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魔法少女かえで@agent 〜35歳サラリーマンが魔法少女やることになりました〜  作者: そらり@月宮悠人
第二章

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技能試験①

 ――魔法少女技能試験。

 年に2回、4月と10月に行われるこの試験は主に魔法少女の技術力向上、交流を目的としている。しかし高位(ハイランク)未満の魔法少女にとってはそれ以上に大きな意味を持つ。


「すげぇ……」


 試験会場である魔法(M)少女(G)協会(A)東京本部。相変わらずの突き抜けるような青空の下にはすでに多くの魔法少女が集まっていた。

 なんとかギリギリまで訓練と調整はしてきたが、大丈夫かな? ――いや、そんな弱気でどうする! 家賃タダへの第一歩、8割引きを獲得するんだ!


「すごいでしょ?」

「歩夢! ……魔法少女ってこんなにいたんだね」

「全員じゃないけどね」

「え? どういうこと?」

「だって、全員が一気に試験受けたら各地が手薄になって大変じゃん? それに一気に受けると試験も大変だからね」

「確かに……。じゃあその間は他の人がカバーしてるんだ?」

「うん。100キロメートルエリア担当も抜けるからねー、魔法少女にとって一番大変な時期かも」

「え? 100キロメートルエリア担当も試験あるの?」

「ないない、逆だよ逆」

「逆って?」

「100キロメートルエリア担当は試験官なんだよ」

「えっ!? 試験官やるの!?」

「そ。でも全員じゃないよ、試験ごとに5人のローテーションでね」


 ということはtre'sの二人、神楽・ソランデルと的場奏雨もいるのかな? まだちゃんとお礼言えてなかったから言いたいな。

 それと――


月見里(やまなし)さんも来るのかな?」

「もちろん。今回来るかどうかは分からないけど。それに知り合いだからって審査甘くないよー?」

「あはは……」

「――ところでさ」

「ん?」

「なーんか、めっちゃ視線感じない?」

「そういえば……」


 なにやらザワついてるとは思っていたが、言われてみると視線を感じる。それも一人や二人じゃない。

 魔法少女のセンサー類は優秀だが、魔法少女の視線までは感知できない。それでも変身前よりは数段感じやすくなってるから気配を探るのは難しくはない。

 

「でもそんな嫌な視線じゃないね」

「確かに、嫌な感じはしないかな」


 謎の視線が気になりつつも歩夢と話していると、「静かに」とよく通る声が聞こえた。


「あの人は?」

「阿山千景。魔法(M)少女(G)協会(A)東京本部本部長だよ」

「え? ということは、あの人が歩夢の師匠?」

「そういうこと」


 本部長であり歩夢の師匠だという阿山は、淡々と静かな声で語りだす。


「皆さん、おはようございます。本日は魔法少女技能試験の前期です。試験内容は魔法の基本と仮想戦闘、各試験官による独自試験の3つになります。エリア昇格の審査にもなってますので、昇格を目指す人は頑張ってください」


 昇格を目指す人は……? 昇格したくない人もいるのか。そういえば優海さんは毎回昇格は辞退しているんだっけか、なんでだ?


「さて! ここからは部長補佐のわたくし、草薙愛恋(あこ)が案内と司会と実況を担当しますよー! 皆さん元気ですかー?」

「な、なんだ……?」


 いきなりテンション高い女の子が登場して困惑していると、周りは「愛恋ちゃーん!」「元気ー!」と盛り上がる。


「あはは! やっぱり最初はビックリするよねー」

「えーと……あの人は?」

「阿山本部長の補佐官で、この技能試験の責任者」

「ずいぶんと明るいんだね……」

「愛恋さんが責任者になってからは試験を受ける人も増えたらしいよ」

「そうなの?」

「昔は淡々と試験が行われるだけで、つまらなかったんだってさ。だから昇格したい人以外は来ない、なんて時期もあったらしいよ。愛恋さんが責任者になってからはイベント化して皆参加するようになったって阿山さんから聞いたことある」

「そうなんだ……」


 巻髪ツインテールと赤いフレームの眼鏡が特徴的な愛恋さんは、「盛り上がってるかーい!」などとアイドル会場さながらのトークを繰り広げる。


「今回の前期試験、担当の魔法少女はこちらー!」


 愛恋さんの右手側には試験官となる100キロメートルエリア担当の魔法少女が並んでいた。


「左から順番に紹介しますねー、まずはアタッカー担当! 史上最年少で高位(ハイランク)昇格を果たした最強剣士、月見里(やまなし)千夜さん!」


 まるでHuGFのライブ会場のように「月見里さーん!」「きゃーっ!」と声も熱気もすごい。


「月見里さんいるんだ。というか、すごい人気だね……」

「魔法少女の人気ランキングで常に上位だからねー」

「人気ランキングなんてあるの?」

「あるよ。皆そういうの好きじゃん?」

「あはは……」


 愛恋さんに紹介された月見里さんが軽くお辞儀すると、「続いてはこの方!」と紹介を続ける。


「コンバット担当! こんな細い腕のどこに破壊パワーがあるのか!? クラッシャーの異名を持つ闘神、一ノ瀬七海さん!」


 一ノ瀬というのは聞いたことが無いが、こちらもファンが多いようだ。


「そんな凄いの?」

「ランクAの上位種をワンパンしたって言えば分かる?」

「ワンパンって……あのワンパン?」

「そのワンパン」


 続いて三人目が紹介される。


「マジカル担当! 変幻自在の魔法は正に魔法少女の体現者! トリックスター、花織(あかり)さん!」


 マジカル担当ってことは、俺の試験はあの人が担当するのか。

 遠目からでも分かる特徴的なピンク色のゆるふわロングヘア。丸い眼鏡を掛けている優しそうな女の子といった印象だが……。


「っ!?」


 まさかと思ったが、花織さんと目が合った。ここからの視線に気づいたのか? しかもこの距離でプレッシャーがすごい。


「あれがマジカル最強の100キロメートルエリア担当か」


 魔法少女技能試験は思ったよりハードな予感がするな……。


To be continued→

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