141 テントの中のハーレム③
「ふわぁ」
良い目覚めじゃったわ。やはり布団の上で寝るのは格別じゃのう。
おろ? ファーシラとメルヤの肩を抱いてしまっておるな。やれやれ故郷の妹達を思い出してあやすように抱いてしもうたわ。
子供を抱いて寝るとよく眠れるという話は本当じゃな。しかし二人は何だか寝付きが悪いようだ。体は休めているので精神的なものか?
儂は一人で生きたゆえに精神の治療は門外なんじゃ。気にせず起き上がることにする。
雨は上がり、明るい日光が差し込んでくる。良い朝となったようじゃ。また三人娘達は起きておらんな。雨は上がったとはいえ、外は濡れまくってるだろうし、今のうちに着替えをしておこう。
正直見られても良いが男慣れしておらんようだし、気配は消しておこうか。儂は認識阻害の術を使った。これをしておけば儂に気づかなくなるのじゃ。さてと着替えるとしよう。
「うーーん、はっ! メルヤ、メルヤ起きてっ!」
「なぁに……寝不足なのよぉ」
「寝不足なのはあたしも! でもほらっ、全然体の動きが違うもの」
「えぇ、でも確かに体が軽いかも!」
施術の効果があったようじゃな。ファーシラとメルヤも元気百倍になってるようだ。そのまま二人はルージュをたたき起こす。
「ルージュちゃんはどう? 体は元気?」
「ん。笑い過ぎて変な所が筋肉痛になったけど……調子がすごくいい。雷鳴の力もスムーズに出る」
「ああ、良かった。胸をただ揉まれてるだけじゃなかったのね」
ええい、ちゃんと施術したわい。だが三人とも快調で良いことじゃな。
「クロスくんいないわね。外かしら」
「じゃあ今のうちに着替えましょ」
「ルージュちゃんも羽衣洗うからちょっとだけ脱いでね」
「ん」
三人娘が各々、寝間着を脱いで下着姿をさらけ出す。儂はまだ中にいるんじゃが、認識阻害の術を使った弊害が出てしまっているのか。
ファーシラは赤い色上下の下着で体は良く引き待っている。魔術師といえば貧弱のイメージがあるのじゃが長旅でちゃんと鍛えられているようだ。
三人の中では一番大人しいがすらっとしているのは良いことじゃな。
メルヤはクリーム色の上下に身を包んでいる。おっとりした性格から成熟した体型はそそる小僧も多いじゃろう。良い成長をしておる。
そして一番小柄なルージュだが肉付きは非常に良く、胸も尻もよく育っておる。雷鳴の力はそのあたりの成長ホルモンを刺激するのかもしれんのう。今度はそういうことを考えてみるか。
って……長々見ていてはいかんな。テントから出たいがファーシラが入口近くで着替えておる。これでは出られないじゃないか。認識阻害は触れられると解けてしまう。
この状況で儂がテントにいることがバレるとめんどくさいことになるのは分かる。別に儂は幼女の裸体に興味はないんじゃが向こうはそうではないかな。
「見てみてメルヤ。胸の張りが凄くいいの。サイズアップしたかも!」
「いいわねぇ。私はこれ以上大きくなると困るわぁ。ルージュちゃんはどう」
「ボクも動きづらくなるから大きくなると困る」
「どれどれ。ルージュ、また大きくなった? メルヤを抜く日は近いわね」
「あぁん、もうこれ以上大きくならなくていい」
「あの虹の羽衣を着るんならこれ以上は過激すぎて出入り禁止になるかも」
「こんなに可愛くてスタイル良いのが悪いっ!」
早く着替えを終わらせてくれんか。少女共の絡みに興味はない。しかし仲が良いのう。そういう所は本当に羨ましい。せっかく若返るなら女になりたかったなとちょっと思う。
「ルージュちゃん。昨日の夜クロスくんと何してたのー? 雨の中で二人きりだったんでしょ」
「何もない」
「本当? 何かあたしが見た時抱き合ってなかった?」
「……っ」
「ルージュちゃんが照れてる。何かあったんだわっ!」
「お姉ちゃん達に話さないとこうよっ!」
「あひゃっ? やぁっ! くすぐったいやめてっ!」
ファーシラがルージュの脇腹をぐにぐにと揉んでルージュはたまらず倒れ込んでしまう。メルヤもルージュの手を掴んで空いた手で脇の下あたりを攻める。
「懐かしいわねぇ。昔もこうやってルージュちゃんをこちょこちょしたわねぇ。反応が可愛いからたまらないわ」
「普段無口で胸を揉んでもあんまり反応ないのにくすぐった時だけ凄いもんね」
「きゃははははっ。やあっ!」
しかし弄ばれておるなぁ。まぁそれもルージュの魅力というわけなんじゃろう。ルージュは組み伏せられ、二人がかりで攻められて悶絶していた。
「何かあったか話さないともっと続けるわよぉ~」
「クロスが持ってたこの滑りやすいジェルを塗ればもっと効くかも。使ってみよ」
「きゃははは、助けてぇ。だめぇっ! いやあああっ」
ファーシラが入り口から動いたためようやく入り口から逃げられそうだ。攻められ泣き笑い続けるルージュを尻目にテントからささっと出ることにした。やれやれせっかくマッサージしたのに疲れさせてどうする。滋養に効く朝飯を作るとしようか。
それから朝ご飯を作ってる内に三人が出てきた。すっきりとした顔のメルヤとファーシラと違いルージュはへとへとに疲れ切っていた。あれからもまだ続いておったんじゃろうか。まぁええか。
食事を終え、テントを片付けているメルヤとファーシラ。儂も出発できる準備を整えた。
「ねぇクロス」
ルージュがそっと声をかけてきた。虹の羽衣に身を包み、もういつもの状態だ。
「体は良い状態か?」
「ん。クロスのおかげで凄く体が軽い。今なら何でもできそう」
「それは良かった」
「昨日は励ましてくれてありがと。嬉しかった」
昨日の夜の話じゃな。そんなことで励ませることができるのであれば何度でも励まそう。ルージュのためになったなら良い。
「二人だけの秘密。メルヤとファーシラの拷問に耐えきった。秘密はバラさなかったよ」
えっへんと胸を強調させ、自慢気に言う。別に秘密にせんでも良かったと思うが弱音を吐く所を見られたくなかったのかもしれんの。
「それと……」
ルージュはゆるっと儂の側に寄った。
「昨日のマッサージ……すごく良かった。ボク、あんなに気持ちよかったの初めてかも。朝も快調だしあれだったらまたして欲しい」
「機会があったらやってやろう。じゃがあれだけ敏感だったらまた笑う羽目になるぞ」
「ううっ」
ルージュは思い出したように脇腹あたりを締めて隠そうとする。朝もからかわれておったからのう。
「クロスにされるのは悪くなかった。ちょっと途中から気持ちよくなってたし」
「ふむ?」
「クロスならモミモミもこちょこちょもされていいかも」
ルージュはかぁっと顔を赤くさせそんな言葉を吐いた。
「うぅ、ボクは変態さんになっちゃったかも」
「良いのではないかそうやって人は大人になるんじゃ」
「じゃあクロスはどんな女の人が好き?」
儂の女の子の好み、もちろんたくさんあるがまず最低条件を言うべきだろう。
「最低五十歳以上は年を召していてほしいな」
「クロスの方が変態じゃない!?」
儂は極めてノーマルだと思うんぞ。うむ、フェルーラに会いたくなってきた。





