025 大逆転①
「Eランクとなります……」
「そう、クロスの仮説は当たっていたということね」
儂はその結果を持ってシスターに近づく。
「Aランクより希少なEランクはむしろより特別なのではないか? もちろん才能が本当に無いEランクの可能性があるだろう。だが……スティラはそうではないだろう」
「クロスさん……」
「ゆえにAランクより価値の高いSランクの認定を要求する。スティラのプローフカードを変更して欲しい」
今のまま終わらせてもスティラはEランクのままだ。
プローフカードを証明書としているのであればそれはちゃんと修正しなければならない。
儂はシャルーンを見た。
「王家として通達、今回特例措置でスティラ・ポンポーティルをSランク薬師認定とします。速やかに王国全土にこのことを広めEランクの成人者を再調査することをお約束します」
「宜しく頼む」
それでもSランクとなるのはEランク全体の1割よくて2割といった所か。
天才は稀にしか生まれないから天才なんじゃ。
儂のEランクは妥当なんじゃよ。
こうしてスティラのプローフカードは書き換えられて、一日にして最低ランクから最高ランクに変更になった。
これで全てが終わった……わけではない。
儂はもう一度リドバの所へ行く。
「リドバ、貴様、本当はスティラの才能が自分を凌駕すると分かっていたのじゃろう」
「……」
「……え、リドバさん。それってどういうことですか」
ウェーウェルのようなうつけ者じゃなければ分かるはずなんじゃよ。
同じ薬師ならどれだけの力を持つかすぐに判別できるんじゃ。
「簡単なことよ。こやつは自分以外にエクスポーションを精製させたくなかったんじゃ。エクスポーションを精製した唯一の薬師である自分の名誉を守りたかった」
だからスティラに研究をさせなかった。Sランクの才能を持つスティラが研究をしたらあっと言う間にエクスポーションを作ってしまうのではないかと思ったからだ。
リドバは何も否定せず、黙ったままだ。それは肯定と思っていい。
「そんな……そんなことのために幼い頃からわたしを迫害して! わたしの心を痛めつけて、家から追放したんですか!」
「わ、わしは……ポンポーティル家の当主なのだ! わしが……! 世界最高のポーションを作ったのはわしだけでいいんじゃっ!」
「ふざけないでっ! お父さんもお母さんもお祖父ちゃんも世界中の人を癒やすためにポーションを研究して、エクスポーションが出来ればもっとたくさんの人を癒やせるって思って。あなたはそれを邪魔して自分だけが大事だったということですか!」
ただの自分勝手だ。皆はこいつが作ったと思っているがエクスポーションは盗み出されたもの。作ってすらおらんのじゃよ。
それを言っても証拠もないし、もっとこいつを懲らしめる手段が存在する。
今のままだとエクスポーションの作成者の名にコイツとスティラの名が残るだけじゃ。
だったら一つ。
「スティラ。シャルーンがアップグレードの素材を持ってきてくれた。今すぐにやれるか」
「はい。こんな人の名前など残す価値もないです」
「な、何をする気だ!」
スティラはある魔獣の肝を手にポーションの精製を開始する。
彼女はS級の才能を持つ薬師だ。エクスポーションを作ったスティラならきっと1回で成功する。
「スティラは挑戦する。エクスポーションを超えた究極のポーション。エリキシルポーションにだ!」





