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魔法少女かえで@agent 〜35歳サラリーマンが魔法少女やることになりました〜  作者: そらり@月宮悠人
第三章

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プライドを理由に

「かえでー! こっちこっち!」


 煌梨が手を振って呼ぶ。駅から急いで走って、ようやく会場である体育館に着いた。


「はぁ、はぁ、はぁ……。間に合ったー!」

「なんで全力疾走? サブタンクはあるでしょ?」

「そ、それが、私もサブタンクの魔力で飛ぼうと思ってたんだけど、さっき確認したらタンクも空っぽで……」

「一体なにしたらそうなるのよ……。まあいいわ、とにかく今はリハーサルよ!」

「うん!」


 体育館の中は設営が進んでいた。すでに半分以上はできているようだ。


「かえで! ダンスの確認するよ!」

「明音はもうスイッチ入ってるね」

「ええ。今日は張り切ってるわ。ここに着いてすぐスイッチ入ってたもの」


 楽しみにしてたってことかな?


「かえでー!」

「今行く!」


 ステージに上がると、前回のライブ会場とは違った景色が広がる。ここに660人の生徒が集まるのか……。


「本番に向けた最後のリハーサルだよ。気合い入れてね!」

「うん!」


 スポットライトが当たり、曲が流れる。サプライズだから大きな音では流さずBGM程度だ。

 協力者の人たち、他の生徒、優海さん……。皆、喜んでくれるかな?


 *   *   *


 夕暮れ時の校長室で、北見は客人に紅茶を淹れる。

 

「いよいよね。あなたは見ないの?」

「興味はあります。ですが、私は表に出れませんから」

「そうだったわね。あなたも三ツ矢女学院に来てくれたら良かったのに」

「私が三ツ矢女学院の生徒なんて、似合いませんよ」

「あら、制服似合うと思うわよ」

「御冗談を。それで、私に頼みたい事とは……このイベント絡みですか?」

「そうなの。気持ちよくライブさせてあげたいじゃない?」

「それなら、魔法(M)少女(G)協会(A)を頼れば良いではありませんか。例の一件で接触したと聞きましたよ」

「できれば、頼りたくないのよ」


 北見はやや声のトーンを落とした。それが強い意思表示のサインであることを知るのは、この客人と一部の人間だけである。


「プライドを理由に私を動かそうとするのは貴方くらいですよ、北見校長」

「だめかしら?」

「……まったく、断れないと分かってるくせに。腹黒さは相変わらずですね」

「まあ、腹黒いだなんて。私にそんなことを言うのは中原さんと貴方くらいよ。今はなんて呼ぶのかしら?」

「――エースと」

「いいじゃない。貴方にピッタリだわ。じゃあ、よろしくね。エース」


 エースは紅茶を飲み干すと、「ご馳走さまでした」とお辞儀して校長室を後にした。


「……聞いているか?」

〈なんやねん。まさかまた子守言うんやないやろな?〉

「鋭いな」

〈アホ。あの北見やで? 厄介事押し付けるに決まっとるやないか〉

〈あーあ、あたしライブ見たいなー〉

〈アホか。あんな(とこ)おったらソッコーでバレるで〉

〈だって三ツ矢女学院でミニライブやるなんて、たぶん最初で最後だよ?〉

〈ええ裏ワザ教えたろか?〉

〈え? なになに? 見れるの!?〉

〈ライブすんのは魔法少女やで? あとで記録(ログ)見たらええがな!〉

〈うっわ! 天才じゃん!!〉

〈せやろ?〉

「魔法少女モードならな」

〈あっ! そうじゃん! 魔法少女モードじゃないと記録(ログ)無いじゃん!〉

〈と、思うやろ? 姫嶋かえでは別やねん〉


 その一言にエースは「なぜそう思う」と反応する。


〈実はな、あいつ特別試験からこっち来る時に魔法少女モード解除すんの忘れてんねん〉

〈あー、魔法少女あるあるだねー、あたしもやったことあるー〉

〈せやから今は魔法少女モードのままやねん。な? 記録(ログ)残るやろ〉

〈でも、魔法少女モードのままだと姿見えなくない? 大丈夫なの?〉

〈それがなー、あいつ試験で魔力使い果たしてもうて、しゃーないからって電車乗ってん。そん時にステルス解除しとるから今も見えとるわけや〉

「よく見てるんだな」

〈ウチな、人間観察得意やねん〉


 エースはなにか言いたげだったが、「そうか」とだけ返して体育館の方へと向かう。


〈でも、守るのはいいけど魔法(M)少女(G)協会(A)の魔法少女は来ないの?〉

「問題ない」

〈あの北見やで? 裏で手ぇ回しとるんに決まっとるやろ〉

〈じゃあ、ステルスPlusのチェックだけすればいっかー。ライブ映像見るためにがんばるぞーっ!〉

「よし、任務開始だ」



 To be continued→

最後まで読んで頂いてありがとうございます。

応援よろしくお願いします。


長かった第三章もあと3話で終わりです。

次回、「ミニライブ前編」!

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