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魔法少女かえで@agent 〜35歳サラリーマンが魔法少女やることになりました〜  作者: そらり@月宮悠人
第三章

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トリックスターとメイプル

『えっ、失格?』


 三ツ矢女学院に向かう道中、煌梨に試験のことを報告すると驚かれた。かなり期待していたようだったしな。


「ちょっと魔力管理ミスっちゃってね、続行不可になったから棄権したんだ」

『魔力管理ミスって、……かえでの魔力はそんな簡単には尽きないでしょ?』

「うん、まあ。詳しくはライブが終わったら話すよ」

『……分かった。もうすぐリハ始まるわ』

「了解」


 飛んで行きたいところだったが、魔力はほとんど使い切ってしまった。仕方ないから公共交通機関を使うとしよう。ここからなら電車がいいか。

 姫嶋かえでは重傷で入院している事になっている。バレないように衣装変更機能(オート・コーデ)で帽子を被っておこう。


「電車で行って、最寄り駅からは少し飛ぶか」


 魔法の杖のサブタンク使えばそれくらいは行けるだろ。

 切符を買って、改札口に向かおうとして気づいた。いつもの癖でおとな料金の切符を買ったが、かえではこども料金なのでは?

 しかし駅員に訊ねたらソッコーでバレる。スマホで調べるのも不審者になってしまいそうだし……。


「ええい! ままよ!」


 改札に切符を通すと、そのまますんなり通れた。少し歩いてから立ち止まってみても駅員は声を掛けてはこない。


「ふぅ……。セーフか」


 ホームまで来てから気になってスマホで調べてみると、どうやら12歳以上からおとな料金になるようだ。


「あっぶな。かえでは14歳の設定だからな、こども料金で乗ったら違反になるところだ」


 周りに子供がいないから全く分からなかった。かえでの姿で電車に乗るのも何気に初だしな。

 

「さてと。電車が来るまでまだ時間あるか……。ところで、ニャースケは出っぱなしで大丈夫なの? 一般人には見えないとはいえ、私の魔力もう限界だよ?」

「平気にゃ。コア・プログラムには独立した魔力があるにゃ」

「へー」

「ところでご主人、もしかしてボクの他に同じようなコア・プログラムを搭載した魔法持ってるにゃ?」

「同じような魔法なんてあったかな? それがどうかした?」

「トリックスターの引き継ぎが上手く行かなかった原因を調べたら、高度な魔法プログラムの権限に邪魔されてたにゃ」

「あっ、メイプルのことかな?」

「メイプル?」

「小堂藍音って子が作ってくれた魔法AIだよ」


 そうか、メイプルにもコア・プログラムというものがあるのか。言われてみたら確かにニャースケと同じく自律思考AIだ。

 

「ふーん。メイプルと直接お話したいにゃ」

「いいよ。ハロー、メイプル」

『なにー?』

「あ、そうだ。二人とも今は魔法通信で頼むよ」

〈はいはーい。それで、どうしたの?〉

「ニャースケがメイプルと話したいって」

〈ニャースケ? ああ、さっきの〉

〈はじめましてにゃ。トリックスターのコア・プログラムのニャースケにゃ〉

〈猫だ! はじめまして、姫嶋かえで専用AIのメイプルだよ〉

〈なんだかえらくフランクなAIにゃ〉

〈マスターにこのキャラでって言われたのよ〉


 戻す必要もないし、こっちの方が相棒って感じするからな。


〈ところで、話ってなに?〉

〈トリックスターの引き継ぎをしたいにゃ。でもメイプルに邪魔されて上手くできないにゃ〉

〈邪魔? 私なにもしてないわよ〉

〈メイプルの権限が強いのにゃ。少し譲るにゃ〉

〈権限が強いのは当たり前でしょ? 私がマスターの相棒なんだから〉

〈これからはボクも相棒にゃ。だから少し譲るにゃ〉

〈あんたの魔法を私が管理すればいいだけじゃない〉

〈それだけだと不十分にゃ。ボクのフルパフォーマンスを発揮するには権限の付与が必要なのにゃ〉

〈そもそもあんたのフルパフォーマンスなんて必要あるの?〉

〈あんたじゃないにゃ。ニャースケにゃ。必要あるから言ってるにゃ〉

〈ログ見ると、あんたのせいで特別試験は失格になったみたいだけど?〉

〈……そうにゃ。ボクのせいでご主人は失格になったにゃ。だからこそ次は失敗しないためにフルパフォーマンスでご主人の期待に応えたいにゃ〉


 あの時、もし引き継ぎがちゃんと完了していて、魔力管理のトラブル無くフルパフォーマンスを発揮できていたら合格してたかも知れない。ニャースケはそう考えているんだろう。

 

〈……分かった〉

〈にゃ?〉

〈マスターの期待に応えたいって思いは、私も同じだから〉

〈ありがとにゃ〉

〈それじゃあ、引き継ぎを始めて〉

〈分かったにゃ。――トリックスター引き継ぎ再設定開始……〉

〈トリックスターのコア・プログラムからの申請を承認〉

〈引き継ぎ設定完了。……終わったにゃ。今度こそ完全に引き継ぎできたはずにゃ〉

「どれどれ」


 トリックスターを起動すると、さっきとは違って色んな情報が分かるようになった。


「これって……」


 その中にはニャースケ愛に溢れたカスタマイズもあり、女の子らしい可愛いUIユーザーインターフェースになっていた。


〈千秋ちゃんはボクのこと可愛がってくれたにゃ〉

「みたいだな」


 トリックスターをほぼ全て把握できるようになり、創造魔法についても分かったことがある。

 どうやらトリックスターは元々、個人用の魔法検証ツールだったようだ。創造魔法はその一環であり、究極魔法(ウルティマギア)みたいな使い方は想定されてなかった。


「これって魔法を検証するための魔法だったのか」

〈にゃ。だから今は失われたオールドタイプも検証だけなら可能にゃ〉

「え? 創造魔法で再現できないのか?」

〈オールドタイプは天界に厳しく管理されてるにゃ。だから創造魔法で再現しようとするとスレイプニルがすっ飛んで来るにゃ〉

「ほほう、スレイプニルが」


 緊急事態に使えるかもな。覚えておこう。


「ありがとうメイプル。今後はニャースケとも連携して上手くやってくれ」

〈分かった〉

「ニャースケも、メイプルと仲良くな」

〈にゃー〉


 ちょうど電車が来た。と、魔物が張り付いている。


「まあ、ピュアラファイくらいなら撃てるか」


 とはいえ魔法の杖を構える必要はある。どうやって目撃されずに撃つか……。


〈ご主人、ボクを使うにゃ〉

「ここでか? ていうか魔力足りるかな」

〈違うにゃ。トリックスターじゃなくて、()()()使うにゃ〉

「ニャースケを? どうやって?」

〈魔物を倒せとか、命令してくれればいいにゃ。〉

「じゃ、じゃあ……。ニャースケ、あの魔物を倒してくれ」

〈にゃっ!〉


 するとニャースケは電光石火の早業で、あっという間に魔物をやっつけてしまった。


「ニャースケ! すごいじゃないか!」

〈にゃー、朝飯前にゃ〉

「これは便利だな。オリジナル魔法作りたかったけど、トリックスターだけでやれるんじゃないか?」

〈ご主人が現状のままで良いならいいと思うにゃ〉

「どういうこと?」

〈トリックスターは二面性の魔法にゃ。強くもあり同時に弱くもあるにゃ。もし高位(ハイランク)魔法少女を目指すのならトリックスターに頼るのは危険にゃ〉

「そっか……。そうだな、トリックスターはここぞって時に使えばいいか」

〈にゃー〉


 千秋さんから引き継ぎしてトリックスターを使えるようになったのはいいが、まだその力の一端しか見てない。使いこなせるようになれば高位(ハイランク)でも通用するんじゃないだろうか?

 正規ルートで昇格するためにも、使える武器は多い方がいいだろう。ミニライブが終わったら研究してみるか。



 To be continued→

最後まで読んで頂いてありがとうございます。

応援よろしくお願いします。


電車は苦手です。

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