020 追いかけてきた女
「ふぁわぁぁぁあっ!」
快眠じゃな。
明朝、目覚め……体が何かに当たっている。
隣には何かにうなされ寝不足なスティラの姿があった。
ああ、そうか一緒のベッドで寝たんじゃったか。
スティラの瑞々しい肌に触れてみる。
やはり年頃の子は可愛い寝顔じゃのう。
孫と一緒に寝ているような気分じゃったわ。孫を溺愛する爺の気持ち最近よく分かるわい。
ルーナも小さい頃は一緒に寝たがったけど最近は寝てくれんかったからのぅ。兄は寂しい。
「うぅん」
「起きたかスティラ」
「あ、おはようございま……えっ、なんでクロスさんが!?」
スティラが目を覚まし起き上がるが儂がベッドにいることに混乱し始める。
まだ寝ぼけておるようじゃ。コラコラそんなに暴れたら……腕が。
むにゅんと指がスティラの大きな胸に触れてしまう。
しっかし大きな胸じゃのう。何を食べればこうなるんじゃ。
五本の指がその大きな胸にめり込んでしまう。
「ひっ!」
指に力を入れたから完全に起きてしもうたの。しかし左胸だけ診るのはよくないか。
そのまま右手もスティラの胸に添えた。
「ひゃわっ!」
3回ほど揉んで、うん、問題ないな。
スティラは顔を真っ赤にさせていた。
「あああああああ……」
「しこりもなく健康そのものの胸じゃ。良い母乳が出せるな!」
「嫌あああぁっ、死んでくださいっ!」
とんでもない張り手が飛んできてさすがの儂も意識を飛ばされそうになった。
◇◇◇
「まったく……もう」
スティラは顔を紅くして怒ってしまう。許してはくれたが儂も反省せねばならんな。
つい、いつもの医療行為のつもりでやってしまったわい。
今の儂はただの15歳。それを弁えないといかんな。
「誰にも触られたことなかったのに……」
「どうせ授乳の時に触られるんだから気にせんでええぞ」
「何の話してるんですか!」
儂からすれば胸の大きさなど心底どうでも良い。
宿屋で朝ご飯を食べて、外へ出る。
決戦の時間は朝10時じゃが早めに教会に行っておいた方がよい。
準備をしなければならないし、例えば……こんなこともある。
「お、ようやく出てきたなぁ」
「へへっ……」
宿を出た途端、ガラの悪そうな男達に囲まれてしまう。
違和感があったがまさか儂らを狙っているとはな。
「な、なんですか……」
「悪いが金もらってるんでね。オレ達と遊んでもらうぜ」
「儂らの邪魔をしようとしているようじゃ。リドバの差し金ということか」
「そんな……。そこまでするんですか」
「男の方は剣士の才能Eランクらしいぜ。ザコだろ」
「女の子の方はめちゃくちゃ可愛いじゃん。胸もでけぇし……楽しめそうだな」
「いやっ……」
スティラは怯え、儂の服の袖を掴む。
スティラに戦闘能力は無い。儂が守ってやらねばならんな。
しかしスティラの妨害を行うということは奴は恐らく……。
まぁ良い。腰に携えた刀を抜こうかと両手を持っていく。しかしすぐに必要ないと判断した。
理由は簡単なことじゃ。
「邪魔。寝てなさい」
その瞬間、男達はぱんと空中に飛び上がり、そのまま力なく地面に落ちていった。
俊足の一撃、見事なものだ。
複数の男達を一瞬で叩きのめした銀髪の美少女はパンパンと手をはたきこちらにやってきた。
「やっと追いついた」
強さと美しさを重ねた彼女の登場は儂らの戦いに対して大きな力になりそうじゃ。