040 結社壊滅編~出落ち~
「転移ぃぃぃ!」
ミドオルズは3回目の転移を試みた。
クロスはまた戻そうと時空剣術を行おうとするが。
「もしや……その先に役員がいるんじゃないか」
その可能性は非常に高かった。
人はより安心な所に逃げる傾向にある。あの黒の構成員がここに逃げたのであれば、役職付きであるミドオルズが逃げる場所は一つしかない。
クロスは時空剣術を使用する。
「――――飛ばし」
ミドオルズの転移情報を利用し、クロスもまた移動した。
到着したそこは神秘的な雰囲気のする空間だった。
まるで自然と調和された花園のような空間。四方八方、空に囲まれていて思わず吸い込まれてしまいそうな場所であった。
王国では見ることのできない、結社だけが再現できる特殊な技術。
「なるほど……この会社は天界の技術を使っておるのか」
それに心当たりのあったクロスはぼそっと呟く。
そして。
「ナンデ、ここにいるのおおおっ! ここは幹部とエージェントしか入れないはずなのにぃぃぃぃ!」
「あははは、まだまだ若いのう。できるから再現できるんじゃよ」
「無理無理無理っ、こんな化け物敵いっこない! やだやだやだああああああっ!」
「……」
クロスは手を振り上げた。
「びしっ」
「きゅう」
ミドオルズの脳天にチョップを食らわせて気を失わせた。
うるさかったんだろうか。
クロスはミドオルズの頭を掴んで、バッグの中に突っ込んでいく。
「二人ほど気配がするの。その内の一つが役員か」
クロスはまっすぐに進んで行く。
◇◇◇
【剣帝】エーベは伝説級の片手剣を地面に突き刺し、その時を待っていた。
エージェントの中でも高位の立場にあり、その実力は一線を越えている。
純粋な強さであれば王国最強のシャルーンを超え、世界最強の人類の域に到達しているほどだ。
だがその力も決して簡単な道のりではなかった。
故郷を滅ぼされ、家族を失い、人々に絶望してしまっていた彼は修羅への道を進んでいた。
鬼になってしまったかにように人としての道を外している。それが【剣帝】エーベだ。
「来たか」
「ここはわりと大きい広場じゃのう。おぬしは役員ではなさそうじゃのう」
「……俺はただのエージェントにすぎない。おまえが求める相手はこの奥にいる」
「そうか。教えてくれて感謝する。では……」
クロスが横を通ろうとするが当然、それは阻止されてしまう。
【剣帝】エーベは片手剣を向ける。
「俺の相手をしてもらう。【剛拳武人】と【毒薔薇】を超えたその力を」
「はぁ」
「俺の修羅を上回っているか見せてもらおうか!」
そして……戦いは始まった。
ちーーーん。
【剣帝】エーベはゴミ箱に顔を突っ込んで気絶をしていた。
戦闘開始10秒で決着がついてしまった。まさにワンターンキル。
「剣帝だか何だか知らぬが剣を握って20年そこらの若造が何を言っておるんじゃ。鍛錬が足りておらん」
クロスはエーベの体を掴み、無限収納バッグの中に突っ込んでいく。
「何が修羅じゃバカか。鬼になるほど人生歩んでないくせに。まったく才能は儂よりあるのになんでこう若者はスレてしまうんじゃ。アレか中二病という奴かな。最近流行って儂は知っておるぞ! 若いからな」
クロスはため息をつき、先の扉を見据える。
この先に【異界人】グロイツェルがいるのは間違いない。
ただ、謝罪の一筆を書かせるだけのことに結社サザンクロスは壊滅目前だった。





