表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法少女かえで@agent 〜35歳サラリーマンが魔法少女やることになりました〜  作者: そらり@月宮悠人
第三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

253/259

昇格試験⑤ デメリット

 圧縮時空間が解除され、眼の前に厄介な強敵が現れる。


「トリックスター引き継ぎコード入力! 前回登録者『狭間千秋』のデータを『姫嶋かえで』に引き継ぎ! フルアクセス権限オープン! トリックスター起動!」


 術式なのだろうか、ニャースケから魔法文字が溢れ出して、それらが魔法の杖に染み込んでいく。


《トリックスター起動を確認しました。マスターかえでを承認。コア・プログラム、ニャースケの状態オールグリーン。セットアップ完了しました》

「な、なんかカッコいい」

「そうにゃ?」


 初めて魔法少女に変身した時より魔法少女っぽい(?)演出だったから、少し感動した。


「それでニャースケ、トリックスターはどう使えばいい?」

「にゃ? ……じゃあ、とりあえずなんでもいいから破壊してみるにゃ」

「なんでもいいからって、私はピュアラファイしか使えないよ?」

「ご主人、とりあえず破壊してみようと考えてみるにゃ」

「うーん……」


 じゃあ、端っこに残ってる木でも破壊してみるか。――と考えた瞬間、木が木っ端微塵に爆散した。いや、ダジャレのつもりはないんだが……。


「ど、どうなってるんだ?」

「ご主人は今、破壊と言えば木っ端微塵に爆散だな。と思ったにゃ?」

「えっ!? ……た、確かにちょっとは」

「トリックスターは()()()()()()にゃ」

「マジか。ていうことは、魔物を浄化したいと思えばできるの?」

「残念ながら()()()()()トリックスターで浄化できないにゃ」

「どうして?」

「トリックスターの破壊魔法は自分がイメージできる範囲に限られるにゃ。今のご主人にあの魔物を浄化するイメージできるにゃ?」

「……いや、全然」

「なら、創造魔法を使ってもいいにゃ?」

「え? いいよ。どんなの?」

「こんなことできるにゃ」


 ニャースケが前脚で空中にチョンチョンとすると、まさかの武器が現れた。


「なっ……! バカな、エクスカリバー!?」


 先の戦いで武器再現し、使い切ったはずのエクスカリバーが眼の前にある。手に取ってみても本物の感触だ。


「ど、どういうことだ!?」

「ご主人、攻撃来るにゃ」

「うわぉっ!?」


 レーザー攻撃を避けながら再度質問する。


「ニャースケ! これは一体!?」

「これがトリックスターの創造魔法にゃ」

「創造魔法ってまさか究極魔法(ウルティマギア)の!?」

「あれとは全然違うにゃ。究極魔法(ウルティマギア)創造魔法(クリエーション)は万物創造の巨大魔法にゃ。さっき言ったように、トリックスターは二面性の魔法にゃ。破壊魔法はふつー破壊しかできないけど、トリックスターは同一魔法で破壊と創造のどちらも可能にゃ」

「だからって、これはもうチートじゃないか!」

「そうかにゃ? デメリットのほうが強烈にゃ」


 どんなデメリットなのかニャースケに訊こうと思うが、レーザー攻撃がしつこい。先に魔物を倒したほうがいいな。【エクスカリバー】があれば、あんな魔物は怖くもなんともない。


「湖の乙女の加護!」


 スキル名を叫ぶと、剣から青いオーラが溢れ全身を包み込む。本当に発動した……。年一限定アイテムが、トリックスターで使い放題?

 どんなデメリットかは知らんが、【エクスカリバー】が毎回使えるなら安いもんだろう。


「行くぞ!」


 【湖の乙女の加護】はMPが尽きるか解除しない限り青天井に全能力強化(オールバフ)が続く。つまり、今後はA++であろうと余裕でソロ狩りができる!!


「うおおおおお!!」


 バフ始めは堅かったが、時間が経てば経つほど一方的になる。楽勝だな!


「これで、止めだぁー!!」


 ガキィンッ!!


「――え?」


 最後だと思って思いっきり斬りつけたら、手にすごい衝撃が来て思わず離してしまった。

 え? なに? 何が起きたの!?


「ご主人、時間切れにゃ」

「へ?」

「エクスカリバーのバフ効果を維持するだけの魔力がもう残って無いにゃ」

「ええええええ!? ウソ!? だってこの前の時は一晩でも戦える感触が」


 なんて言ってる間にレーザー攻撃が右肩を掠めた。


「きゃあああ!!」


 掠っただけなのに……! 焼ける痛みが脳を刺す。熱いんだか痛いんだかも分からない。頭の中がぐちゃぐちゃになる。


「ご主人、トリックスターを使うにゃ」

「な、なにすれば……いいの!?」

「にゃー? とりあえずこれで応急処置にゃ」


 ニャースケが魔法を発動した瞬間、頭がスッキリして視界が開けたような感覚になった。


「こ、これって……」

「これは緊急事態用の魔法にゃ。超強力な麻酔と考えるといいにゃ」

「ありがたい……。でもニャースケ、どうして魔力が切れたんだ? まだまだ行けると思ったけど」

「にゃー? 創造魔法のデメリットも分からないにゃ?」

「全く」

「おかしいにゃー……。創造魔法のデメリットは魔力総量の90%を消費するにゃ」

「……は?」


 総量の90%? 確か俺の総量は15万くらい。ということは……。


「残り1万5000!?」

「それにピュアラファイと圧縮時空間の使用分も引かれるにゃ」

「はは……」


 なるほどな。魔力量が物を言う魔法って、そういうことか。

 確かにアブソリュート・レイに匹敵する力を持っている。しかしその秘めたる力を解放(フルアクセス)するには魔力がいくらあっても足りないようだ。


「使い所を見極めないとだな」

「にゃ。それで、どうするにゃ?」

「もう魔力残ってないから、棄権かな」

「にゃ……。ごめん、ボクのせいにゃ。引き継ぎがちゃんとできてなかったみたいにゃ。創造魔法のデメリット分かってると思ってたにゃ」

「いいって、気にしないで。私が魔力管理を怠ったせいだよ」


 一応、魔法の杖のサブタンク機能もあるにはあるが、魔物を倒せるほどの量はない。


「すみませーん! 棄権しまーす!」


 大きな声で叫ぶと、室内のスピーカーから帰来の声が聞こえる。


《棄権と言いましたか? 本当にいいんですか? こんなチャンスは二度とありませんよ》

「いやー、魔力管理ミスっちゃいまして、現実の戦闘なら撤退しないといけない。そう判断しました」

《……分かりました。では姫嶋かえでを失格とします。ロビーに戻って待機していなさい》

「分かりました」


 話を終えるとニャースケを撫でる。


「にゃー?」

「トリックスターを使いこなせるよう、がんばるよ。よろしくね」

「にゃー。こちらこそにゃ。次からはご主人の足を引っ張らないよう、ボクもがんばるにゃ」


 思わぬ形で相棒が増えた。千秋さんのためにもトリックスターを使いこなして、正規ルートで50キロメートルエリア担当になろう。



 To be continued→

最後まで読んで頂いてありがとうございます。

応援よろしくお願いします。


まさかの結末になりました。これで楓人は正規ルートでの昇格を目指すことになります。いつ昇格できるんでしょうか……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↑にある☆を★★★★★にして応援していただけると嬉しいです。無限エンジンの燃料になります。 script?guid=on
― 新着の感想 ―
トリックスターは魔力総量の90%を消費するなんて、欠陥魔法としか思えない。 最初はトリックスターという名前からギャンブルめいた魔法かなと思っていたわけだが、本当にそんな感じですね。しかも魔力総量90…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ