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魔法少女かえで@agent 〜35歳サラリーマンが魔法少女やることになりました〜  作者: そらり@月宮悠人
第三章

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ミニライブ後編

 あービックリした!

 まさか北見校長が姫嶋かえで()のことを全校生徒にバラすなんて……。どうせ首謀者は煌梨だろうけどな。


 新曲はなんとかやり切った。しかし安心してはいられない、次はエンディング曲だ。本来はHuGFが歌うナンバーだが、今回限りのコラボということで俺も出ることになっている。


「ありがとうー! みんないい感じね。次行くわよー! 『アリア・ロジック』!」


 煌梨得意のナンバーはライブを最高潮に盛り上げる。オーディエンスの熱気は舞台袖にいても伝わってくる。

 

「次の出番はまだなの?」

「もう少ししたら……って校長先生!?」

「ふふ。ビックリした?」

「しますよそりゃあ……。逆サプライズは心臓に悪いです」

「大成功ね。でも私も驚いたのよ」

「え?」

「東山さんに提案された時は、とてもリスキーだと思ったわ。下手したらかえでさんの立場が危うくなるんじゃないかって。そもそも三ツ矢女学院は陸の孤島のような場所だし、最初はHuGFさんのライブそのものが成功するか怪しいと思ってたの」

「それなのによく承諾しましたね……」

「あなたがいたからよ」

「え? 私ですか?」

「HuGF単独だったら断ってたわ。一時的とはいえ、かえでさんがメンバーにいたから受けたのよ」

「どうして?」

「かえでさんには人を巻き込んで良い方向に導く才能がある。ご存知? 協力者の4人だって元々はあまり仲良くはなかったのよ」

「そうなんですか?」


 俺がここに来た時にはそんな感じしなかったけどな。……いや、水鳥と乃愛はちょっと問題有りだったか。


「でも、私がここに来たのはつい先日ですよ? ライブの話があったのはもっと前でしょう?」

「実はね、それ以前からあなたのことは見ていたの」

「え!?」

「スレイプニルから話を聞いてから気になってね。あなたの記録(ログ)を見たり、直接見に行ったりもしたわ」


 ぜんっぜん知らなかった……。


「そうして見ていると、あなたの周りには自然と人が集まり、皆それぞれ良い方向へ動き出していったわ。それで確信したのよ。この子は我が校にとって大切なピースになるって。だから東山さんの提案にかえでさんが絡んでると聞いて即決したの」

「そうだったんですか……」


 それはきっと、姫嶋かえでという魔法少女の性質なのだろう。俺自身にはそんな能力ないし魅力もない。


「だから正体をバラしたのよ。かえでさんなら絶対に大丈夫だと確信していたから」

「あはは……」


 話しているとスタッフが来て「そろそろ出番です」と耳打ちしてくれた。


「分かりました」

「ごめんなさいね、本番中に話し込んでしまって」

「いえ、おかげで緊張が解れました。ありがとうございます」

「最高のライブにしてね」

「はい!」


 ステージでは『アリア・ロジック』が終わり、煌梨のMCで最後の曲が紹介される。


「さっき、かえでが新曲を披露してくれたけど、実は私たちにも新曲があるの! 『涙雲』!」



《わかってる。あなたがそれを望まないのは

わかってる。あなたを止められないのは

わからない。私はどうすればいいのかな?


《あなたを見てると胸が苦しくなる

自分を犠牲にしようとしないで

「心配するな」とあなたは言うけど

不安でたまらなくなるの》



《My heart always Cloudy sky.

(私の心はいつも曇り空)

Sometimes it rains.

(時々雨が降ってくる)

I hope your smile will cast a rainbow over my world.》

(あなたの笑顔が、私の世界に虹をかけてくれることを願ってる)

 


《あなたを守ることができないなら

なんのため、戦場(ここ)に居るんだろう

私にできることってなんだろう?

どうすれば傍に居られますか?》


《My heart always Cloudy sky.

(私の心はいつも曇り空)

Sometimes it rains.

(時々雨が降ってくる)

I hope your smile will cast a rainbow over my world.》

(あなたの笑顔が、私の世界に虹をかけてくれることを願ってる)


《わかってる。あなたがそれを望まないのは

わかってる。あなたを止められないのは

わからない。私はどうすればいいのかな?


《想いが届かなくてもいい、あなたと居られるなら

傍に居られるだけでいい、あなたと一緒なら

戦えなくても、守れなくても、支えると決めた》


《My heart always Cloudy sky.

(私の心はいつも曇り空)

Sometimes it rains.

(時々雨が降ってくる)

I hope your smile will cast a rainbow over my world.》

(あなたの笑顔が、私の世界に虹をかけてくれることを願ってる)


《あなたと居れば、きっと明日は晴れるよね》



 歌が終わると、もう何度目か分からない大拍手と大歓声に包まれた。

 人生で初めての作詞は、本当にプロが見てくれたのか? と思うくらい直しが無かった。ビギナーズラックというやつだろうか。

 

「さっきかえでが歌ったのはアニメのオープニングだったけど、この『涙雲』はエンディングなの!」


 まさかの発表に大歓声。しかし思ったよりアニメとか知ってるのか? 舞彩(まあや)は異世界モノすら知らなかったようだが。……まあポンコツ隊長だしな。


「今日のミニライブはこれで終わりだけど、よかったら卒業してからライブ観に来てね!!」


 なに!? そうか! それが本当の狙いか!

 すっかり乗せられた生徒たちは「絶対観に行くー!」と口々に叫ぶ。

 煌梨め、三ツ矢女学院で姫嶋かえで復活のミニライブとか言ってたが、その実は660人のファンを作り出すことだったか。


「参ったよ。本当に策士だね煌梨」

「ごめんね、かえでを利用した形になっちゃって」

「いいよ。それでこそ東山煌梨だ」

「かえで……。じゃあ、最後に特大のサプライズ行くわよ」

「うん」


 鳴り止まぬ歓声に、煌梨が「最後に1つだけ発表があります!」と言うと、会場は一瞬で静まり返る。


「実はね、今夜のミニライブにはテーマがあったの。題して、『姫嶋かえで復活祭!!』」


 と、言われてもなんのことやら分からないだろう。「どういうこと?」とザワザワする。


「三ツ矢女学院の生徒皆様は知らない方も多いと思いますが、先日大きなライブをやった時、過激なファンの暴走によってかえでは意識不明になる重傷を負いました」


 驚愕の事実にどよめきが広がる。眼の前でこれだけ元気にライブパフォーマンスしてるんだから、信じられないよな。


「でも、奇跡的に回復してステージに立てるようになりました! 姫嶋かえで復活です!!」

 

 わああああ!! と再び会場は盛り上がる。


「というわけで、来週からかえでが復学しまーす!! 学校でアイドルに会えるよー!!」


 今日一番の大歓声が体育館を揺らした。生徒にとってはまさにビッグサプライズだ。

 そして俺にとっては地獄の始まりだ。なんせ社会人、魔法少女、アイドルに続いて学生という肩書きが加わり四刀流となる。どこかの漫画キャラより多い。


 退院してすぐに聞かされた前代未聞のミニライブは、学院の全面協力のもと大成功に終わった――。



 To be continued→

最後まで読んで頂いてありがとうございます。

応援よろしくお願いします。


作中ではプロが監修するとか直してくれるとか言ってましたが、そんなプロいるわけもなく全て私の作詞です。なので、もしカラオケやサブスク配信されたら私に印税入ります。印税生活してみたい……。


さて、長かった第三章も次で最終回です。お楽しみに。

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