子といい感じになるのは嬉しくない。


「彼は年上好きみたいよ。最低50才は超えてないと駄目らしいわ」

「じゃあ、シャルーン様も駄目ですね!」


「ぐっはっ!」

「きゃああっ! シャルーン様大丈夫ですか!」


 この人苦手かも。まさかのカウンターが飛んでくるなんて。

 胸に受けたこの大きな傷はなかなか癒やせないのかもしれない。


「あの……クロスさん」


 しまった。クロスに恋心を抱いている子が声をかけてしまった。


「む? なんじゃ」

「この間はありがとうございました! えっと……その、今日……ヘアピンを変えてみたんですけど、どうですか?」


 なんかあざとい質問を投げかけてるじゃない。

 そんな問いかけをしたらクロスはきっと……。


「ふむ、おぬしによく似合っておる。とても可愛いぞ」

「キャーー!」

「ふふっ、愛らしいのう」


 ◇◇◇


「ふー、ようやく解放されたのう。それでシャルーン、なぜ頬を膨らませておるんじゃ」

「べっつにー」

「年頃の子は難しいのう」


 クロスったら私やスティラに言ってることを本当に軽々しく言う。

 ふんだ、どうせ。私なんてクロスからすればどこにでもいる女の子だもん。


 複数の女の子から言い寄られていることに自然と腹が立ってしまっていた。

 まぁ同性だからクロスの良さってのは分かる。

 他の同年代の男子みたいにガツガツしてないし、実直な性格をしていて、美醜関係なく優しい言葉を投げかけてくれる。

 柔らかな顔立ちに容姿も無駄の無いしなやかな筋肉に包まれて、上背もある。

 それだけならどこにでもいるけど、スティラは薬で私は剣技。心引かれてしまう魅力を彼は持っているのだ。


「クロスはどんな女の子にも可愛いって言うんでしょ。分かってるんだから」

「誰にでも言ってるわけじゃないんじゃが」

「本当に?」

「本当じゃ。20才未満の幼子にしか言わん」


聞かなかったことにしよ。しかしぶれないわね。

クロスにとって女の子は全部同じに見えてるんだ


「じゃがおぬしは違うかもしれん」

「え?」


 クロスは急に私の髪をぽんと撫でる。


「この学園を取りまとめるおぬしの姿は他の子とは違う魅力を感じる。輝いているというべきかもしれないな。儂にとってシャルーンに特別に想うよ」

「と、特別!?」

「うむ。特別じゃ。おぬしは儂にとって特別な女の子じゃよ」

「うっへっへっっへ」


 もうそんなこと言われたら顔の火照りが止まらないじゃない。

 そんなの言われたら人目もはばからず抱きついてしまいたい!

 私ってこんなにチョロかったのかな、クロスは私に振り向かないはずなのに。


「それでどこへ行くんじゃ? あてはあるんじゃろうな」


 私よ、落ち着け。

 すぐに他の生徒達が来るんだから生徒会長シャルーンを演じなきゃ駄目。

 深呼吸して、一度髪をかきわけた。


「声がするらしいの」

「声?」

「そう……。オカルト研究部という所から相談があってね。この学園の北の方には70年前まで使用していた旧校舎があるの」


 すでに記録しか残っていないけど、まだ取り壊されずに現存されたままだ。

 かなり古い建物だし、魔獣が住み着いてしまっているというのもあって、取り壊せばいいという声もあるが……かつて神隠し的な事件があったということもありそのまま手を出されていない。

 私も調査しようかと思って近づいたことはあったんだけど、ちょっと異様な雰囲気というか。暗くて怖いっていうか。

 べ、別にオバケが怖いとかそんなんじゃないんだからね。


「その……クロスと一緒だったら戦力的に安心だから。一緒に行こうって思ったの。どう?」


 二人きりでの旧校舎探索。私達二人なら万に一つもトラブルはないはず。怖がりに扮して密着していい雰囲気になりたい。


「あ、それならとっくに解決しとるぞ。一昨日にスティラと一緒に探索したわい」

「は?」

「霊的魔獣が住み着いておったから討伐しておいたわ。あと、異界への接合点でもあって利用されそうだったのでそこも封印しておいた。いや~スティラの奴が怖がって大変じゃったわ。ずっと抱きついてくるから身動きが」

「ほぉぉぉぉぉーーっ」

「なんか怒っておらんか?」


 く、まさか旧校舎のイベントがクリアされていたなんて、しかもスティラのやつ!

 あの巨乳で抱きつくなんてもうえっちじゃん!

 ぐっ、まだ手はある。


「だったら……不良生徒達を取り締まってほしいの。最近、門限を破って夜な夜な抜け出す生徒がいてね。危険ドラッグとかそういうのにハマったらまずいから」

「ああ、それも終わっておるぞ。スティラが薬関係で気になるって言ってて、昨日の夜に密売人をこらしめておいたわい。生徒達はスティラが解毒薬を作ったおかげで安心じゃ」

「あ、……そういえばそんな報告が上がってたような。……また二人だったのね」


 ま、まぁいいわ。薬関係はスティラに頼るのは当然だと思う。

 いや、でも生徒会長の私抜きで対応……。あ、でも昨日は忙しかったし。だったら。


「これは生徒会に頼まれてる仕事でね。学園祭に出す予定のスイーツを決めかねているから試食して欲しいって依頼」


 一人ではたくさん食べられないから、クロスと二人で食べようかしら。

 お互いに食べ合いっこしてスイーツだけじゃなくて空気も甘くしたいなって。


「ああ、それもさっきも終わらせてきたぞ」

「は?」


「生徒会の仕事じゃったから儂とスティラで試食して終わらせてきた。季節の果実を使ったフルーツサンドは美味じゃったなぁ」

「……。スティラと食べさせ合いっことかしてないよね?」


「ん? ああ、一人で食べきれぬから少しずつ分け合ったぞ。スティラのやつ、恥ずかしがって可愛かったったのぅ」

「うがああああああああああああっ!」


「ど、どうした!」

「あの抜け駆け女ぁぁぁっ!」


 ちゃっかりクロスとイチャイチャしてぇぇぇっ!

 一緒の部屋にいる時は借りてきた猫みたいに大人しいのにちゃっかり私がしたかったこと全部クリアしててつらい。


「他にもあったりするの?」

「……っ」

「あるのね。言いなさい」

「この学園、校舎の前に銅像があるじゃろ?」


 80年ぐらい前に王国で革命を起こした英雄の銅像がそこには建てられていた。

 別段普通の銅像だったと思うけど……。


「あの銅像の下に隠し通路あってじゃな。地下に遺跡があったんじゃ」

「何それ……まったく知らないんだけど」

「方角的に王城の地下に繋がっておって……。まぁ、魔獣も多く住んでおったから奥までは行っておらん。儂だけじゃなかったし……」

「誰がいたの。またスティラ?」


 クロスの目が泳ぐ……。私の顔を見て気まずくなってるに違いない。


「たまたま一緒にいたジュリオと三人で」

「ほぉぉぉ。女の子二人と一緒に楽しそうねぇ」

「ジュリオは一応男子生徒の扱いでいい思うが」


 あんな顔の可愛い男子生徒がいてたまるか。彼女と話せば話すほど男装が無謀のように思える。

 まぁ最近、気功術を覚えて体型を隠し始めたから大丈夫になったけど。

 とりあえず言える事は。


「まず、私に報告しなさい!」

「しようと思ったんじゃがおぬし、忙しいじゃろ? 後でいいかなって」

「生徒会長からの命令です。私以外の女の子とイベントをこなすのは禁止します」

「どんな特権じゃ!?」


フラグとはちょっと違うかもしれませんがサブイベント全部終わらせてから本編イベントを開始するとこんな形でヒロインの知らないところでイベントが終わりまくるのかなと思い書きました。

サブイベントの消化は大事!



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